デジタルトランスフォーメーション時代の企業戦略(第2回)

“トライアルすら難しい”IoT導入の大きな壁

2017.06.14 Wed連載バックナンバー

 IoTを活用して成果を挙げた企業の事例が増えつつある一方で、なかなか取り組みが進まない、あるいは思い通りの成果が出ないなどと悩むケースも多いのではないでしょうか。そこで、IoTに取り組む際につまずきやすいポイントやその対策について、NTTコミュニケーションズ IoT推進室の佐々木勇祐氏と谷川唯氏に伺いました。

 

気になる見出しをクリック

“まずはやってみる”が難しい…PoCに立ちはだかる大きな壁

 業務上の課題の解決、あるいは新たなベネフィットをもたらす技術として注目を集めているIoT。しかし、それを自社に適用することで得られる効果について、事前に具体的にイメージすることが難しいのも事実です。そもそも従来見過ごされていたデータに着目し、その分析によって価値を生み出すことは容易ではありません。

 そこで多くの企業で取り組まれているのがPoC(Proof of Concept:概念実証)です。データの可視化や分析をしていくことでビジネスにどのような価値をもたらすのかを判断するため、PoCを実施するのは至極当然と言えるでしょう。もちろん、データの可視化や分析など“IoTに取り組むこと”自体は目的ではなく、目的や課題が存在しており、それらを実現・解決するためにIoTはどのように役立つのかを実証していくというアプローチが重要になります。

 

数あるIoTサービスの中から何を選べばいいのか

 ただし、PoCを実施するフェーズの前につまずくケースも多いと話すのはNTTコミュニケーションズ IoT推進室の佐々木勇祐氏です。

 「現在IoTに関連するサービスは、世の中に数多く存在しています。しかし、それらのサービスが実際にどういったものなのか、自分たちの業務にどう役立つのか、あるいはどのように適用すればいいのかといったことを判断するのは容易ではありません。さらに汎用的なサービスであるほど専門的になりがちで、見極めに時間がかかってしまいます。現状のIoTには通信プロトコルやデータ形式にデファクトスタンダード(事実上の標準)がなく、既存のシステムや業務とのすり合わせが難しいこともIoTの敷居が高くなっている要因の1つと言えるでしょう。このように技術に振り回される傾向があり、プロジェクトを進めることが難しいという悩みを抱えている企業が多いのではないでしょうか」

PoCを回すにも一苦労

 

ITに詳しくない事業部門や現場では使いこなせない

 IoTを実践するために提供されているプロダクトやサービスの多くが複雑で、その習得に時間がかかることも難点の1つではと指摘するのは、同じくNTTコミュニケーションズ IoT推進室の谷川唯氏です。

「IoTを実現するためには、デバイスの管理やシステムとの接続、データの蓄積、分析といったさまざまな処理を行う必要があります。IoTプラットフォームはこれらの処理を行うモジュールを組み合わせて提供しているわけですが、モジュールによって設計思想やアーキテクチャが異なるものが少なくありません。これらのモジュールを最適な形で組み合わせて利用できるレベルにまで習熟するには、かなりの学習コストが発生するでしょう」

 

IoTを始めるときのつまづき

 もちろんITの専門家であれば、こうした壁を乗り越えてIoTプラットフォームを使いこなすことは難しくないでしょう。しかし、そこで注意したいのは、実際にデータを分析して事業や業務に役立てることを考えるのは事業部門や現場であるという点です。

 「これまでに200~300社のお客さまのIoT案件を対応してきましたが、そこでわかったのは事業部門や現場の方がIoTのキーマンであるということでした。そうした方々は決してITに精通しているわけではありません。ITに対して知識やスキルがある方なら、多少アーキテクチャが異なっていても、それぞれのモジュールを組み合わせて最適化できるかもしれませんが、実際にIoTに取り組む方々にとっては難易度の高い取り組みとなります」(谷川氏)

PoCを成功させて、IoTの実現に一歩踏み込むポイントは?

