事例で見る「クラウド+データセンター活用術」(第1回)

クラウドとデータセンターの併用でコスト削減を実現

2013.10.04 Fri連載バックナンバー

 ランニングコストの削減や運用負荷の軽減を目的として、オンプレミスで運用していたシステムをクラウドに移行する動きが加速しています。ただ、実際にはすべてのシステムをクラウド化するのは容易ではありません。そこで検討したいのが「クラウドとデータセンターの組み合わせ」です。ここでは、「ある流通会社の事例」をもとに、これからのIT環境のあるべき姿を探ります。

 

クラウド+データセンターでシンプルなIT環境を実現

 ネットワークの先でサービスとして提供されている、サーバーやソフトウェアを利用してIT環境を構築するという「クラウド・コンピューティング」は、着実に多くの企業に根付きつつあります。2011年に実施された調査によると、約3割もの企業がクラウドサービスを利用していると回答しています。

 このように、クラウドサービスが広まった理由の1つとしては、「コスト削減に有効」であることが挙げられるでしょう。ハードウェアやソフトウェアライセンスを購入する必要がないためイニシャルコストを大幅に削減できるほか、ハードウェアの運用などをサービス提供事業者に任せられるため、ランニングコストも抑えられる可能性があります。

 このクラウド・コンピューティングの利用形態として、現在広まっているのは仮想サーバーをネットワーク経由で使う「IaaS(Infrastructure as a Service)」です。この仮想サーバー上にWindowsやLinuxといったOSをインストールすれば、通常のサーバーと同様に使えるため、幅広いシステムをクラウド化できるメリットがあります。ただ、企業システムのすべてをクラウド化できるとは限りません。仮想サーバーに移行できないシステムとしては、IaaS側が対応していないOSを使って構築されたシステム、あるいはハードウェアと一体化して提供されている汎用機(メインフレーム)などがあります。

 このようにクラウド上で運用するシステムと、クラウド化できないシステムが混在するといった際に便利なのが、データセンターと組み合わせて利用できるクラウドサービスです。

 クラウドとデータセンターをそれぞれ個別に利用する場合、IT環境全体が複雑になってしまうため、管理の負荷が増大するほか、問題が発生したときに自社で原因を特定して適切なところへ問い合わせなければならないなどの手間がかかります。しかし、クラウドとデータセンターが一体的に提供されているサービスであれば、IT環境をシンプル化できることで管理負荷を抑えられるほか、問い合わせ先も1社で済むため障害発生時の対応もスムースに進められます。このように、運用負荷を抑えつつ「ハードウェア、ソフトウェアの購入、導入、保守が不要」、「迅速にサービス(アプリケーション)を利用できる」など、多くの企業が実感しているクラウドのメリットを活かしたIT環境を構築できるのは大きなポイントでしょう。

 

複数のデータセンターで数百台のサーバーを運用

 実際に、既存システムで使っていたサーバーの多くをクラウド上に移行しつつ、一部のサーバーやメインフレームを同じサービス提供事業者のデータセンターに移行し、大幅なコストダウンを実現した事例として、全国に店舗展開している流通業のA社があります。この事例を具体的に紹介していきましょう。

 A社には管理業務やお客さまにサービスを提供するためのサーバーが数百台規模で存在し、それらは各システムを構築したシステムインテグレーターが選定する複数のデータセンターに分散しているという状況でした。こうした環境のために管理が複雑化しており、また運用コストも大きく膨らんでいたのです。こうした状況を改善するため、同社の情報システム部門では運用コストを従来の2/3に削減する方針を固めます。

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Bizコンパス編集部

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