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コンタクトセンターのFAQを最大限活用するAIとは

2017.10.04 Wed連載バックナンバー

 格安SIMサービスである「OCN モバイル ONE」のお客さまの問い合わせ対応において、NTTコミュニケーションズはAIを導入し、問い合わせ数を約3倍と大幅に増加させる一方、オペレーターによる有人チャットの応対件数を約6割以上削減しています(2017年9月時点)。ここで使われているAI「COTOHA Chat & FAQ」の機能、そしてNTTコミュ二ケーションズがどのように活用しているのかについて、詳しく解説していきます。

 

気になる見出しをクリック

そのFAQページ、本当に役立っていますか?

 人的リソースが限られている状況の中、より多くの顧客の疑問や課題を解消するための手立てとして、多くのコンタクトセンターを始めとする顧客対応業務で取り組まれているのがFAQの提供です。何か疑問があった際、FAQページで疑問を解消することができれば、電話やメールなどで問い合わせを行う必要がなくなります。顧客にとっては疑問の解消や課題解決に至るまでの時間が短縮され、コンタクトセンターにはリソースの節約が可能になるため、顧客とコンタクトセンターの双方にとってメリットがあるでしょう。

 しかしながら、実際にはFAQページを用意し、コンテンツをどれだけ充実させても、それを使って顧客自身が課題を解決する「自己解決率」が高まらないというケースは少なくありません。その背景にある理由の1つとして考えられるのが、知りたい内容が書かれているページにたどり着けないというものです。

顧客対応業務の課題/FAQが有効活用できていない

 多くのFAQページは、顧客が抱えている課題ごとに項目を立て、見出しをクリックすると回答ページに遷移するという形になっています。しかし、さまざまな疑問や課題に答えようと項目数を増やせば、目的の項目を探すのが難しくなってしまうでしょう。その解決策として考えられるのは検索機能の提供ですが、一般的なキーワード検索の場合、入力するキーワードによって検索結果として表示される項目数が多過ぎたり、逆にどの項目にもヒットしなかったりといったことが起こりえるため、使い勝手がよいとは言えません。

FAQページを有効活用するセマンティック検索エンジン

 このようなFAQページの課題を解決するために、ぜひ検討したいのがAI技術を活用して顧客を適切な回答ページに導くソリューションの活用です。これを実現する具体的なサービスとして、NTTコミュニケーションズが提供する「COTOHA Chat & FAQ」(以下、Chat & FAQ)があります。

 顧客自身によるFAQページを利用した課題解決を支援するために、Chat & FAQではセマンティック検索エンジンを搭載しています。これは自然文による検索が可能なほか、入力された質問の意味を理解して適切な解をユーザーに提示することができる機能であり、FAQページにおけるキーワード検索の課題を解消しています。

セマンティック検索機能

 たとえば、あるサービスへの入会を取り消したいといった場合、キーワード検索なら「<サービス名> 取り消し」などと入力することになります。しかしFAQページにおいて、「取り消し」ではなく「キャンセル」という用語を使っていた場合、「<サービス名> 取り消し」ではヒットしません。しかしChat & FAQを使って「<サービス名>の入会を取り消したい」と検索すれば、FAQページで「取り消し」の用語が使われていなくても、ユーザーの意図を判断して適切な回答ページを提示することが可能です。

FAQページの拡充に役立つ管理・分析機能

 このセマンティック検索エンジンを使った問い合わせを行う際のインターフェイスが複数用意されていることもポイントで、チャットボット、問い合わせフォーム、検索ボックスなどを選べます。特にアバターを使ったチャットの場合、顧客は実際のオペレーターとチャットしているようにFAQを検索することが可能であり、親近感を持って使ってもらうことができるでしょう。

COTOHA Chat & FAQ/3Dアバター

 それ以外のインターフェイスとして、メッセージアプリとして広く使われている「LINE」への対応も可能です。具体的には、ユーザーからLINEで送られてきた問い合わせに対し、Chat & FAQを使って回答できるというものです。これを利用すれば、わざわざWebサイトにアクセスしたりせずに問い合わせが可能になるため、顧客に対してより問い合わせしやすい環境を提供することが可能になります。コンタクトセンターとしても、Chat & FAQを使って回答する形であれば、新たな稼働が発生することもありません。

 管理・分析機能が充実していることもChat & FAQの特長です。特に有効と思われるのが問い合わせの傾向を分析するための機能で、これにより「検索される機会は多いがデータベースに回答がない」といった質問を抽出し、その結果をFAQページの充実に役立てられます。こうしてPDCAサイクルを回せば、顧客の自己解決率の向上につながるでしょう。

 多言語に対応していること、手軽に導入が可能であることも見逃せません。特にグローバルに事業を展開していて、Webサイトも複数の言語で公開しているといった企業では、日本語、英語、中国語、スペイン語、フランス語をはじめとする20言語以上に対応していることは大きいのではないでしょうか。

COTOHA Chat & FAQ/手軽に導入可能

有人チャットでの応対数を6割削減!

