デジタライゼーションの未来形(第3回)

流通企業がモノづくり?AIとロボットが変える現場

2016.08.05 Fri連載バックナンバー

 実用化が目前に迫りつつあるAI、ロボット、3Dプリンターなどの技術は、私たちのビジネスにどのようなインパクトを与えるのでしょうか。将来のビジネスがどう変わっていくのかを専門家に聞く「デジタライゼーションの未来形」の第3回では、これらの技術が製造業や流通業にもたらすインパクトについて、IoTやAIの領域で活躍する中川聡氏と阿部隆一氏、そして工藤智秀氏にお話を伺います。

本記事の最後より、最先端技術を活用した製造業や流通業の取り組みをご紹介する「未来へのヒントとなる事例集」がダウンロードできます。

 

メーカーの生き残りの鍵は「マスカスタマイゼーション」

――消費者のニーズや購買行動プロセスが変わりつつある中、製造業がこれから生き残っていくためには何をすべきでしょうか。

阿部 大量に商品を作って安価に販売するというビジネスは、今後さらに競争が激しくなっていくでしょう。その中でどうやって消費者に愛されてロイヤルティを高めていくか。その鍵となるのはマスカスタマイゼーションだと考えています。

 デルがパソコンの分野で急成長を遂げられた理由の一つとして、発注時にユーザーが自由にカスタマイズできたことが挙げられます。それによってユーザーの満足度が高まり、次にパソコンを買うときもデルの製品を選ぶという好循環が生まれ、それが成長につながったわけですよね。

 とはいえパソコンは個々のパーツを組み替えることでスペックを満たすという特性があったため、多様なカスタマイズに応じることができました。一方でカスタマイズが難しく、仮に対応したとしても極めて高価になったり、あるいは納期に長い時間がかかったりする製品も少なくありませんでした。しかし、今後は、このようなカスタマイズが難しかった製品においてもいかに安価かつスピーディに顧客のカスタマイズ要望に応じられるかが、メーカーの生き残りの鍵になるのではないかと予想しています。

 

ロボットや3Dプリンターが変える製造現場

――顧客の好みに応じてカスタマイズした商品を届けるということになると、製造現場も大きく変化することになりそうですね。

阿部 そうですね。たとえばロボットを活用して、顧客からのオーダーに沿ったものを自動的に製造するといったことが考えられます。また現在は中国や東南アジアなどの労働力な安価な地域で生産し、それを消費地で販売するといった形が一般的ですが、その場合、生産してから顧客に届けるまでのリードタイムが長くなってしまうという難点がありますし、高度な生産設備により自動化を進めるのであれば賃金の安さの優位性は小さくなります。そこで消費地に近いところに柔軟なカスタマイズに対応できる次世代工場を設立し、迅速に消費者へ届けられるようにするといったことも考えるべきかもしれません。

工藤 3Dプリンターの活用も広まるでしょう。将来的な話ではありますが、いずれ3Dプリンターで最終製品の部品を直接製造できるようになれば、ユーザーが要望した商品を低コストで製造することが可能になります。また工場自体も今のように大規模なものではなく、もっとコンパクトで、消費地や消費者に近いものになるかもしれません。

中川 先日、ドイツのハノーバーメッセ2016において、シーメンスとBMWが共同で自動車のバンパーを3Dプリンターで製造するデモを展示していました。これが現実的に利用できるようになれば、たとえば自動車の修理が必要になったとき、わざわざ工場から部品を取り寄せるのではなく、ディーラーにある3Dプリンターで部品を作るといったことが可能になりますよね。

 特に海外メーカーの製品の場合、補修部品が必要になったときに、日本に届くまで何カ月も待たされることが珍しくありません。しかし3Dプリンターが活用されるようになれば、その場で補修部品を3Dプリンターで作り、その場で修理する。そういったことも起こり得るでしょう。

阿部 3Dプリンターの活用事例は続々と現れています。たとえば災害地域に… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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