ニッポンのIoT普及のカギを握る「IoT推進ラボ」(第3回)

コンテスト開催でデータ活用の道を開くIoT推進ラボ

2017.11.24 Fri連載バックナンバー

 産学官連携の組織であるIoT推進ラボは、IoTを活用した先進的プロジェクトの創出や社会実装に向けた取組みの一環として「第3回ビッグデータ分析コンテスト」を実施しています。IoT推進ラボの概要や取り組み、そしてビッグデータ分析コンテストについて、経済産業省 商務情報政策局の鈴江祥典氏と柳田衣里氏にお話を伺いました。

 

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意欲的なプロジェクトを選定し、ビジネス化を積極的に支援

 IoTビッグデータ、人工知能時代に対応し、企業や業種の枠を超えて産学官で連携するための民主導の組織として、2015年に設立された組織が「IoT推進コンソーシアム」です。その中には4つのワーキンググループがあり、その1つである「先進的モデル事業推進WG」、通称「IoT推進ラボ」では、先進的なモデル事業の創出や規制改革などの環境整備を行うことを目的としています。

 IoT推進ラボでは、新たなIoTビジネスモデルの創出やIoTプラットフォーマーの発掘・育成を図るため、さまざまな取り組みを進めています。たとえば、先進的なIoTプロジェクトの発掘と選定のために行われている「IoT Lab Selection(先進的IoTプロジェクト選考会議)」では、選定したプロジェクトに対して資金支援やメンター支援、そして規制改革支援などのサポートを行っています。

IoT推進ラボの活動(概要)

企業間をつなげて新たなビジネス創出を目指す

 支援対象となるのはIoTを活用した先進的プロジェクト全般(企業規模、個人などは問わない)であり、成長性や先進性、波及性(オープン性)、社会性、実現可能性などを考慮して選考が行われます。すでに第4回まで実施されていて、多様な企業が支援を受けています。そのような支援の中でも、特にポイントとなっているのは規制改革支援でしょう。IoT推進ラボの運営に協力する、経済産業省商務情報政策局の鈴江祥典氏は次のように話しました。

 「IoT Lab Selection 第1回でグランプリを受賞した株式会社Liquidのプロジェクトは、訪日観光客の個人認証を指紋で行うというものでした。従来、外国人の方はホテルにチェックインする際にパスポートの確認が必要でしたが、それを指紋認証に代替するという内容です。これまで外国人の本人確認について、パスポートの現物を確認する必要があるのか、それとも指紋認証により呼び出されるデジタル化されたパスポートでよいのかは法律上曖昧な部分があったのです。そこでグレーゾーン解消制度を活用し、指紋認証で問題ないということを確認しました」

第1回 IoT Lab Selection 受賞プロジェクト

 このほかの取り組みとしては、“尖った”シーズ技術を持つ企業と、新しいビジネスに対するニーズがある企業等をマッチングし、市場の創出などを目指す「IoT Lab Connection」があります。

 「観光や製造、ヘルスケア、スポーツ、物流、流通などさまざまなテーマに関する企業に集まっていただき、マッチングするイベントを定期的に開催しています。これまで5回実施し、おおよそ2,500件のマッチングが成立しました」(鈴江氏)

IoT Lab Connection 企業連携促進(ソリューションマッチング)

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データの公開により新たなアイデアが生み出された「ビッグデータ分析コンテスト」

 IoT Lab Connectionと同様、企業の連携支援を目的とした取り組みとしては「ビッグデータ分析コンテスト」もあります。こちらは企業などから提供されたビッグデータを活用してデータサイエンティストがアルゴリズムを開発し、その精度を競うコンテストとなっています。学生を含め、広く一般から参加を募り、産業界の課題やデータを対象にデータ分析を行うことで、優秀なデータサイエンティストの発掘や育成、データ提供企業などとのマッチングを図ることが目的です。

 昨年実施された第2回のコンテストは、流通・小売をテーマに株式会社ローソンが提供するデータを使って行われました。具体的には、健康菓子シリーズである『ナチュラルローソン菓子』およびオリジナル菓子シリーズ『おやつごろ。』のPOSデータや商品特性データを元に売り上げ予測や売り上げへの影響が強い要素を解明し、そこで得られたアルゴリズムやノウハウを活用して、消費者ニーズにあった商品提案を競うという内容です。

