AI活用でここまで進化している!

音声認識を活用!コンタクトセンター運営の最新事情

2017.07.19 Wed連載バックナンバー

 顧客満足度の向上やオペレーションの効率化といった目標を達成するため、昨今多くのコンタクトセンターで導入が始まっているのが音声認識技術です。NTTコミュニケーションズの法人向けサービスの故障受付を担当する東京オペレーションセンターでは、この音声認識技術を活用し、従来の課題を解決しています。具体的にどのように利用しているのか、NTTコム エンジニアリングの花村賢一氏、岡本佳奈氏、そして中澤謙氏にお話を伺いました。

 

多くのコンタクトセンターで使われる通話録音システムの課題

 コンタクトセンターで一般的に使われている機器の1つとして、コールの内容を記録するための通話録音システムが挙げられます。通話した内容を振り返って応対品質の向上を目指すといった取り組みにおいては欠かせない機器と言えますが、実際に利用する上で課題となるのは、聞き返したい部分を探したり、再生して通話内容を確認したりするのに時間がかかることでしょう。そのため記録された内容すべてを確認することはほぼ不可能であり、実際には一部の通話内容から全体を推測するという方法になりがちです。しかしながら、このような使い方では本当に注目すべきコールを見落とす可能性が高く、応対品質の向上につながりづらいという難点があります。

 NTTコミュニケーションズ株式会社における法人向けサービスの故障受付の役割を担い、月間で約1万のコールに対応する「東京オペレーションセンター」(TOC)においても同様の課題がありました。NTTコム エンジニアリングの花村氏は、これまでの応対品質の取り組みについて次のように説明します。

 「TOCは故障受付を行っている組織であるため、当初は一刻も早く直してサービスを復帰させることだけに注力していました。しかし、それを優先させるあまりお客さまへの応対がおざなりになり、いくら頑張ってもお客さまの満足度が上がらないというジレンマに陥ったのです。そこで早く直すだけでなく、お客さまの気持ちに寄り添って応対しながらオペレーションすることを重視するようにし、さまざまな取り組みを行うことにしました。

問題のあるコールを把握できないことの大きな弊害

 こうした取り組みの1つに、PDCAサイクルの中でクレームにつながったコールを振り返り、改善につなげるという施策も実施されていました。しかしNTTコム エンジニアリングの岡本佳奈氏は、十分にお客さまの声を把握できていなかったと振り返ります。

 「クレームがあれば上長が応対するルールにしていましたが、上長に行き着かないコールも少なくありません。そのため、実際にどの程度のお客さまが不満足だったのかがわからず、TOCとしてどこを改善すべきかの判断ができなかったのです」

 当時、TOCではオペレーターやスーパーバイザーが録音された応対内容を聞き、どこが悪かったのかを議論するといった取り組みは行われていたと言います。その際の録音データがクレームにつながるものであれば、どうすればお客さまに満足していただけるかを振り返る上でも有効ですが、月に1万コールもある中からクレームのあったコールを探し出すのは簡単ではなく、改善活動に十分につながっていませんでした。

リアルタイム音声認識システムの採用に踏み切った理由

 この課題を解決するために、最初にTOCで導入されたのがクレームを自動抽出できる音声認識システムです。録音したデータを解析し、クレームとなったコールを抽出するというシステムであり、応対品質の改善に役立てられましたと、NTTコム エンジニアリングの中澤氏は解説します。

 「このシステムでクレームを自動で抽出し、それをPDCAサイクルの中で利用しました。実際に使ってみると、想像していた以上にクレームがあり、そうしたコールを分析することによって従来とは違う角度から改善を進められるようになりました」

 とはいえ、このシステムにも欠点がありました。それはシステムがバッチ処理のため、音声認識とクレームかどうかの判断の処理に時間がかかり、次の日にならなければクレームかどうかが判明しないというものです。

 「以前のシステムも改善活動には使えていましたが、把握できるのが翌日になってしまうので、お客さまのご不満が解決できないまま持ち越されることになり、クレームになる恐れがありました。しかしシステムでの判断をリアルタイムに行うことができれば、クレームに至る前に適切に対処することが可能になり、顧客満足度を高められるのではないかと考えました。そこで、当時使っていたバッチ処理型ではなく、リアルタイムで分析できる新しい音声認識システムの導入に踏み切ったのです」(岡本氏)

既存のシステムとの連携やカスタマイズ性を重視して製品選定を実施

 音声認識システムを新たに導入するにあたり、TOCでは製品に求める要件のポイントとして以下の3つを挙げました。

・高い音声認識率
・現状利用しているCTIシステムやチケット管理システムとの連携
・現状の業務に即した形での利用を可能にするカスタマイズ性

 当然、評価の軸となるのは音声認識率でしょう。これが低ければ正しくテキスト化できず、本来の目的を果たすことができません。コールの振り分けやオペレーターの着台状況の可視化などを行うCTIシステムや、コール内容の管理と別のオペレーターへの引継ぎになどに利用するチケット管理システムとすり合わせること、そして現場の人々が戸惑わずに使えるようにカスタマイズすることも重要でした。

