IT基盤の最適化を考える(第1回)

グローバル視点で考える「IT統制」のポイント

2015.04.29 Wed連載バックナンバー

 「海外拠点のIT環境が把握できていない」あるいは「事業部門ごとにシステムが乱立し管理が煩雑化している」など、IT環境が適切にコントロールされていない企業は、現状においても少なくありません。こういった状況ではビジネス環境の変化に即座に対応したり、コストの最適化を図ったりすることは困難となります。

 そこで、本特集では、「IT基盤の最適化」を実現するためのポイントについて、検討すべき項目や実際の事例を通じて解説していきます。第1回は、昨今多くの企業が課題を感じている「グローバル視点でのIT統制」について、NTTコミュニケーションズの木村昭仁氏、大村友和氏にお話を伺いました。

 

事業のグローバル化で重要性が増すIT統制

 クラウドサービスの著しい進歩により、近年では基幹系システムのクラウド化複数のクラウドを使い分けるマルチクラウド化の潮流など、企業を取り巻くIT環境は大きく変化しています。また、事業のグローバル化に伴い、世界各地に分散しているIT環境の最適化を検討したいというニーズも高まっています。その中で、解決すべき課題の一つとして認識されているのが「IT統制」です。

 「IT統制」自体は新しいキーワードではありません。古くは2001年に発生したエンロン事件(巨額の粉飾決算によりエネルギー大手のエンロンが破綻)以降、日本においても多くの企業が内部統制の強化に取り組み、その中でIT統制についての対応が図られてきました。その後も個人情報保護への対応など、セキュリティ観点での統制の流れもあり、継続的に議論されるテーマとなっています。

 それにもかかわらず、現在、多くの企業がIT統制を課題として挙げる背景に、「近年のビジネスを取り巻く環境の変化が関係しています」と話すのは、NTTコミュニケーションズのコンサルタントである木村昭仁氏です。

「まず初めに、企業における海外の売上比率が高まり、海外拠点が単なる小規模事務所という扱いではなくなったことが挙げられます。会計上もIT統制上も、組織としてしっかり取り込んだ形で管理することが求められようになりました。それに加えて、M&Aの増加もあります。企業文化も管理手法も異なる企業との融合を模索する中で、ITを活用した統制や連携が検討されている状況です。」(木村氏)

 そのような中、日本の情報システム部門の中には、海外IT資産は管理対象外という会社も多くあり、実質的に個別管理となっている企業も少なくありません。しかし昨今の状況から「海外も管理対象とする」もしくは「グローバルIT管理組織を立ち上げ統制を図ろうとする」企業なども増えてきています。このように海外を含むIT統制への備えをする企業が増えている状況ですが、検討のポイントとして木村氏は以下を指摘しています。

「IT統制はあくまで手段であり、先行して検討すべきは、統制によって得られるビジネスへの効果、意義です。つまり、ビジネススタイルに合わせてITをうまく活用し、統制した企業がグローバル競争の中で勝ち残ると考えられます。

 なお、近年のグローバルビジネス上の課題感としては、以下に示す3つのポイントに対する可視化やシームレス化への対応が多く挙げられている状況です。」

【ポイント1】グローバルビジネスに関わる共通の課題感(3つの統制課題)

・誰が何を売っているのかわからない → 経営の可視化・連携
・受注から出荷までの状態が見えない → 業務プロセスの可視化・連携
・事業部間でノウハウ展開ができていない → 作業の可視化・連携

 

4つの視点から自社における統制の在り方を検討

 それでは、実際にIT統制の検討はどのように進めるべきでしょうか。木村氏は、「統制の検討として、4つの視点で議論を進めるべきではないかと話します。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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