運用サポートアウトソーシング事例(第3回)

WAN最適化で次世代のグローバルIT基盤を構築

2013.11.08 Fri連載バックナンバー

 グローバルな事業展開を成功に導く秘訣は何でしょうか。世界と戦える技術力、サービス力、製品力、人材力などは言わずもがなですが、これらに加えて事業展開を支えるIT基盤の整備を忘れるわけにはいきません。

 しかし、日本国内と海外では、ITの事情に大きな隔たりがあります。たとえば、現地での人材確保、言葉の問題、一元管理の煩雑さなどが海外拠点におけるITの課題に挙がっており、またネットワークにおいてはセキュリティ、サポートサービスの不安に加え、物理的な回線速度の不足などが挙がっています。

 今回は世界のエンジニアリングビジネスをリードする日揮株式会社が、日本と海外の拠点を結ぶIT基盤の最適化、可視化に向けて取り組んだ事例をもとに、グローバルネットワークの構築において生じる課題と、その有効な対策を考察します。

 

IT基盤の最適化で熾烈な国際競争を勝ち抜く

 1928年、日本初のエンジニアリング会社として出発した日揮株式会社は、プロジェクトの基本計画から設計、資材・機器調達、建設、試運転までを一貫して遂行する独自のサービス体制で、世界のエンジニアリングビジネスをリード。事業の約8割が海外プロジェクトという同社にとって、日本と海外を結ぶIT基盤は事業の生命線となっていました。

日揮株式会社 エンジニアリング本部 プロジェクトIT部兼コーポレートIT室 内野 朋浩 氏

日揮株式会社
エンジニアリング本部
プロジェクトIT部兼コーポレートIT室
内野 朋浩 氏

 同社 エンジニアリング本部 プロジェクトIT部兼コーポレートIT室 内野朋浩氏は、同社のIT基盤について「近年、大型化、短納期化する海外プロジェクトにおいて、ネットワークは絶対に止められない重要なファクターです。たとえばプラントの設計は、複数の海外拠点と分担し同時に作業を進め、最終的に国内のデータセンターに集めて仕上げます。その3次元モデルの設計データは数ギガバイトに及び、さらに毎日数ギガバイトの図書データを建設現場へ転送します。こうした一連のエンジニアリング業務を複数拠点で円滑に連携して遂行するために、より高品質かつ高信頼にIT基盤を最適化する必要があったのです」と話します。

 内野氏はまた、IT管理者の立場から「既存のIT基盤運用では、WANのトラフィック状況を回線や拠点単位でしか確認できず、複数の拠点で同時進行するエンジニアリングデータトラフィック全体を把握した管理・対応ができなかった。社員をコアな事業に集中させるためには、この管理業務にマンパワーを割くこともできません。新たなIT基盤では、構築から運用管理までを含めたアウトソースを考えていました。とはいえ、すべてをお任せして肝心のネットワークが見えなくなるのは困る。つねに状況が見えて評価できることもアウトソースの条件でした」と続けます。さらにグローバルの厳しいコスト競争の中で、IT基盤の最適化に合わせたコスト削減もミッションになっていました。

 これら複数の課題を解決、海外事業の競争力を高めるために、同社では「WAN最適化計画」をスタートさせます。… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

江嶋 徹

江嶋 徹

コピーライター

有限会社インクス広告制作所 代表。コンピュータ、周辺機器、ネットワーク、半導体といったIT系を中心に、省庁、化粧品、FMステーション、金融商品などの広告、SPツールのディレクション、コピーライティングを幅広く担当。ITをシンプル、わかりやすい文章で伝えることを信条としている。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter