ビジネススピードを加速するIT基盤(第6回)

SAP ERPのクラウド移行はICT基盤刷新の大チャンス

2017.12.01 Fri連載バックナンバー

 「SAP ERP」を中心とした基幹系システムのクラウド化において、欧米において高い評価を得ているのがVirtustreamのサービスです。同社のサービスはグローバルで250以上の企業に導入されているほか、創業初期より「SAP HANA Enterprise Cloud」のグローバルプレミアムサプライヤーに認定されるなど、SAP社からも信頼を得ています。そのVirtustreamのサービスについて同社の坂本環氏、Virtustreamと提携してサービスを展開するNTTコミュニケーションズの西原創太郎氏にお話を伺いました。

 

気になる見出しをクリック

基幹システムの移行で求められるクラウドサービスの見極め

 昨今、大手企業における基幹系システムのクラウド移行事例が増加し始めています。その背景としては、クラウドサービスの進化やユーザー企業およびシステムインテグレーターにおけるノウハウの蓄積、信頼性やセキュリティといった面での不安が解消されつつあることなどが考えられるでしょう。

 しかしながら実際にクラウドサービスを選定する際には、基幹系システム特有の要件について十分に検討し、適切なクラウドサービスを選択することが求められます。

 スモールスタートでプロジェクトを開始し、状況に応じて規模を拡大したり、場合によっては即座にサービスを停止したりすることもある、いわゆるモード2と呼ばれるシステムでは、パブリッククラウドがもたらすメリットは小さくありません。しかし基幹系のようなモード1のシステムでは、一定のリソースを長期間確保することが前提となります。このように利用方法が大きく異なるため、一般的なパブリッククラウドではコスト最適化を図れない可能性が十分に考えられます。

 さらに、基幹系システムではインフラに求められる要件も異なります。ミッションクリティカルなワークロードは、I/O負荷が高く、ステートフルであることも要求されます。従来のハイパースケール型のクラウドでは、ネットワークもストレージも共有していますが、これではミッションクリティカルなアプリケーションをうまく運用することはできません。

 このようなニーズに対応するべく、SAP ERPをはじめとする基幹系システムの運用に特化したクラウドサービスを提供しているのがVirtustreamです。すでにクラウドサービスは多様化の時代を迎え、多くの企業がシステムの内容や用途に合わせてクラウドを選択する、マルチクラウド環境でITインフラを構築し始めています。その中で基幹系システムのためのクラウド環境としてVirtustreamを選択することで、企業はさまざまなメリットを享受することが可能になります。

グローバルで250以上の企業がVirtustreamを活用

 基幹系システムのクラウド化というニーズに対し、独自のテクノロジーで応えてきた1社がVirtustreamです。同社は「SAP HANA Enterprise Cloud」のグローバルプレミアムサプライヤーにも認定されており、そのサービスはグローバルで250以上の企業に利用されています。

 ハイパースケーラーと呼ばれるクラウドプロバイダーは、リソースを高いレベルで共有することにより、低コストでソリューションを提供します。しかしVirtustreamはコスト競争力だけでなく、パフォーマンス、可用性、セキュリティがオンプレミスと同等、あるいはそれ以上のものを提供することにフォーカスしています。

ご覧いただくにはログインが必要です。

新規会員登録(無料)はこちら

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

コスト最適化を実現するVirtustreamの独自技術「μVM(マイクロブイエム)」

 Virtustreamのサービスはグローバルで展開しており、日本ではNTTコミュニケーションズとパートナーシップを結び、「Enterprise Cloud for SAPソリューション」として提供しています。最高99.999%の稼働率を保証するSLAを提供しているほか、世界トップレベルの高品質を実現したNTTコミュニケーションズのデータセンターである「Nexcenter」内にサービス基盤が構築されているため、セキュリティ面でも安心です。またインターネットアクセスを必要とするワークロードと物理的に分離したシステム構成であることもセキュリティ上の大きなメリットです。

 DR(ディザスターリカバリー)構成を標準メニューとして提供していることも見逃せないポイントとなっています。NTTコミュニケーションズの東京と大阪の2つのデータセンターでDRグループが構成されており、DRメニューを選択したワークロードについてはサービスに組み込まれたネットワーク経由でストレージレプリケーションを行います。災害などが発生した際には、プライマリのデータセンターからセカンダリデータセンターの予約リソースへフェイルオーバーすることで事業継続を可能にしています。

Virtustream社との協業による基幹システム専用クラウド

 このVirtustreamの特徴的な仕組みとして「μVM(マイクロブイエム)」と呼ばれる課金体系があります。通常のパブリッククラウドでは、契約したサーバープランのスペックごとに料金が設定されており、それに利用時間を掛けて請求金額が決まります。提供されるサーバーが持つリソースをフルに使い切らなかったとしても、請求される金額は変わりません。

 一方VirtustreamのμVMでは、実際に利用したリソースの消費量に基づいて請求が行われます。具体的には、200MHz CPU/40IOPS/768MB RAM/2Mbpsの帯域幅を1単位(1μVM)として使用状況を分析し、その結果によって請求金額が決まります。

特徴:エンタープライズ向けに設計されたクラウド

ご覧いただくにはログインが必要です。

新規会員登録(無料)はこちら

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

SAPの将来のロードマップやポートフォリオにも追随

 基幹系システムをクラウド化する場合、リソース不足によるレスポンスの低下などを避けるため、ある程度の余裕を持たせてサーバープランを選択することが一般的でしょう。しかし、それではサーバースペックに余剰が生まれてしまい、料金の無駄が発生してしまいます。一方、実際に消費したリソースに対してのみ請求されるVirtustreamであれば、コストの適正化が図れます。Virtustreamの坂本環氏は、「μVMは我々が特許を取得した極めて特徴的な部分であり、これによって多くのお客さまがTCOを削減しています」と述べました。

