「発電」だけでなく、「節電」も売る時代へ(前編)

日本のエネルギー事情を変える「スマート社会」とは

2014.09.18 Thu連載バックナンバー

 エネルギーや環境問題への社会的関心の高まりと、IT(情報通信技術)環境の急速な進展、さらには、東日本大震災を契機とする再生可能エネルギーの導入拡大や電力システム改革など、我が国のエネルギー及び社会インフラのあり方は大きな転換が求められている。

 そのなかで、昨今よく耳にするのが「スマート」というフレーズだ。実際、街には「スマート」を冠した商品やサービスがあふれ、私たちの暮らしを豊かに彩ってくれている。こうした、生活を取り巻くさまざまなスマートデバイスが、人を中心として「情報」「エネルギー」「サービス」でつながっていく社会を「スマート社会」と呼ぶそうだ。この新たな社会づくりに向け、すでに産学連携による本格的な取り組みが始動している。

 とはいえ、いきなり「スマート社会」といわれてもピンとこない方も多いだろう。そこで前編となる今回は、エネルギー供給のトレンドと激変する日本のエネルギー事情を交えながら、「スマート社会」の出現に至るまでのプロセスを分かりやすく解説したい。

 

“強靭なエネルギー先進国”を目指す日本の挑戦

 東日本大震災以降、我が国のエネルギーや社会インフラのあり方が大きく変わりつつある。もともとエネルギー資源に乏しいうえ、現時点ですべての原子力発電所が稼働を停止し、不足する電力の大半は火力発電が代替。震災前より発電にかかる燃料費は2倍以上に跳ね上がるなど、電力をはじめとするエネルギーコストの高騰が日本の経済成長に大きな影を落としていることは疑いようがない。また震災を契機に、広く社会で「節電」に対する意識が高まり、事業の規模を問わず、多くの企業で節電対策に取り組んでいるものの、我が国の抱えるエネルギー問題を解消できうるものではないことは明らかである。

 こうした状況を打開すべく、日本政府は意欲的な「電力システム改革」を推し進めている。2014年6月には家庭向けを含めた電力の小売りを2016年に完全自由化する「改正電気事業法」(PDF)が成立。さらに2015年には発電と送電部門を別会社にする「発送電分離」などを盛り込んだ改正案が提出される予定で、2020年の「電力の全面自由化」というゴールを目指している。

 

「発電して売る」から、「節電を売る」逆転の発想へ

 電力の全面自由化が実現することで、我が国の電力供給体制はダイナミックに変化していく。とりわけ注目したいキーワードが「デマンドレスポンス(需要応答)」である。

 これまでの電力システムは、需要に応じて電力会社などの供給側が一方通行で発電・送電を行う構造で、供給側は詳細な節電量を予測できないため、最大需要予測に対応して電源設備や燃料などの準備をする必要があった。また、需要側は我慢して節電に取り組んでも、その見返りが「多少電気代が安くなった」程度のメリットしか得られない課題もあった。

 デマンドレスポンスは、… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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