徹底解説!基幹系システムのクラウド移行(第6回)

IBM iのクラウド化を実現した西華産業の挑戦

2015.07.24 Fri連載バックナンバー

 クラウドサービスの利用が急速に拡大するに伴い、従来自社で構築していた基幹系システムをクラウド基盤に移行する企業が増えています。しかし、“オフコン”としてこれまで幅広い企業に利用されてきたIBM i(旧AS/400)サーバーの移行は、あまり進んでいないのが現状です。そのような中、機械系商社として知られる西華産業は、IA系に加え、IBM iのクラウド化を同時に実現しました。同社はどのような手法でそれを成し遂げたのでしょうか。

 

更新時期を迎えたシステムのクラウド化とDRサイトの構築を決定

 西華産業株式会社は、発電・エネルギー、環境・保全、化学・繊維、エレクトロニクスなど、幅広い分野における設備や機器を取り扱う商社です。特に三菱重工業株式会社との強いパートナーシップのもと、発電・エネルギー分野に強みをもち、近年では安全や環境に配慮した設備・機器の提供にも注力。グローバル展開においては、従来の米国、欧州、中国といった地域に加え、タイをはじめとした東南アジアへの事業展開に力を入れています。

 西華産業の事業推進や会社経営を支えているITシステムは、従来すべて自社運用すなわちオンプレミスでしたが、2011年12月に同社はクラウド利用という方向へ舵を切ります。そして、2012年6月より更新時期を迎えたシステムから順次クラウド基盤へ移行し、2015年5月には基幹系システムのクラウド基盤への移行を完了しました。この移行プロジェクトでは、WindowsなどのIA系サーバーに加え、これまでクラウド化があまり進んでいなかったIBM iサーバーを同時に移行したことが大きな特徴として挙げられます。

 同社システム部部長の高橋昌志氏は、基幹系システムのクラウド移行検討に至った経緯を振り返ります。「基幹系システムのクラウド移行の前に、基幹系を除くサーバーのクラウド化と基幹系のディザスタ・リカバリ(DR)サイト構築という課題がありました。当社では社外のデータセンターにサーバーを設置し自社運用していましたので、ハードウェアやOSの更新があると、自分たちで対応しなければなりませんし、日常の運用においても故障対応などの負荷が増大していました。そうした背景から、更新時期を迎えたサーバーを順次クラウドに移行しようという方針を2011年12月に立てたのです」。基幹系システムに関しては、同年7月にオンプレミスでの再構築が完了したばかりであったため、クラウド移行は視野に入っていなかったと言います。

 さらに高橋氏は続けます。「基幹系のDRサイトに関しては、BCPの観点から対応を迫られていました。社外に借りていたデータセンターは非常に堅牢なファシリティを備えていましたが、地下の立地であるため、大規模な津波が東京を襲った際に水没してしまう危険性がありました。そのような事態に見舞われると、当社の業務がすべて停止してしまいますので、どこか遠隔地にバックアップサイトを構築しなければならないと考えました」

 

DRサイト構築に合わせて基幹系システムのクラウド移行を検討

 基幹系を除くシステムのクラウド化は、2012年6月以降順次進められていきましたが、当初2013年度をターゲットに策定された基幹系のDRサイト構築に関しては、消費税率引き上げへの準備時期と重なり、システム部としてそちらの対応に注力せざるを得ない状況が生じたため、1年ほど延期されることとなりました。

 そうした時間の経過に伴い、今度は基幹系システムの方にも新たな課題が表出します。… 続きを読む

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Bizコンパス編集部

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