加速する運用保守アウトソーシング(第5回)

IT運用は「アウトソース」から「スマートソース」へ

2016.06.15 Wed連載バックナンバー

 クラウドや仮想化をはじめとした、テクノロジーの台頭により、自社システム運用の“守り”の領域は拡大する一方です。また、積極的なM&Aによりグローバル展開を加速するケースなどでは、より俊敏な“攻め”の対応がIT部門に求められます。こうした中で“守り”の運用をアウトソーシングする企業は少なくありません。ガ―トナー社はプレスリリースにおいて、「アウトソーシング戦略の巧拙が、将来にわたる企業のソーシング全体の成否を分けると、ガートナーでは確信しています。デジタル化のスピードを考えると、今後3年間の取り組みが本当の勝負となるでしょう」と述べています(※1)。
※1:ガートナー プレスリリース「ガートナー、2016年以降の日本におけるソーシングとITサービスの展望を発表」2015年12月9日発行

 IT部門が社内から称賛されるヒーローになるか、あるいは混乱を招くヒールになるかは、今後3年間が勝負と言えそうです。今回はIT部門をヒーローにする、プロセスの自動化を交えた新たな運用スタイルのトレンドに注目します。

 

日本のITソーシングを取り巻く背景

 今後3年間がITソーシングの勝負になるという背景には、上記プレスリリースに、ガートナーによるいくつかの興味深い調査結果があります。1つめが「2019年までに、アウトソーシング指向の日本企業の少なくとも3社に1社が、「戦略パートナー」の入れ替えを実行する」というものです。そして2つめは、「2019年までに締結されるフルスコープ型アウトソーシング契約の50%は、契約時点において、既にコスト・メリットおよび付加価値がリスクにさらされる」というものです。さらに「2019年までに、3社に1社以上の企業が、フロントオフィス・アプリケーションの開発/運用のために、IT人材を事業部門に配置するようになる」との調査結果もあります。

 これらを総括してわかることは、まず既存の形骸化したITソーシング戦略を見直す必要があるということです。次に、重厚長大なフルスコープ型アウトソーシングでは時代の急速な変化に対応できないこと。そしてフロントオフィス業務に関わるアプリケーション開発、運用に関するIT人材の需要が高まり、そこで真価を発揮するIT部門こそが存在感を発揮するようになるということです。つまり、これからのIT部門は本来業務である“攻め”のアプリケーション開発・運用業務にリソースを集中させるために、それ以下にあるITインフラの“守り”をいかに安心してまかせられるパートナーを探すかが重要になってきます。

 

手綱を離さず、小さく始めるスマートソースへ

 従来のアウトソースは、じっくりと時間とコストをかけて「全体最適化」を図るものでした。それはITやビジネスのサイクルが比較的ゆるやかな時代にはマッチしましたが、システムが状況に応じて動的に変化する仮想化、クラウドベースのシステムに対応するのは困難です。とはいえ、すべての運用を自前で行わない限り、なんらかの手を打つ必要があります。そこでいま注目を集めているのが「スマートソース」と呼ばれるコンセプトです。これはスモールスタートでシステム運用の「部分最適化」を図りながら、徐々に規模を拡大して「全体最適化」のゴールを目指すという考え方です。

 基本的な導入のプロセスとしては、まず… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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