加速する運用保守アウトソーシング(第4回)

“攻め”のIT活用を推進するためのオルビスの戦略

2015.03.25 Wed連載バックナンバー

 自社システムの運用保守を社内からアウトーシングにシフトする際、大きなハードルとなるのが“追加のコスト負担”です。「企業ネットワークシステムはきちんと動いて当たり前」と考える決済担当に、いくらリスクを説明しても、簡単に理解してもらえるものではありません。逆に「重要なら外注すること自体が問題だ」という答えが返ってくるかもしれません。このような多くのシステム担当者が抱える悩ましい課題を、ネットワーク更改というタイミングで解決したのが、化粧品会社のオルビスです。国内108店舗と事業拠点を結ぶ自社ネットワークの更改において、同社が選択した運用保守アウトソーシングとはどのようなものだったのでしょうか。

 

情報システム部の役割は“攻め”と“守り”の両方

 オルビス株式会社は1984(昭和59)年の創業以来、「100%オイルカットスキンケア」をコンセプトに、化粧品、栄養補助食品、ボディウエアの企画・開発を行い、通信販売及び店舗販売を行ってきました。国内最大級の顧客満足度調査で通販業界4年連続1位を獲得(PDF)するなど、商品の品質、顧客サービスで高い評価を得ています。また、アジア・アセアンを中心に海外事業を展開し、世界にマーケットを拡大しています。現在、同社がさらなる顧客満足度アップに向けて着手しているのが「One to One」、「人肌コミュニケーション」をキーワードとしたブランド再構築です。

 同社はブランド再構築においてITを重要なファクターの一つととらえています。情報システム部 部長の矢形善彦氏は「現在、オルビスでは一人一人のお客さまに対して適切な商品・サービス・情報などをタイミングよくお届けするための”オルビスOne to One”に取り組んでいますが、その実現には、ITが重要な役割を担っています。情報システム部の役割は、“攻め”と“守り”の両面があるとよく言われます。収益向上に寄与する新たなサービスの土台を開発、構築する“攻め”の側面と経営の健全性を担保するためのガバナンス強化、ネットワークなどの運用管理業務の充実を行う“守り”の側面です」と情報システム部のミッションを語ります。

 同社ではEC、電話、FAX等を使った通信販売に加え、店舗販売というマルチチャネルで商品を提供しています。もともと通信販売からスタートした企業であり、現在も7割の売上比率を通信販売が担っています。矢形氏は「通販の受注比率の半分を超えるECが年々伸びているため、それを支える安定したネットワーク基盤が重要になっています」と、通信販売におけるITの役割を強調します。このような通販事業へのIT投資を進める一方で、日本全国にある108の店舗と本社、拠点を結ぶ店舗事業を支えるネットワーク基盤の更改が同社の課題になっていました。

 

コスト削減の課題に安定稼働の視点をプラス

 ネットワーク更改のポイントは“大幅なコスト削減”にありました。さらに情報システム部門では、更改を機にクリアしておきたいもうひとつの課題があったといいます。情報システム部 係長の佐々木哲哉氏は「従来はネットワークがつながらないという店舗からの連絡を受けて、店舗事業部と情報システム部が協働で故障の切り分けを行っていました。万一、回線が切れてしまった場合は復旧までに多くの工数と時間がかかっていたのです」と従来の運用体制が抱えていた弱点を振り返ります。全国に店舗や拠点持つ企業の情報システム部にとっては、一度は持ち上がる課題といえるのかもしれません。

 店舗のネットワークが使えなくなれば、接客に大きな影響を及ぼします。佐々木氏は「店舗のPOSやPCでは売上・発注データはもちろん、ポイントカードによる顧客情報の照会も行っています。お客さまとの密なコミュニケーションによる“One to One”の接客を行うためにネットワークは絶対に止めることのできないツールなのです」と説明します。また、店舗以外の倉庫や協力会社などの拠点を結ぶサプライチェーンの役割を担うネットワークであるため、復旧対応の遅れが同社の事業に大きな被害をもたらすことも明らかだったといいます。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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