IoT Lab Connection ビッグデータ分析コンテスト

 このコンテストでは、予測精度やレポート内容を評価する売上予測部門のほか、売れる商品の特性を解明して新しい健康菓子のアイデアを提示する、新商品開発部門も設けられました。注目したいのは後者で、ローソン賞に選ばれたお菓子は実際に商品開発が進められているようです。このようにローソンは、データを開示してコンテストを行うことで新たな商品開発につながるアイデアが得られました。データを公開することのメリットがよく分かる事例と言えるでしょう。

 経済産業省商務情報政策局の柳田衣里氏は「データをオープンにして他社に提供するといったビジネスは、日本ではまだ広まっていません」と話し、次のように続けました。

 「経済産業省としては、さまざまなデータの流通と利活用を推進すべく取り組んでいます。ビッグデータ分析コンテストなどを通じて、データ活用のメリットや成果を多くの企業に感じていただき、さまざまなデータが流通するようになることを目指しています」

リアルのビッグデータを活用して発電量を予測

 2017年10月2日からは、ビッグデータ分析コンテストの第3回が始まっています。今回のテーマは「電力・気象」で、東京電力ホールディングスと気象庁から提供されるビッグデータを活用するコンテストとなっています。

 「東京電力では、神奈川県川崎市の浮島発電所と扇島発電所、そして山梨県甲府市の米倉山発電所の3カ所で太陽光発電が行われています。その各発電所の発電量データと気象予報データ、アメダスデータ、地上気象観測データを用い、発電量予測とデータの可視化を活用したストーリーテリングの2つの部門で競っていただきます」(柳田氏)

 このコンテストは12月21日まで実施されており、2018年2月に審査員が集まって審査会を実施、その後3月にIoT推進ラボ全体の合同イベントの中で表彰式が行われる予定です。なお予測部門は精度賞とアイデア賞、可視化部門はインフォグラフィック賞のそれぞれで金賞から銅賞までが設けられています。ちなみに精度賞の金賞では、トロフィーや20万円の賞金に加えて10万円相当の家電も授与されます。

一般の企業でもデータ分析コンテストを実施できるDeepAnalytics

 ビッグデータ分析コンテストの設計および運営を行っているのは株式会社オプトホールディングで、コンテストのプラットフォームには同社の「DeepAnalytics」が使われています。これはデータを活用したい企業とデータサイエンティストをつなぐ仕組みであり、ビッグデータ分析コンテスト以外にもさまざまな企業に利用されています。

 企業がDeelAnalyticsを利用する際には、まず課題と懸賞金を設定し、一部加工したデータをDeepAnalyticsにアップします。それをダウンロードしたデータサイエンティストは、データを分析して投稿し、コンテスト形式で分析モデルの精度を競います。つまり企業側から見ると、自社の課題に懸賞金をかけて外部のデータサイエンティストに分析してもらうというわけです。

 「DeepAnalyticsのような仕組みが普及し、それを使って企業がデータサイエンティストを採用する。そのような流れが生まれるとうれしいですね」(柳田氏)

 IoTやビッグデータ、AIなどの新しい技術が登場し、多くの業界でデータ活用の機運が高まっています。しかし、その一方でデータをどう活用すべきかが見えてこないという企業が多いのも事実でしょう。それを考える上で、IoT推進ラボのビッグデータ分析コンテストの取り組みは参考になるのではないでしょうか。

 さらにデータ分析に興味を持つ方は、ビッグデータ分析コンテストに応募してみてはいかがでしょうか。そこでデータサイエンティストとして見出されれば、新しいキャリアへの道が開けるかもしれません。


IoT推進ラボ「第3回ビッグデータ分析コンテスト」開催中!

 IoT推進ラボは、IoTを活用した先進的プロジェクトの創出・社会実装に向けた取組みの一環として、「第3回ビッグデータ分析コンテスト(Big Data Analysis Contest)」を開催しています。

●コンテスト期間
2017年10月2日(月)~2017年12月21日(木)
●テーマ
電力・気象
●受賞者の表彰
平成30年3月予定
●実施団体
(共催):IoT推進ラボ、経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
(後援):文部科学省、気象庁、一般社団法人太陽光発電協会、気象ビジネス推進コンソーシアム、筑波大学人工知能科学センター
(設計・運営):株式会社オプトワークス、株式会社オプトホールディング

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Bizコンパス編集部

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