デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて(第6回)

SAPとNTT Comが推進する「日本発IoT」

2017.11.15 Wed連載バックナンバー

 IoTやAIといった技術を活用したデジタルトランスフォーメーションは、現在進行形で多くの企業の事業や社会を変革しつつあります。2017年8月に開催された「SAP Forum Tokyo」では、このデジタルトランスフォーメーションの具体的な事例がSAPジャパン株式会社 代表取締役社長の福田譲氏、そしてNTTコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長である庄司哲也氏から語られました。このセッションの模様をレポートします。

 

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建設現場をデジタルトランスフォーメーションする「LANDLOG」

 2017年8月4日、東京で開催された「SAP Forum Tokyo」のオープニングセッションにおいて、SAPジャパン株式会社 代表取締役社長の福田譲氏、そしてNTTコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長の庄司哲也氏がそれぞれ登壇し、お互いの立場からデジタルトランスフォーメーションの事例について語られました。

 まず福田氏は冒頭で建設生産プロセス全体をつなぐ、新たなプラットフォームである「LANDLOG(ランドログ)」を紹介します。これは2017年10月に建設事業者向けに提供開始することを目指して開発が進められているソリューションであり、建設生産プロセス全体のIoT基盤となる新プラットフォームの企画・運用をコマツと株式会社NTTドコモ、SAPジャパン株式会社、株式会社オプティムの4社が共同で行うという内容です。

「LANDLOG(ランドログ)」概念図

 福田氏はまず、これまでの工事現場や建設現場は、調査や測量、設計、工事の実行と管理、検査、維持や保守といった各工程がそれぞれ個別に実行されてきたと指摘します。そこでLANDLOGでは、IoTを活用してこれらすべてのプロセスやモノをリアルタイムに見える化し、全体の最適化を図るとした上で、次のように続けました。

 「個々の建設生産プロセスで集めたさまざまな情報を、クラウドを介してさまざまなプレイヤーで共有するとともに、AIやアナリティクスなどを活用して、建設プロセスの最適化や安全で生産性の高い現場を実現する。そのためのプラットフォームがLANDLOGになります。そして土木建設にかかわる世界中のすべてのプレイヤーのモノ、コトをつないでコグニティ化し、皆でよりよくしていくことを目指しています」

 このようにLANDLOGの取り組みについて解説した上で、日本の建設土木技術は世界に通用する、日本が誇れるものの1つだという認識を示し、「それをIoTなどの技術を使って解明するとともに、さらに次のレベルに持ち上げ、世界に一緒に展開していきたい」と意気込みを語りました。

SAPとNTT Comが自動車の安全運行を支援するソリューションを提供

 SAPではNTTコミュニケーションズと連携し、安全かつ先進的な運行管理を実現するためのソリューションも提供します。これはSAPが持つ自動車の共同収集分析アプリケーションである「Connected Transportation Safety」と、NTTが東レ株式会社と共同開発した生体情報を取得できる特殊な繊維である「hitoe®」を組み合わせ、安全運行管理を支援するというソリューションです。

SAP社との連携による新ソリューション -安全運行管理の支援-

 NTTコミュニケーションズの庄司氏は、このhitoeを活用したIoTの取り組みとして、運送業界で働くドライバーのほかにも、コールセンターのオペレーターや、建設現場の作業員、あるいは空港で働く整備士などの安全作業の支援に取り組んでいきたいと話します。

 SAPとのコラボレーションについては、次のように述べて期待感を示しました。

 「私たちNTTコミュニケーションズとSAP様のコラボレーションは、さまざまな形での発展性があると考えています。私たちは特にインフラストラクチャーに強みがありますが、それにSAP様が得意とするアプリケーション領域のサービスを組み合わせることで、日本初のイノベーションを生み出すことができればよいと考えております」

今後の展望 ウェルスマネジメントへの適用

両社の強みが生み出すデジタルイノベーション

 これを受け、SAPの福田氏は「NTTコミュニケーションズ様には世界に誇るデジタル変革を支えるインフラを有していて、我々はそれを利用させていただける立場にあります。この強みを活かし、『NTT Com×SAP×ユーザーの皆さま』といったかけ算で、さまざまなテーマで取り組みを進められればいいと考えています」と語りました。

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サッカー界でも進むデジタルトランスフォーメーション

 セッションの最後に、福田氏はサッカー選手である本田圭佑氏の取り組みを紹介しました。

 本田氏の所属事務所である「HONDA ESTILO」では、SAPのプロダクトである「SAP Sports One」を使用し、サッカー選手のトレーニングや試合中のデータ収集、分析などを行っています。このプロジェクトを紹介するビデオの中で、本田氏は「僕がサッカーを始めたころは、データで分析することはまずなかった。多くの指導者から言われたのは、諦めないであるとか、根性だとか」などと話しつつ、データ分析がもたらすメリットを次のように述べました。

 「SAPを使うことで、毎日新しいデータが入ってきます。その選手は一日にどれだけの距離を走ったのか、どれだけトレーニングを行ったのか。ほぼライブであらゆるデータを入手できて、そこから翌日の練習で改善するための要素が入った練習メニューを考えます。我々はサッカー事業を行っていて、世界中に我々の育成プラットフォームを作っていきたいと考えています。それが現時点の僕のビジョンであり、SAP Sports Oneを使用して、我々のビジネスをシンプル化、最適化することで、企業として成長していきたい」

 最後に福田氏は「日本はAIやロボティクスなどを活用し、生産性を上げていこうということに対して誰も反対しない、非常に希有な状況にあると感じています。チャレンジが必要な状況ではありますが、これを逆にチャンスと捉えて、世界に先駆けて本当に生産性の高い事業を実現できればと思います」と話し、セッションを締めくくりました。

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Bizコンパス編集部

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