IT基盤の最適化を考える(第4回)

多様なシステムの全体最適を実現したアサヒグループ

2015.05.27 Wed連載バックナンバー

 酒類から飲料、食品、そして国際事業と、幅広いビジネスを展開しているアサヒグループホールディングスにおいて、課題となっていたのが“スパゲッティ状態”となっていた同グループのシステム環境でした。同社は持株会社へ移行するタイミングで改革を断行し、グループ共通基盤でのシステム運用に移行しました。今回はアサヒグループホールディングス IT部門の知久龍人氏と齋藤宏樹氏に、システム統合やIT統制の考え方についてお話を伺いました。

 

アサヒビールとアサヒ飲料の相互生産で明らかになった課題

 アサヒビール株式会社アサヒ飲料株式会社ニッカウヰスキー株式会社などを傘下に抱える持株会社として、2011年7月に誕生したのがアサヒグループホールディングス株式会社です。「各事業部門の権限と責任の明確化」や「専門性の追求による事業基盤の強化」、そして「国内外の成長領域へより大胆な資源配分」を実現する体制に移行した同社は、酒類事業、飲料事業、食品事業、国際事業の4事業を柱に、企業価値の向上に重点を置いた経営を推進しています。

tlt001 「アサヒスーパードライ」をはじめとする数多くのヒット商品を生み出し、さらにM&Aによる事業領域の拡大でアサヒグループは成長を続けてきました。「グループが成長していく中で、課題として浮かび上がったのがIT統制の問題でした」と話すのは、アサヒグループホールディングス IT部門 ゼネラルマネジャーの知久龍人氏です。

「これまで総合酒類から飲料事業を拡大し、さらに食品事業を買収するなど、さまざまなM&Aを重ねてきましたが、そのたびにIT環境は暫定対応でしのいできました。まず事業を始めることが先決という判断で、既存のシステムをコピーして使うといった形で対応してきたのです。その結果、システムがスパゲッティ状態となり、コストの高止まりを招いてしまいました」

 このように複雑化したシステムは、各グループ企業間の連携や業務の遂行における問題にもつながっていました。具体例として挙げられたのは、アサヒビールとアサヒ飲料における相互生産における問題です。

 アサヒビールの茨城工場でアサヒ飲料のソフトドリンクを生産し、アサヒ飲料の明石工場ではアサヒビールの缶チューハイを生産していました。しかし両社はそれぞれ個別のシステムを運用していたため、「需給計画と生産計画の立案、原材料の調達、在庫管理などの業務が複雑化していました」と、アサヒグループホールディングス IT部門 マネジャーの齋藤宏樹氏は説明します。

「たとえばアサヒビール茨城工場では、アサヒ飲料の製品であるソフトドリンクの生産を受託しているにもかかわらず、原材料の受払実績入力において、自社システムとアサヒ飲料のシステムの双方に同じデータを入力する、二重入力の問題がありました。また、システムが異なるためにマスタやデータの一元管理も困難で、グループ調達戦略の推進を阻害する要因にもなっていたのです」

 

シナジーを生み出すためにプラットフォームを一本化

 このような課題の解決策として浮かび上がったのが、「アサヒビールが利用する基幹系システムをベースにシステムを再構築する」、同時に「業務プロセスの見直しも図っていく」というものでした。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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