加速する運用保守アウトソーシング(第1回)

“守り”から“攻め”へ!IT部門が舵を切り始めた

2015.03.04 Wed連載バックナンバー

 ビジネスにおけるITの役割はより広いエリア、深いレイヤーへ及び、自社システムの運用保守にかかる稼働やコストが増加する現在、多くの企業が深刻な人材不足に頭を抱えています。

 さらにグローバル化やM&Aに伴い、ITガバナンスやセキュリティ強化など、新たな課題も生まれています。このような中、運用保守、いわゆる“守り”の領域をアウトソースして稼働やコストを抑制し、IT部門を本来の「成長につながるIT戦略」といった“攻め”のコアコンピタンスに集中させる企業が増えています。“守り”と“攻め”の両面でメリットを生み、攻守一体の強固な運用体制を築くポイントを解説していきます。

 

多くの経営層の前に立ちふさがるグローバルの壁

 最近、国内の大手電機メーカーや自動車メーカーが海外から国内へ生産をシフトし、国内での生産比率を高めていくというニュースが話題になりましたが、依然多くの企業にとって、グローバル進出やそれに伴うM&Aはビジネスを拡大する上で欠かせない取り組みの一つです。独立行政法人日本貿易振興機構「2013年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、中小企業では43.1%、大企業では85.7%が海外拠点を保有しています。

 グローバルでのビジネスを円滑に進めるためには、国や地域によって異なるIT基盤の整備に向けたITガバナンスの策定が欠かせません。IT基盤をリージョンごと、グローバル全体で管理・標準化する動きが加速しており、近い将来には約6割にまで達するという予測もあります。

 グローバルビジネスにおいて、統一された運用ポリシーに基づくITガバナンスの策定が重要であるのは、共通ルールのもとでIT基盤が運用されなければ、さまざまなトラブルの要因となるからです。策定のポイントは「現状把握によるレベル合わせ」であり、国内外の拠点で利用されるIT基盤の把握とポリシーのすり合わせを行い、すべての拠点で無理なく運用できるITガバナンスを策定することが求められます。

 しかし、第一段階の現状把握に時間を要して、策定が思うように進まないことを課題に挙げる企業は多く、策定後の新たなIT基盤をいかに継続的に「統合運用」していくのかも経営層が頭を痛める課題の一つです。

 その要因はM&A先のIT基盤を構成するネットワークやサーバー、アプリケーションなどが、国や地域によって異なるキャリアやベンダーによって提供されていることにあります。さらに、それらのリソースクラウドオンプレミスに分かれたハイブリッド環境が一般的であるため、すべてのIT基盤を横断的に統合運用するには大変な労力、スキル、コストが必要になってきます。

 これまで、多くの経営層は“守り”の運用業務に加え、業務改革につながる戦略的な”攻め”の提案という2つの役割をIT部門に委ねていましたが、その考え方を改める時代になりつつあるようです。もはや「点滅するライトを直す」ことに、貴重なリソースを割く時代は終わりを迎えているのかもしれません。

 

”守り”に手一杯で、”攻め”に回れないIT部門

 経営層の期待に応えるべく、日々奮闘するIT部門が抱えている課題も山積みです。グローバルな事業展開に合わせたIT基盤の拡大により、“守り”の運用業務にかかる稼働増加や人材不足が深刻な課題となっています。

 また、クラウドや仮想化など、高度化するIT戦略の要求に応えられないというITスキル、リテラシーの不足も顕在化しつつあります。日々の運用業務、新たなITスキルの習得などに労力を費やすあまり、次期システムの企画や戦略の検討といった、本来取り組むべき“攻め”の業務に注力できないジレンマを抱えるIT部門も多いのではないでしょうか。

 経営層やIT部門が抱えている課題の解決策として、いま運用保守のアウトソーシングへと舵を切る企業が急増しています。

 そのようなニーズを受けて、NTTデータ「TISAFYS」、富士通「LCMサービス」、NEC「運用サービス」、NTTコミュニケーションズ「Global Management One」など、さまざまなタイプのサービスが提供されており、自社の経営課題に合わせて最適なサービスを導入することができます。

 サービスを検討する際に押さえておきたいポイントは3つあり、1つ目は、国や地域をまたがる複数キャリアやベンダーが提供するハイブリッド環境の全IT資産をカバーできる「フルレイヤー対応」であること。2つ目は、従来人の手によって行われていた故障対応などのプロセスが「自動化」されていること。そして、3つ目はテンプレートではなく企業の要望に応じた「個別対応」ができることです。

 たとえば、NTTコミュニケーションズが提供する「Global Management One」は、これらの条件を満たす最先端のリモート・インフラストラクチャ・マネジメントサービス(RIMサービス)の一つです。

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運用保守アウトソーシングの最先端を探る

 それでは「Global Management One」を例に、「フルレイヤー対応」「自動化」「個別対応」でどのように経営層、IT部門の課題を解決していくかを、解説していきます。

 世界196カ国/地域において、全世界統一の運用ポリシーや統一プラットフォームで提供されている「Global Management One」は、グローバルに広がる複数キャリア、ベンダーのサービスを含む、すべてのIT基盤を「フルレイヤー対応」で運用、監視、保守できるサービスです。このためツールとして提供されるオートディスカバリ機能を利用することで、現地に赴くことなく日本国内から全拠点のIT基盤の状況が手に取るように分かり、ITガバナンス策定の第一段階の現状把握にかかる稼働や時間を大幅に抑えることができます。

