事例に学ぶグローバルビジネスを支えるクラウド環境(第2回)

コストや開発期間を約5割削減したDNPのIT戦略

2014.12.10 Wed連載バックナンバー

 ビジネスのグローバル化が加速する今日、海外拠点においてITシステムが担う役割はますます大きくなっています。しかし、拠点ごと個別にシステムを構築する場合、稼働までに長い時間がかかるだけでなく、各国におけるセキュリティレベルの統一、コンプライアンス強化、および、グローバル全体でみたIT投資の最適化といった課題が生じることがあります。

 今回ご紹介する大日本印刷株式会社(以下、DNP)もまさにそういう課題を抱えていましたが、東南アジアで2つの拠点を開設するにあたり、クラウドを活用した新たな試みにチャレンジしました。同社が選択した手法は果たしてどのようなものだったのでしょうか。

 

拠点ごとにシステムを構築する“局地戦”ではビジネスのスピードに追従できない

 DNPは、1876(明治9)年に印刷会社として創業。現在も国内最大手の印刷会社であると同時に、エレクトロニクスや生活関連産業の分野にも事業を展開し、全世界でトップシェア製品を数多く生み出しています。同社は、「これからの社会に向けて私たちが目指し、実行していくことを『未来のあたりまえを作る。』」という言葉で表現。企業や生活者、社会の課題を解決する新しい製品やサービス、仕組みを生み出し、それらを日々の生活やビジネスになくてはならない“あたりまえ”なものにしていくことに日々取り組んでいます。

 さらに同社ではビジネスのグローバル展開も積極的に推進しており、北米、ヨーロッパ、アジアに多くの拠点を開設。今後の市場成長が見込まれるASEAN地域への進出は特に注力しています。このようなグローバル化を加速させる中、拠点展開においてITシステムの運用にいくつかの課題を抱えていました。DNPグループのIT業務を担う株式会社DNP情報システムで執行役員を務める宮本和幸氏は、その課題を次のように総括します。

「海外への営業拠点・生産拠点の展開が急速に進む環境下、ITもそれに速やかに追従していく必要がありますが、従来は利用部門が中心となって拠点ごとにシステムの選定や導入を行っていました。我々はそれを“局地戦”と呼んでいますが、事前調査を含めシステムを最初から構築していく必要がありますので、導入まで1年近くを要することもあり、ビジネスの現場が求めるスピード感にITの整備が追いついていけない実情がありました。また、拠点ごとにオンプレミスでシステムを構築するため、各国におけるセキュリティレベルの統一、コンプライアンス強化、および、グローバル全体でみたICT投資の最適化といった課題があると感じていました」

 

“小さく生んで大きく育てる”。柔軟に拡張可能なクラウド基盤に着目

 そこでDNPでは、ベトナムとマレーシアの拠点を開設するにあたり、グローバル共通で使えるIT基盤の本格的な検討に着手。その具体的な手段として浮上したのが、クラウドサービスの導入でした。もちろん、従来と同じくオンプレミスでの構築も並行して検討されたといいますが、最終的に選択されたのはクラウドでした。そこには、どのような判断基準があったのでしょうか。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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