ビジネススピードを加速するIT基盤(第3回)

人材不足やIT環境複雑化を解消する“運用改革”とは

2017.09.06 Wed連載バックナンバー

 複数のクラウドサービスの利用やデジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みの強化などで進む、企業のIT環境の高度化・複雑化。運用管理の対象となるシステムが増大する中、IT部門は全体最適化の観点も求められるようになっています。ある企業でクラウドの利用状況を把握する取り組みを行ったところ、管理部門で把握している10倍ものリソースを使っていたことが判明するという事例もありました。

 日本全体における労働力不足も看過できません。この先、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、定年を先延ばししても労働力としてカウントできなくなる「2025年問題」が待ち受けています。運用業務が高度化する一方で、対応できる人材の絶対数が限られてくることから、IT部門における運用人材の不足は深刻さを増しているのです。

 デジタルトランスフォーメーションをはじめとする新たな潮流に対応するために限られた人員を割り当てる必要があり、従来のような人手に頼った運用では、すぐに行き詰まってしまうでしょう。いま必要なのは「IT運用業務の改革」です。では、具体的にどのように取り組んでいけばいいのでしょうか。

 

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マルチクラウドの利用増によるIT環境の複雑化

クラウド環境の「マネジメント」と「アドミニストレーション」

 ビジネスサイズなどに合わせて自由にリソースを拡縮できる柔軟性、あるいは必要なときに即座に使い始められる迅速性といった特性を持つクラウドは、デジタルトランスフォーメーションに取り組む上で欠かせない存在でしょう。もちろん、基幹系システムのクラウド化、あるいはメールおよびグループウェアに代表される情報系システムのSaaS移行など、既存のITシステムのクラウド化も着実に進んでいます。

 このように幅広い領域でクラウドを使うようになれば、用途に合わせて最適なクラウドサービスを選択するマルチクラウドの考え方に至るのはごく自然な流れでしょう。実際、複数のクラウドサービスを使い分けている企業は、もはや珍しくありません。運用業務において問題が生じやすいのが、このマルチクラウド環境です。

マルチクラウドは増加傾向

  クラウド環境における運用業務は、「マネジメント」と「アドミニストレーション」の2つに分けて考えることができます。まずマネジメントについては、システムの構築と運用の最適化といった目標が設定されることが多く、クラウド上のインスタンスの立ち上げやネットワークの設計、バックアップなどといった作業を迅速かつ効率的に行うことが重視されます。クラウドを利用する際には、それぞれのサービスごとに異なるベストプラクティスや、社内ポリシーとの整合性などを加味して標準的な手順を整備しなければなりません。ここで問題となるのは、これらについて理解していなくてもインスタンスを立ち上げて利用できてしまう点です。

 そこで昨今では、「Chef」や「Puppet」といったオープンソースプロダクト、あるいはヒューレット・パッカードの「Helion CloudSystem」やIBMの「IBM Cloud Orchestrator」など、複数のクラウドサービスの運用作業を一元的に実施できるクラウドオーケストレーターと呼ばれるツールが提供されています。これらを活用することにより、それぞれのサービスの特性に合わせて、適切な形でクラウドを利用するようにコントロールできます。

IT部門における各々の課題感

 

クラウド利用状況を把握できない…管理部門の不安

 根深い問題を抱えていることが多いのは、2つ目のアドミニストレーションです。こちらは利用状況を把握し、ITガバナンスを担保しつつITのROIを最適化することが本来の目的であり、たとえば事前に策定したクラウド利用ルールから逸脱してクラウドを使っていないかなど、クラウドの活用状況をチェックする作業などが該当します。

 この領域における代表的な課題として、利用状況の透明性の確保が挙げられます。どのサービスをどれだけ使っているのかは請求書でわかりますが、請求内容からはその利用意図までは読み取れません。一般的には、クラウドを利用した部門にヒアリングを行い、利用が発生していること自体が正しいのかどうかも含めて目的を確認しなければなりません。

 セキュリティ面での不安も大きいようです。適切なパスワード設定や、サイバー攻撃対策の実施など、安全なクラウド利用のためのルールを策定し、周知するなどの対策が一般的です。しかし、実際にルールが守られているかどうかを把握するのは容易ではありません。チェックシートへの回答により状況を把握するといった方法がありますが、回答が実情を反映しているとは限らないため、その有効性には疑問が残ります。

 利用状況の把握やセキュリティの実施を目的として過度な管理の強化をすれば、手続きが煩雑になるとの理由から、管理部門の目を盗んで勝手にクラウドを利用するシャドーITが蔓延するといったことも起こりえます。

 

【対策】マルチクラウド環境を効率的に管理できる「Cloud Management Platform」

 このようにアドミニストレーションの領域における課題は少なくありませんが、クラウドの利用状況を把握するためのツールは少ないのが現状です。こうしたニーズに対応できる、数少ないサービスの1つがNTTコミュニケーションズの「Cloud Management Platform」です。