 このように特徴的な料金体系でサービスを提供しているだけでなく、SAP社との強力なパートナーシップのもと、サービスを展開していることも強みとなっています。

 「SAP社では、SAP HANA Enterprise Cloudとしてクラウドサービスを提供していますが、それを下支えしているのが、全世界で5社のグローバルプレミアムサプライヤーです。Virtustreamはその中の1社であり、SAP社のクラウドサービスを支えています。またERPに派生し、IoTプラットフォームである『SAP Leonardo』にどうつなげるかといったことも将来的には視野に入るでしょう。VirtustreamはSAP社と密に連携し、SAPソリューションの将来のロードマップ、ポートフォリオにも責任を持って追随していきます」(坂本氏)

事前検討から導入支援、運用監視までトータルでサポート

 一般的なパブリッククラウドはIaaS提供事業者とOS以上の運用を行う運用ベンダーは異なるケースが一般的で、大規模な基幹システムを構築するには信頼性や運用保守性への不安からオンプレミスを選択するケースがありました。

 Virtustreamと提携してサービスを展開するNTTコミュニケーションズでは、基盤提供と基幹システムの運用をバンドルし、「Managed Cloud」としてEnterprise Cloud for SAPソリューションを展開しています。事前検討から導入支援、運用監視までをサポートする体制を整え、基幹システムに求められる複雑な運用や信頼性の高いサービスをご提供しています。またテクニカルアカウントマネージャーがお客さまごとにサポートする体制もあり、たとえばSAP ERPのバージョンアップなどにも個別に対応することが可能です。

Enterprise Cloud for SAPソリューションサービスメニュー

 ライセンスの問題などからパブリック型のクラウドが利用できない場合は物理サーバーそのものを提供するベアメタルやOpen Stackベースのパブリッククラウドとして利用可能な「Enterprise Cloud」と組み合わせて利用できることもポイントで、基幹アプリケーションの周辺システムも含めたクラウド化にも対応します。その上、グローバルでサービスを展開しているため、海外拠点まで含めたクラウド化をサポートできることも利点となっています。

 これまでの基幹システムはオンプレミス上に周辺システム含めて1カ所に置き、個別にカスタマイズをするスタイルが主流でした。SaaSPaaSの登場やIoT・ビッグデータといった新たな領域へのシステム化の広がりにより、今後基幹システムは複数のクラウドに分散配置され、異なるクラウド間を超えて頻繁にシステム連携が必要となると考えられております。

 NTTコミュニケーションズではさまざまな企業に対し、ERPのクラウド化を支援しています。同社の西原創太郎氏は、その事例の一部を紹介しました。

 「私どもがお手伝いしたある部品製造業のお客さまでは、グローバルでサプライチェーンの見える化、そして災害対策をクラウドで実現されています。このプロジェクトで鍵となったのは生産管理で、そこはPaaSを使って独自開発しています。また別の製造業のお客さまではCRMや経費精算はSaaSで実現し、ERPをIaaS上に構築しています。IoTにも取り組まれていて、製品の販売先企業の機器からインターネット経由で情報を収集し、それをアフターサービスにつなげられています」

 

事例1:部品製造業クラウドERP活用事例

事例2:製造業クラウドERP活用事例

 セキュリティについては、前述したようにサービス自体が安全なデータセンターで運営されているほか、インターネットと物理的に切り離した形で運用されているといった特長がありますが、さらにマネージドセキュリティサービスである「WideAngle」を組み合わせて利用することも可能になっています。特に基幹系システムには機密性の高いデータも多数含まれることを考えると、セキュリティに関しても幅広いサポートを受けられることは安心材料となるでしょう。

 クラウドの利用ではネットワークも重要な要素となります。特に今後クラウドの利用率が高まった場合、重要になるのがクラウドやデータセンター間を結ぶネットワークです。複数のクラウドを利用し、さらに多くのデータがクラウドに蓄積されるようになれば、当然ながらネットワークの負荷は高まります。この際、クラウド間、あるいはクラウドとデータセンターを結ぶ“裏側”のネットワークがきちんと整備されていれば、クラウドとオフィスを結ぶ“表側”のネットワークの負荷を下げられるでしょう。

 この点について西原氏は、「NTTコミュニケーションズのEnterprise Cloudやデータセンターは、世界中の拠点とネットワークを接続しています。そのような回線を使って裏側のネットワークをしっかり構築すれば、表側のネットワークのコストを下げられます」と解説しました。

グローバルでマルチクラウドインフラの提供

 NTTコミュニケーションズは複数のクラウドサービスを統合管理できる「Cloud Management Platform」を提供しており、これを利用することで「海外拠点がどのようにクラウドを利用しているのか把握できるようになり、ガバナンス面での効果を期待できます」と西原氏は述べます。

 クラウドの多様化は急速に進んでおり、サービスによってさまざまな違いがあります。その中でもVirtustreamはミッションクリティカルな基幹系システムの運用に最適化されたサービスであり、それをサービス化したEnterprise Cloud for SAPソリューションを利用すれば、クラウドのメリットを最大限に生かしつつ、コスト最適化が図れます。特に「SAP」を中心としたシステムのクラウド移行を検討しているのであれば、ぜひ視野に入れたいサービスです。

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

このテーマについてもっと詳しく知りたい

関連キーワード

Bizコンパス編集部

Bizコンパス編集部

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter