通信インフラの基礎知識(第1回)

ケーブルが走る地下トンネル「とう道」の秘密に迫る

2015.03.27 Fri連載バックナンバー

 日本と海外の通信を結んでいるのが「国際海底ケーブル」であるというのは、すでにBizコンパス読者の方ならご存じでしょう。それでは、日本国内の通信はどのような方法でつながっているのかご存じですか。

 まず思い浮かぶのは「電柱」です。主要な通信ケーブルの大半は「架空ケーブル」と呼ばれ、電柱の上に架けられています。そして一部のケーブルは、地中深く掘られたトンネル「とう道」に収容され、そこから枝分かれした小さなトンネル「管路」を経て、地上の電柱につながっているのです。機密上の理由から、この「とう道」では関係者以外の立ち入りを禁じています。

 今回、Bizコンパス取材班は特別に許可をいただき、NTT東日本、NTTコミュニケーションズの共用施設である「とう道」に潜入。東京の地下深くに息づく幻想的な巨大施設の模様をレポートしていきます。

 

潜る前に押さえておきたい「とう道」の基礎知識

 まずは「とう道」の定義からご説明いたしましょう。地下鉄、下水道等の社会基盤施設が都市部において整備されていく中で、多くの地下ケーブルを収容する地下空間をトンネル形式の電気通信設備として恒久的に確保するための設備形態で極めて災害に強い構造物であり、ケーブルの敷設・撤去・保守作業用に人が立ち入れる大きさのものを「とう道」といいます。「洞道」と表記する場合もありますが、常用漢字表外の訓読みのため「とう道」と表記されるのが一般的です。

 「とう道」には2つの種類があります。地上から浅いところに設置され、道路を掘ってつくるものを「開削とう道」、地上から深いところに設置され、シールドマシンという円柱型の機械で地中を掘り進みながらつくるものを「シールドとう道」と呼びます。「とう道」の歴史は古く、1925(大正15)年に東京都千代田区につくられた馬蹄型のものが日本最古の「開削とう道」です。ちなみに「シールドとう道」は1963(昭和38)年に東京都港区につくられたものが最古といわれています。

 続いて「とう道」の仕組みをご紹介します。下のイラストをご覧ください。私たちの暮らしている街の地下深くに「とう道」はあります。ヘルメットの作業員が立ち入っているトンネルが「とう道」です。浅いところにあるのが「開削とう道」、地下鉄の下を通っているのが「シールドとう道」です。「とう道」の先から伸びている細いトンネルを「管路」と呼びます。通信ケーブルは「とう道」から「管路」を経て電柱に上がり、家庭や職場の電話やパソコンにつながっているのです。

 ちなみに日本全国には、約650kmの「とう道」があります。「とう道」から網目のように広がっている「管路」は約62万kmにもなり、地球を16周半もする長さになります。約650kmある「とう道」の半分、約290kmが東京に集中しています。これは東京の地下鉄、あるいは首都高速とほぼ同じ長さ。東京では地下鉄や車を利用すれば、どこへでも効率よく移動できる交通網が発達しています。その交通網に匹敵する「通信ケーブルの通り道」が人知れず地下に息づき、私たちの日々の通信を支えてくれているわけです。なんとも、ロマンがあると思いませんか。

 それはさておき、基本的にNTT東日本、NTTコミュニケーションズ共用施設の「とう道」は、中継ケーブルなどの重要回線が敷設されるNTTのビル、データセンター間を結んでいます。高いセキュリティを保つために、直接「とう道」からNTT以外のビルや建物に通信ケーブルが入ることはありません。必ず「管路」もしくは電柱を経てケーブルを通すことで、第三者の侵入を防ぎ、完全に閉じた空間になっています。通常「とう道」に立ち入りできるのはメンテナンスなどを行う作業関係者のみですが、「とう道」内にはITを駆使した二重、三重の安全対策が施されています。これらの設備を地上にある24時間365日体制の監視システムで集中管理することで、いかなる事態が起きても速やかに対処できる体制を整えているのです。

 そして、もうひとつ。「とう道」は地震などの大規模災害にも耐えられる構造になっています。1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災においてもケーブル故障は「ゼロ」と、被害は受けなかったというタフさも「とう道」の特長のひとつといえるでしょう。こうしたセキュリティ対策、安全対策、防災対策も「とう道」の見どころのひとつかもしれません。

 さて、前置きが長くなりましたが、いよいよ取材班は「とう道」に潜ります。

 

いくつものセキュリティゲートをパスして道内へ

 当日、都内のNTTビル前に取材班は集合しました。交換機などを収容するこのビルは「とう道」と同様の堅牢な構造になっており、震度7の地震にも耐えられるそうです。

 入り口で待っていたのは… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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