 Cloud Management PlatformはNTTコミュニケーションズの「Enterprise Cloud」のほか、「Amazon Web Services」や「Microsoft Azure」といった他社のクラウドサービスにも対応したサービスです。それぞれのクラウドサービスの利用料金を即座に把握できるだけでなく、リソースの用途などを管理するためのタグおよびメタデータ機能も提供されています。事前に定めたテンプレート(パッケージリスト)に基づいてクラウドサービスを利用するサービスカタログ機能や、申請や承認のためのワークフローの仕組みもあり、セキュリティやガバナンスの強化にも有効です。

ユースケース:コストの可視化

Service Catalog

 実際にCloud Management Platformを使ったある企業では、管理部門で想定していた10倍ものリソースをAmazon Web Servicesで使っていたことが判明したといいます。このようにクラウドの利用を適切に把握できていなければ、ITコストの無駄遣いが生じかねないほか、ITインフラの複雑化やセキュリティレベルの低下など、さまざまな問題の原因にもなりかねません。マルチクラウド環境の管理に課題を感じているのであれば、まずはトライアル(PoC)からCloud Management Platformの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

デジタルビジネス推進に向けた運用改革の必要性

運用業務の見直しで重要になる「標準化」と「自動化」の視点

 ビジネスのデジタル化を考える際、IT部門の人材が不足していて新しい領域に人手を割けないというのも多くの企業が抱えている課題でしょう。そもそも欧米と比べると日本はIT部門の人員が少なく、さらにそのような人材の多くが既存環境の運用などに割り当てられているため、なかなか新しいことにチャレンジできない状況に陥っています。

 そこで必要となるのは運用の見直しです。特に運用業務の効率化を考えるのであれば、「標準化」と「自動化」の視点は欠かせません。

 ある運用業務が特定の人に依存している状況を放置すれば、その人の退職などによって業務を離れることになった際に運用が滞ることになりかねません。そこで運用業務を洗い出し、運用プロセスの標準化を行うことは重要です。加えて、人が関与することなく運用できるように自動化の仕組みをプロセスの中に埋め込むことができれば、さらなる効率化が図れます。

 

運用プロセス全体を見渡して最適化に取り組むことの重要性

 この運用業務の標準化や自動化はすでに多くの企業で取り組まれていますが、思うような成果が得られないというケースは少なくありません。その背景にある理由の1つとして考えられるのが、全体最適の視点の欠如です。

 たとえば特定のシステムを監視し、異常があればシステムを再起動するといった自動化はすでに多くの企業で導入されていますが、プロセス単体での自動化では効果は限定的でしょう。標準化や自動化の効果を最大化するためには、運用業務を全体的に見渡し、プロセス横断的な最適化を意識する必要があります。

 しかし自社のリソースだけで、運用業務全体の標準化や自動化に取り組むのはハードルが高いのも事実です。

 

【対策】運用の高度化を実現する「Global Management One」

 しかしながら複雑化したIT環境の運用業務をすべて洗い出し、自動化に向けて取り組むのは容易ではありません。このような取り組みには当然ながらノウハウが必要となるほか、日々の運用業務に追われている状況の中では、そのための余剰リソースを捻出することも困難でしょう。

 そこで検討したいのが、運用業務の標準化や自動化についてのノウハウを持つ運用のアウトソーシングサービスの活用です。その1つとして取り上げたいのが、NTTコミュニケーションズの「Global Management One」です。同様のRIM(Remote Infrastructure Management)サービスはいくつかありますが、ネットワークキャリアとクラウドプロバイダーの両方の顔を併せ持つベンダーが提供しているという点で注目すべきサービスです。

 特徴として挙げられるのは、独自の自動化技術にITサービスマネジメントのベストプラクティスであるITIL v3を融合し、効率的な運用を実現している点です。実際、サービス利用時に、ITILv3の視点で運用手順を作り込みます。プロセスを最適化したうえで自動化することで、運用の標準化と効率化を実現しているのです。

 マルチクラウド環境に対応していることも特長であり、同社のEnterprise Cloudのほか、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureで構築されたシステムの運用管理にも対応しています。そのため、利用しているクラウドごとにアウトソース先を使い分ける必要がなくなり、IT環境全体の運用管理を一括して任せられるのは大きなメリットではないでしょうか。

 さらにGlobal Management Oneでは、このサービスを提供するためにNTTコミュニケーションズが使っているシステムとノウハウだけを提供し、実際の運営はユーザー企業側で行うというプラットフォームサービスも用意されています。人的リソースはあるが、運用業務の標準化や自動化のためのノウハウがないといったケースにおいて、このプラットフォームサービスは有効でしょう。

GMOneプラットフォームサービス

GMOne プラットフォームサービス導入事例

 運用業務の改革は新たな成長を勝ち取るために必要な取り組みです。ぜひ早いタイミングで着手し、“チャレンジするIT部門”への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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Bizコンパス編集部

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