「発電」だけでなく、「節電」も売る時代へ(後編)

商機拡大!「スマート企業」になるための3つの視点

2014.09.25 Thu連載バックナンバー

 いまやITの普及により、さまざまなシーンの人、モノ、コトが情報でつながりはじめている。一方で、政府主導の電力システム改革が進み、供給側と需要側が相互に電力に関する情報をやりとりする新たなスマートグリッド基盤も整備されつつある。ITとエネルギー、この2つの社会インフラの上に出現する「スマート社会」では、食べる、住む、働くといった人の基本的な生活シーンを健全・快適・安心にサポートするさまざまなサービスが実現されていく。

 あらゆるスマートドメインが「情報」「エネルギー」「サービス」でつながるスマート社会を勝ち抜く「スマート企業」に求められるのは、ITの有効活用であることは前編で述べたとおりだ。後編となる今回は、日本が向かうスマート社会に向けて、いま企業が準備しておくべきこと、取り組んでおくべきことを「スマート社会技術融合研究機構(ACROSS)」の機構長を務める、早稲田大学 理工学術院 教授 林泰弘氏に伺った。

 

ACROSSが先導する「スマート社会」のしくみづくり

 スマート社会に必要な技術を、現実の社会に実装するために設立された機構がACROSSだ。インフラ事業者、ユーザー企業を中心に組織される「スマート社会技術推進協議会」、メーカーを中心に組織される「スマート社会技術研究会」の2団体が、早稲田大学の7つの研究所と協同作業を行う産学連携の構成になっている。スマート社会技術推進協議会は “ユーザーの視点”から、グローバルな標準規格に基づく社会フレームをデザインする。一方、スマート社会技術研究会は“ものづくりの視点”から、新たな技術、製品、サービスを開発し、社会への実装を目指していく。これらの取りまとめ役として早稲田大学の各研究所が、最先端の研究成果をもとに研究開発プロジェクトの立案・運営、技術の融合・連携、実用化の支援などを行っていく枠組みである。

 「スマート社会の中心にいるのは“人”。その人の食、住、労働といった生活シーンを切り口に『5つのドメイン』を定義しています。人を中心に、それらのドメインが、情報、エネルギー、サービスでつながっていくために、まず重要になるのがフレームとなるインタフェースの標準化です。あらゆる業界を網羅した企業がACROSSに参加していますが、業界ごと、企業ごとに使い慣れた通信やシステムの標準規格を持っています。間に公平的な立場として大学が入って相互接続性・運用性の調整を行い、通信標準規格の使い方のレベルまで整えることで、業界や企業の垣根を超えてオールジャパンでつながるしくみができ、そこから新たなビジネスのフィールドは広がっていきます」と林氏は語る。

 ACROSSでは自動デマンドレスポンスの国際標準規格「OpenADR(PDF)」、HEMSに代表される宅内機器の制御用通信の国際標準規格「ECHONET Lite(エコーネットライト)」などに取り組んでいる。すでにスマート社会のプラットフォームを「EMS新宿実証センター」に構築し、実証事業をスタート。これは供給側、アグリゲーター、需要側間のデマンドレスポンスのやりとりを自動化するとともに、需要側の家庭内にある機器や設備までを自動制御する一気通貫のプラットフォームだ。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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