グローバル通信インフラ講座(番外編)

伊勢志摩より「ケーブル陸揚げ」の現場をレポート

2014.08.15 Fri連載バックナンバー

 今年の春先、全5回にわたり、さまざまな角度から国際海底ケーブルをレポートした「グローバル通信インフラ講座」は、おかげさまで多方面から大きな反響がありました。今回は同講座の「番外編」として、三重県志摩市で6月26日の早朝から行われた「ケーブル陸揚げ」の様子を密着取材。多数の写真を交えながら解説していきます。なお、こちらのサイトでは国際海底ケーブルを敷設する流れがアニメでわかりやすく紹介されています。アニメで見ると簡単そうですが、これがなかなか大変な作業なのです。

 なお、志摩市にはアメリカやオーストラリア、アジアなどにつながる数多くのケーブルが陸揚げされており、「西日本の国際海底ケーブル銀座」と呼ばれるほどのケーブル密集地帯となっています。それでは、当日行われた作業の一部始終をレポートしていきます。

 

アジアのビジネスを活性化させる「APG」とは

 陸揚げ作業をレポートする前に、今回、新たに敷設される国際海底ケーブル「APG(Asia Pacific Gateway)」について少しだけ解説しましょう。「APG」はNTTコミュニケーションズをはじめとするアジア各国の主要キャリアが共同で建設中のコンソーシアムケーブル(複数通信キャリアの出資によって共同建設されるケーブル)です。大容量を効率的に伝送できる40Gbps伝送技術を導入し、将来的には100Gbps伝送技術の適用を見据えた設計となっています。また、ケーブル故障の原因となる地震や台風などの自然災害の多発地域を回避したルートに敷設され、より信頼性を高めているのも大きな特長です。

 ケーブルの総距離は1万km以上であり、これは北海道と沖縄を二往復半できる距離になります。日本でのケーブル陸揚げポイントは志摩市に加え、千葉県南房総市、アジアではシンガポール、中国、香港、韓国、マレーシア、台湾、タイ、ベトナムに接続されます。すでに南房総市へのケーブル陸揚げは完了しており、今回の志摩市における陸揚げが完了すれば、あとは中国近海のケーブル敷設を残すのみ。まさに大詰めの局面を迎えており、来年にも運用を開始できる見込みだそうです。

 すでにNTTコミュニケーションズは、コンソーシアムメンバーとして保有している「ASE(Asia Submarine-cable Express)」、「TPE(Trans-Pacific Express Cable Network)」「APCN2(Asia Pacific Cable Network 2)」などや、IRUという形態でケーブルオーナーから調達している各種ケーブルとで、日本とアジア各国間の冗長化を図っていますが、今回陸揚げする「APG」が連携することで、さらなるケーブルの冗長化を実現。日本とアジア各国を高信頼、大容量の国際海底ケーブルで結び、ビジネス交流の活性化に貢献していきます。「APG」の陸揚げポイントが東日本と西日本の2ヵ所に分散されているのは、アジア地域のネットワーク基盤を災害に対してより強固にするための配慮です。

 それでは、お待たせしました。国際海底ケーブルの陸揚げ作業を追っていきます。

 

早朝はケーブル陸揚げにいちばん適した時間帯

 陸揚げの現場となるのは志摩市の海岸です。ケーブルの陸揚げ作業の多くは早朝に行われます。波の穏やかな朝凪と呼ばれる時間帯が、海上での作業を効率的に行えるからです。また、日没前に作業を終わらせるという安全面からの配慮もあります。取材班が集合した午前4:30には、すでに沖合  約1.5kmの地点にケーブル敷設船「すばる」がスタンバイしていました。

 AM5:00、「すばる」からのケーブル繰り出しをスタート。この日は「すばる」とは別に7隻の作業船が出動し、そのうち1隻がケーブルを陸に向かって引っ張っていきます。その他の作業船は繰り出されるケーブルをきちんと設計通りのルートに配置するためのサポートを行います。さらに安全に配慮するため、作業現場へ他船が近付いた場合に警戒を促す警戒船4隻が見守る中での作業です。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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