 Chat & FAQを実際に利用し、大きな成果を生み出しているのがNTTコミュニケーションズの格安SIMサービスをご案内する「OCN モバイル ONE」サイトです。同サービスのWebサイトには「チャットを開始する」というチャットを起動するタグがあり、ここで問い合わせを行うとChat & FAQが回答し、解決できなかった場合は実際のオペレーターにエスカレーションする仕組みになっています。

 Chat & FAQの導入時に用意されたFAQコンテンツの項目数は260程度で、導入以前に蓄積していた問い合わせ内容とその回答をコンテンツとしてまとめる作業が行われました。それぞれの質問にはそれに応じた回答がひも付けられています。ユーザーは、コンタクトセンター側が意図した通りに質問するとは限らないため、さまざまな質問文のパターンを使ってChat & FAQのチューニングを行い、正答率を高めようというわけです。

 このChat & FAQを導入した効果について話してくれたのは、NTTコミュニケーションズの四俣萌美氏です。

 「オペレーターによる有人チャットでの問い合わせ対応はChat & FAQの導入前から行っていましたが、導入後は有人チャットで対応する問い合わせが6割以上減少しました。しかも、オペレーターが対応する問い合わせは複雑な内容の問い合わせが中心となっており、一般的な問い合わせの多くはChat & FAQ側で対応できていると考えています」

 また同社の野村孝信氏は「有人チャットだけだったころは、サポートセンターの営業時間内しか対応できませんでしたが、Chat & FAQを導入したことでお客さまがいつでも質問したいときに問い合わせできるようになりました。これも大きな効果だと捉えています」と話します。実際にChat & FAQを含めた問い合わせへの応対件数は3倍程度になったと話し、その理由として夜間や休日に問い合わせが可能になったことに加え、気軽に問い合わせられることも大きいのではないかと続けます。

 「Chat & FAQを提供後、実は平日の日中帯における問い合わせ数も増えているんです。電話や有人チャットではどうしてもお客さまが身構えてしまうところがあるのかもしれませんが、チャットボットであれば気軽に質問して回答を探すことができるでしょう。そういった意味で、お客さまにとってもChat & FAQが提供されていることのメリットは大きいのではないかと思いますし、我々としても顧客接点の拡大につながっていると手応えを感じています」

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「OCN モバイル ONE」以外のサービスにもChat & FAQを展開

 気になる顧客の反応についてですが、同社の上三垣英幸氏は「有人チャットにエスカレーションする際でも、たとえば『使いづらい』や『質問に対して適切な答えが返ってこない』など、Chat & FAQに対するクレーム的なエスカレーションは上がってきていません。そこは我々としてもホッとしているところです」と述べました。

 導入後もFAQの拡充は続けられており、その際にはCOTOHA Chat & FAQで提供されている管理・分析機能が役立てられています。

 「当初Chat & FAQ導入後の運用作業については、具体的に想定できておりませんでした。導入後に、Chat & FAQの管理・分析機能を活用し、ログを確認してユーザーが検索した内容や質問の傾向を把握し、それをベースにチューニングを行ったりFAQコンテンツを充実させたりする営みが必要だと感じ、日々そのような作業を行うようになりました。ちなみに現在のFAQコンテンツの項目数は、導入時から倍増しています。これからChat & FAQを導入するということであれば、運用フェーズではこういった取り組みが必要だということを知っておいていただきたいなと思います」(上三垣氏)

 すでにほかのサービスへの展開も始まっており、OCN モバイル ONEに加えて、IP電話サービスである「OCNでんわ」および「050 plus」といったサービスに対する質問にも対応しています。今後について、同社の野村孝信氏は「どのように展開するかは検討中ですが、有効性は非常に高いと感じています。そのため、電話や有人チャットと同様にChat & FAQもチャネルの1つとして捉え、それらを複合的に使いながら効率的にお客さまをサポートしていきたいと思います」と展望を語ります。

 もちろん、このように成果を出すためにはFAQの拡充などといった取り組みが欠かせません。とはいえNTTコミュニケーションズでの活用事例を見る限り、Chat & FAQを導入することで、あまり活用されていなかったFAQページが顧客対応業務の効率化につながることが理解できるのではないでしょうか。

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

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Bizコンパス編集部

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