 また、役割の重複するサーバーやルーターなどの無駄を洗い出し、IT基盤の最適化を図ることも可能です。さらに構成管理や変更管理がプラットフォームに盛り込まれているため、ITガバナンス策定後の運用フェイズにおいても継続的な統合運用ができるようになっています。

 次に、経営層が抱えるコスト削減の課題を解決すべく、「Global Management One」ではオペレーションの「自動化」を徹底。人手を介することなく、IT基盤で起きる50%の問題が自動的に解決できます。なお、残りの50%の問題についても、全世界10拠点のサービスデリバリーセンターに配置した高スキルエンジニアがリモートで解決するという構造になっています。

 この自動化、オフショア化推進に加え、コンサルによる資産の統合、顧客のインソースを抑えることで、最大30%の運用コスト削減が実現できる見込みです。また、約60種類の運用メニューから必要なサービスのみを組み合わせて利用できるため、初期投資を抑えたスモールスタートからの段階的な拡張も可能です。

 柔軟な料金体系をはじめ、顧客の要望に応じた「個別対応」ができることも「Global Management One」の強みであるといえます。顧客のビジネススタイルに合わせた契約・請求スキームや、経営目標に合わせたSLAの提供も可能であるとのこと。たとえば、オンラインゲームを提供する企業に対して、可用性100%のSLA提供はもとより、プレイヤーを増加させることにつながるような一歩踏み込んだSLAの提供を目指しているといいます。この顧客の成功を支える個別対応は、これからの運用保守アウトソーシングサービスの必須条件になっていくと思われます。

 また、IT部門が抱える課題も「Global Management One」により解決できます。これまでIT部門が担当していた“守り”の運用業務をアウトソーシングすることで稼働を軽減し、24時間365日体制の統合化された自動化プラットフォームにより、初動切り分けなどの基本的な障害対応の時間を短縮。ヒューマンエラーの発生も抑えられます。稼働削減に加えて運用や保守の品質を大幅に底上げすることも可能です。

 さらに、高度化するITスキルを習得する必要が無くなり、ITのプロが新たなサービスや技術を使った改善提案を行うことで、常にIT基盤が進化を続けるというメリットも得られます。中でも、いちばん大きいのはIT部門のリソースをすべて“攻め”の戦略的な業務に集中し、企業の成長をけん引する本来の役割が果たせるようになることです。もちろん、アウトソーシングといってもすべてを委ねるわけではなく、カスタマーポータルにより、いつでもIT基盤のリアルタイムな運用状況を把握できるようになっています。

 運用保守のアウトソーシングが生み出す、「運用業務の品質強化」と「業務発展へのリソース集中」。そこから生まれる“攻守一体”の強さは、事業を躍進させる大きな原動力となることが期待できます。

 

アウトソーシングで躍進を果たすヒント

 最後に「Global Management One」の導入により、躍進を遂げた企業の事例をいくつか紹介します。

 

●ケース1:製造業A社

 従来の人手による運用体制から脱却し、次世代の運用体制の導入を検討していた製造業A社では、収益拡大に向けた大幅なコスト削減が課題になっていた。そこで日米間にまたがる新旧システムのハイブリッド環境を「Global Management One」で一元的に運用する体制を構築。グローバル標準規格による高品質な運用体制と併せて、自動化、オフショア化による徹底した運用の効率化とコスト削減に成功した。

 なお、次世代システムのクラウドプラットフォームには「AWS」を採用。サーバーの削除時には自動検知してスルーし、サーバーの追加時には自動検知して監視を始めるといった、AWSのAPIを連携したインテリジェントな運用システムが誕生した。

 

●ケース2:製造業B社

 製造業B社ではラストワンマイルを含む通信品質向上、グローバルエリアの運用負荷軽減に向け、通信サービス、通信機器・接続構成を全面的に見直し、より広帯域で低コストな再構築プランを検討していた。NTTコミュニケーションズでは、同社のニーズを受けて最適なローカルキャリアの選定からサポート。

 さらに「Global Management One」のもとに同社回線専用のサービスマネージャーを設置し、広帯域な通信品質の維持と併せて、オペレーションの自動化によるヒューマンエラーの削減や対応の迅速化、手順書作成からの解放などを実現した。なお、カスタマーポータルによりインシデント状況をいつでも閲覧できる環境も整えている。

 これらの企業が導入している「Global Management One」は、長年、NTTコミュニケーションズが培ってきた運用保守ノウハウが凝縮されたサービスと言えます。そのほかにもNTTコミュニケーションズでは幅広い運用保守アウトソーシングサービスをラインナップ。IT部門になり代わり、エンドユーザーからのITに関する各種問い合わせの対応を行う「スーパーヘルプデスク」など、数多くのサービスとその導入実績を持っており、今日も企業のIT基盤を一刻も休むことなく見守り続けています。

 グローバルに事業を展開する企業や日本国内で多店舗展開する企業、IT基盤の更改に合わせて運用体制を進化させていく企業など、運用保守アウトソーシングは企業によってさまざまなスタイルが存在します。

 次回からはNTTコミュニケーションズが手掛けた運用保守アウトソーシングの導入事例を紹介しながら、導入によっていかなる課題が解決され、どのような成果が生まれたのかをレポートしていきます。

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

Bizコンパス編集部

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