 データの取得まで至ったとしても、どのデータを使うべきかを判断する必要があるのはもちろん、ノイズデータが多い、あるいは精度が足りないなど、さまざまな課題をクリアしなければなりません。そのためには、試行錯誤を繰り返すことが必要と言います。

 佐々木氏は「IoTの適用方法は業種や業界によってバラバラで、決まったやり方はないのです。そのため、業務の専門家がデータを見て検討するという検証作業の繰り返しが必要であり、その反復をどれだけ速く回せるかが競争力の源泉になると考えています」と、迅速に検証を繰り返すことの重要性を説きます。

すぐに効果は得られない

 これらのハードルを乗り越え、IoTの実現に一歩踏み込むためのクラウドサービスとして、NTTコミュニケーションで提供しているのが「Things Cloud」です。IoTゲートウェイや各種センサー、ウェアラブル端末など、IoTデバイスの管理や監視、データ収集を行うためのデバイスマネジメント、IoTデバイスのコントロールや取得したデータの可視化を行うためのユーザーインターフェイス、そしてIoTデバイスや既存システム、別のSaaSと接続するためのAPIを備えており、アプリケーション開発を支援するプラットフォーム(AEP:Application Enablement Platform)として提供されています。

Things CloudはAEPです

 IoTプラットフォームとして提供されているクラウドサービスの多くはPaaSで、ストレージやサーバーといったインフラや、分析用のデータベースをはじめとする各種ミドルウェアまでを提供し、実際に利用する際にはユーザー企業側でインテグレートすることを前提としています。これに対し、Things Cloudは各種機能群をアプリケーションとしてまとめており、「IoTに使いやすい形、かつ、さまざまな企業の利用シーンに合わせていくことができるカスタマイズ性を備えています」と佐々木氏は説明します。

Things Cloudの提供機能

ご覧いただくにはログインが必要です。

新規会員登録(無料)はこちら

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

初期費ゼロ、月額約12万円から!使い勝手を徹底的に追求した「Things Cloud」

 Things Cloudの特長の1つとして挙げられるのが、サービス全体がシンプルなアーキテクチャで統合されている点です。Things Cloudにもさまざまなモジュールがありますが、それらが同じ設計思想に基づいているため、基本を理解すれば各機能を使いこなすことが可能です。

 ITに精通していない人でもデバイスの管理や取得したデータの活用ができるようにGUIで操作できる点もポイントでしょう。デバイスから取得したデータを活用するのは事業部門や現場の人たちであることを考えると、こうしたGUIが用意されていることは大きなメリットとなります。さらに画面上のモジュールは「ウィジェット」として提供されており、さまざまなウィジェットを自由に組み合わせてユーザー自身で画面を作り込むことができます。

つなぐとできること

 このウィジェットには、あらかじめデータポイント表やマップ、画像、SVG、HTMLなど29種類が用意されているほか、ユーザー自身でウィジェットを開発するためのAPIやSDKも提供されています。これにより、データを業務に合わせた形で参照したいといったケースでも、独自にウィジェットを開発して対応することが可能です。

 データの内容に合わせて特定のアクションを起こすといった設定もGUI画面に用意されています。具体的には、IoTデバイスで温度を監視し、しきい値を超えた場合にメールでアラームを通知する、あるいは取得した一定期間のデータをレポートとして送信するといったことが設定することが可能です。GPSを備えたIoTデバイスと組み合わせれば、あらかじめ設定したジオフェンス(仮想的に設定した地理上の境界線)の外にユーザーが出た場合に通知するといった制御も実現できます。

 拡張性も担保されており、スクリプトでリアルタイムにデータ分析を行えるほか、JavaScriptベースのWeb SDKを使ってThings Cloud上にアプリケーションを構築することも可能になっています。IoTデバイスから送信されたデータをAPIで取得し、別のツールやサービスを使ってデータを解析するといったことも考えられるでしょう。

 費用面では、初期費用がゼロで、月額基本料金が118,000円~(税別)。最低利用期間もないため、現場レベルで“まずはやってみる”ことが可能です。

 このサービスについて、佐々木氏は「頭で考えるだけでは、なかなかIoTのメリットを理解できないため、まずやってみることが大切だと思います。そのような部分でユーザーをサポートできるよう、Things Cloudは使いやすさにこだわって開発しています」と説明します。

 IoTは多くの企業で取り組みが始まったばかりの技術であり、こうすればベネフィットを生み出せるといった方法論はまだ確立されていないため、佐々木氏も話すとおり試行錯誤が必要になります。その際、IoTに必要な機能がひと通り網羅されているだけでなく、容易に使うことができるThings Cloudのようなサービスの存在は、ユーザー企業にとって大きな意味を持つのではないでしょうか。

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

ご覧いただくにはログインが必要です。

新規会員登録(無料)はこちら

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

Bizコンパス編集部

Bizコンパス編集部

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter