自社に最適なITインフラを考える

“いいとこどり”のハイブリッド型クラウドとは

2015.04.10 Fri連載バックナンバー

 重要なコミュニケーション手段であるメール環境に対し、パブリッククラウドを利用せずにあえてプライベートクラウドを採用する、そのような選択を行う企業は決して珍しくありません。なぜパブリッククラウドではなくプライベートクラウドなのか。ここではいくつかの事例をもとに、パブリッククラウドとプライベートクラウドの “いいとこどり”をする理由を解説していきます。

 

基幹系システムと同様に重要性が高まるメール環境

 パブリッククラウドを利用すると、運用管理の負担を軽減できるほか、OSやサーバーソフトウェアのバージョンアップの負担がないなど多くのメリットが得られます。また、サービスによっては大容量のメールボックスが使えるということから、メール環境をパブリッククラウドへと移行する企業も増えています。

 しかし、その一方であえてパブリッククラウドを選ばず、プライベートクラウドを選択する企業も少なくありません。その背景はさまざまありますが、一つにはパブリッククラウドに対する運用面での不安が挙げられます。システムが手元にあり、運用管理の担当者に相応のスキルがあれば、トラブルが発生したときに、原因を特定して対応したり、復旧までにどの程度の時間がかかるかを予測したりできるでしょう。しかしパブリッククラウドでは、ユーザー企業側で障害の詳しい原因や復旧見込み時間を把握することが比較的難しいのが現状です。情報システム部門としては、社内に対して説明責任を果たせないという事態を招くことになります。

 そもそもメールはビジネスにおける主要なコミュニケーション手段となっており、メールサーバーが止まれば業務の遂行に大きな支障が生じます。ほぼすべての社員がメールを利用して業務を行っている現在、影響範囲を考えればERPSCMといった基幹系システムと同様に重要なシステムと考えられます。そのため障害に対しては自社でしっかりと対応したいという考えは当然でしょう。

 しかし、プライベートクラウドにはパブリッククラウドにはないメリットがある反面、同規模のパブリッククラウドと比較すると、一般的にコストが割高になります。コストを理由に、プライベートクラウドをあきらめざるを得ないケースもあるかもしれません。

 このようにパブリッククラウドとプライベートクラウドには、それぞれメリット・デメリットがありますが、その両方をハイブリッドに使って“いいとこどり”をすることができれば、より魅力的ではないでしょうか。

 パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方をハイブリッドに利用する方法は、主に4つに分類されます。

1)プライベートクラウドをメインサイト、パブリッククラウドをDRサイトに利用する

2)パブリッククラウドをアーカイブ先として利用する

3)本社はプライベートクラウドを利用し、部門や子会社などの一部だけパブリッククラウドを利用する

4)サービスによってプライベートクラウドとパブリッククラウドを使い分ける

 それぞれについて事例を見ていきましょう。

 

1)プライベートクラウドをメインサイト、パブリッククラウドをDRサイトに利用する

 実際に、プライベートクラウドとパブリッククラウドのハイブリッドでメール環境を運用しているのがA社です。メインのメール環境として「Exchange Server」をプライベートクラウドで運用しつつ、メールのアーカイブ先および災害対策の一環として、マイクロソフトが提供する「Office 365」の「Exchange Online」を利用しています。

 このような構成を採用した背景として、まず「メールが重要なシステムである」というA社の認識がありました。前述したように、パブリッククラウドにおいては障害発生時に社内に対して説明責任を果たすことが難しいことから、プライベートクラウドでの運用を選択したのです。

 とはいえ、メールサーバーに求められる要件は、可用性や障害時の対応だけではありません。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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