IT基盤の最適化を考える(第2回)

グローバルでのSFA統合を完遂させたNTT Com

2015.05.13 Wed連載バックナンバー

 コスト削減やガバナンスの強化、あるいは業務の効率化などを目的に、グローバルでシステムの統合に踏み出す企業は少なくないでしょう。しかしながら、実際に統合を行うには、数多くの壁を乗り越える必要があります。ここでは、グローバル全体で営業支援システムを統合したNTTコミュニケーションズの事例から、プロジェクトの成功の秘訣を探っていきます。

 

「いつ誰が何を売ったのかが、すぐに分からない」のが実態だった

 顧客情報や案件の進捗状況を一元的に管理できるSFA(Sales Force Automation)は、効率的な営業活動の推進などを目的に多くの企業で活用されています。ただし、このSFAを活用するメリットを最大化するには、部門や拠点といった組織の壁を取り除き、全社で同一のシステムを使う必要があります。それぞれの部門や拠点が個別にSFAを運用していては、営業活動にかかわるデータを一元化することができないからです。そのような状態では、経営層やマネジメント層が全社の営業状況を素早く正確に把握することは困難であり、経営判断のスピードアップや営業施策の効率化につなげられません。

 実際、このような課題を抱えていたのがNTTコミュニケーションズでした。そこで同社は、経営企画部門や情報システム部門、さらには各営業組織などが連携し、全社的なSFA統合プロジェクトを推進します。

 このプロジェクトがスタートする以前、NTTコミュニケーションズは日本国内の拠点においては独自開発の営業管理システムを構築していたほか、「IBM Notes」や「Siebel CRM」などを利用していた時期もありました。しかし、現場の営業担当者に使われない、業務にマッチしないといった理由から、最終的にSalesforce.comの「Sales Cloud」に乗り換えています。

 一方、海外ではそれぞれの現地法人や子会社が個別に営業管理システムを運用していて、日本とは別のSales Cloudを利用したり、あるいは別のパッケージ製品が使われていたりと、グローバル全体で10個ほどのシステムが乱立している状況でした。同社の西孝明氏は、当時の状況を次のように振り返ります。

「『いつ誰が何を売ったのかが、グローバルで一元的に見えていない』という状況でした。販売速報は、バラバラのシステムより作成される各部の報告値を見ていましたし、管理の基準も拠点によって異なっていたため、一つの視点で全体を把握しようとすると単語の定義から始まる状態で、非常に困難でした。これはグローバルシームレス経営を推進する上で、大きな課題のひとつとなっており、『同じ基準で誰が何を売ったのかを一元的に把握できるようにしよう』を合言葉に、グローバル全体でのSFA統合プロジェクトが始まりました」

 このプロジェクトがスタートする前、経営陣の一人は「暗闇の中を何も見えずに運転しているような状態だ」と話していました。NTTコミュニケーションズにはグローバル全体で約5,000人の営業担当者が在籍していますが、それぞれがどのような営業活動を行っているのか、精緻な情報が見えない中で経営判断を迫られていたというわけです。

 営業状況が把握できていないという課題は、実は日本国内の中でも起きていたと中山範雄氏は話します。

「日本国内で利用していたSales Cloudは、営業組織ごとにカスタマイズされていたため、管理しているデータにもバラつきがあり、営業組織を跨いで横串で情報を見られる状況ではなかったのです。経営陣から『Sales Cloudを導入したのだから、いろいろな情報が見えるようになったんだろう』と言われていたのですが、同じ基準で情報が見えるような形にはなっていなかったのです。加えて、グローバルでは各現地法人の営業向けに国内とは別のSalesCloudが導入されており、課題が山積みで非常に苦しい状況でした」

 

カスタマイズを許さず、パッケージをそのまま適用… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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