東日本大震災から5年、BCP対策の最新事情(第2回)

要所に専用線を!普及を加速するカギは「SDN」

2016.02.17 Wed連載バックナンバー

 東日本大震災以降、「BCP(Business Continuity Plan/事業継続計画)」の観点から物理的に距離の離れた本社・センター間などで重要度の高い自社リソースの冗長化を図る企業が増えています。これらビジネスの生命線となる重要拠点間を結ぶミッションクリティカルな領域には、堅牢かつ強固なネットワークを異なる経路で二重化して配置するのがセオリーです。現在、専用線を検討するケースが増えており、SDN技術を採用した新たなトレンドの登場が追い風になっています。そのような専用線の最先動向をレポートします。

 

IT投資でリスク対策が重要なミッションに

 ITRが国内ユーザー企業を対象に調査した「国内IT投資動向調査報告書2016」によると、2015年度のIT予算を増額と回答した企業は21.3%、横ばいと回答した企業も合わせると90%を超え、依然安定的な成長を見せています。その中で注目したいのが年々増加傾向にあるリスク対策費用です。これは、昨今大企業や官公庁で相次いだセキュリティ被害やガバナンスに関わる不祥事発生の影響があることはもちろんですが、東日本大震災発生後に見られた災害対策への関心の高まりが衰えていないことを表すものと思われます。

IT予算額に対するリスク対策費用割合の経年変化(2011~2015年度)

 組織の事業継続能力を高めるBCP対策の取り組みでは、基本方針の策定、実施体制の構築、重要業務の決定といった仕組みづくりに加えて、事業継続の妨げとなるリスク対策においてITが非常に重要な役割を担います。万一、長期間にわたりシステムがダウンし、事業が停止してしまえば、その間の利益はもちろん、長年築き上げた取引先や顧客の関係性や信頼というかけがえのない財産を失うことにもなりかねません。こうした非常時の事業継続に備えて、最優先で対策を講じておくべき項目の一つがネットワークです。いまやネットワークの遮断は事業の停止と同じ意味を持つと言っても過言ではありません。それだけに事業の生命線となる重要拠点間を結ぶ領域には、多少コストをかけても信頼性の高いネットワークを配置すべきでしょう。

 たとえば東日本大震災で得た教訓をもとに、さらに大きな被害が想定されている南海トラフ巨大地震といった大規模災害に備えて東京-大阪、東京-福岡といった物理的に離れた場所にデータセンターを分散する企業が増えています。これは通常からセンター間のデータを同期しておき、万一、一方が大地震などで被災した場合、もう一方に接続先を切り替えて事業継続を図るというものです。このセンター間を結ぶネットワークは、まさに「絶対に遮断させられない」命綱と言えますので、信頼性の高いネットワークの選定に加え、日本海側と太平洋側というように異なる経路で二重化するといった対策を講じるのが一般的です。

 ところで震災以前、コスト削減を目的としてセンター間の接続を専用線からVPNへ切り替えた企業が、震災を境に再び信頼性の高さを求めて専用線にシフトしつつあることをご存じでしょうか。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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