 システム選定においては、NTTテクノクロス株式会社が提供する「ForeSight Voice Mining」と、音声認識システムとしてコンタクトセンターでの採用例が少なくないあるベンダーの製品の一騎打ちとなりました。この2つを細かく評価した結果、最終的に選定されたのはForeSight Voice Miningでした。

 ForeSight Voice MiningはNTTメディアインテリジェンス研究所で培われた音声認識・分析・AIの技術を組み合わせたシステムであり、音声のテキスト化や分析により、コンタクトセンターでのオペレーター業務の支援を実現します。この製品を選択した理由について、花村氏は次のように述べます。

 「最終的にForeSight Voice Miningを選定した理由として、まず音声の認識率がありました。さらに私たちのオペレーションの導線に組み込み、現状のシステムと連携させたり、あるいは使いやすいように機能を追加してカスタマイズしたりすることを考えたとき、ForeSight Voice Miningの方が柔軟にできると判断したことも大きな理由です」

 実際の導入にあたり、特に配慮されたのは既存の業務の導線に違和感なく組み込むことだったと言います。

 「オペレーターはチケット管理システムを中心に使っているので、そこで普段行っている一連の操作の途中でForeSight Voice Miningと連携し、意識せずに使えるように工夫しました。そこが一番手を掛けた部分です」(岡本氏)

活用事例①:チケットシステムとの連携-1

活用事例①:チケットシステムとの連携-2

  音声認識の精度向上のために、既存の録音データを利用したチューニングなども導入前に行われました。その結果、現時点ではオペレーターが話す内容については約90%、顧客の音声についても80%程度の認識率を達成しているとします。

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クレーム呼の自動抽出に加え、引き継ぎやエスカレーションの問題も解決

 現在、TOCではForeSight Voice Miningを活用してクレームとなったコールを自動的に抽出し、品質改善に役立てています。また、クレームだけでなくオペレーターへの感謝の言葉があったコールを抽出し、オペレーターを表彰するといった施策に利用されていることも注目したいポイントです。

活用事例②:クレーム呼の自動抽出による品質改善

 リアルタイムの音声認識が可能になったことで、クレームの抽出以外の課題も解決されています。まず挙げられたのは応対履歴を踏まえた対応です。多くのコンタクトセンターと同様、TOCもオペレーターは輪番制であるため、1回の故障対応の最初から最後までを1人のオペレーターが対応するとは限りません。そのため、オペレーター間で案件の内容を適切に引き継ぎ、次回コールがかかってきた際もお客さまに最初から説明していただくことなく対応できるようにする必要があります。

 この引き継ぎを口頭で行うのは難しく、また問い合わせ内容を細かく書き起こそうとすると時間がかかってしまいます。しかし音声認識によって応対内容がリアルタイムにテキスト化されれば、コールの内容を別のオペレーターに引き継ぐための作業を短時間で済ませられます。

 2つ目はオペレーターがうまく応対できなかった場合の対処です。このような際、TOCでは上長であるスーパーバイザーに電話をエスカレーションすることになっていますが、オペレーターが応対に問題があることに気付かず、お客さまにご迷惑をおかけすることがあったと言います。

 そこでForeSight Voice Miningを利用し、リアルタイムに音声認識した結果に特定のNGワードが含まれていれば、スーパーバイザーに注意を喚起してスムーズにエスカレーションできる環境を整えました。

 「通話の中でNGワードを検知すると、自動でスーパーバイザーの画面にアラートが表示される仕組みで、これによってすばやくエスカレーションすることが可能になります。TOCのオフィスは非常に広いため、オペレーターの状況をスーパーバイザーが見て判断するといったことが難しかったのですが、この仕組みを導入したことで迅速に気付くことが可能になりました」(花村氏)

活用事例③:アラート機能によるオペレータサポート-1

活用事例③:アラート機能によるオペレータサポート-2

TOCの見学者の多くが音声認識技術の活用に注目

 ForeSight Voice Miningには、お客さまの感情を分析する機能も備えられています。特長となっているのは、声を荒げて怒っているコールを抽出できるだけでなく、日本人特有の「静かな怒り」も検知できる点で、TOCにおいてもこの機能をクレーム抽出に役立てています。

 TOCではほかのコンタクトセンターの人が見学に来ることも多いとのことですが、最近のトレンドとして単にオペレーションがどうなっているのかを見るだけでなく、音声認識技術をどう活用しているかという視点で見に来る見学者が多いと言います。こうした事実からも、多くのコンタクトセンターが音声認識に興味を持ち、業務に役立てたいと考えていることがわかるでしょう。

 いずれにしても、コンタクトセンターにおける顧客満足度の向上において、適切にコールの内容を分析し、その結果を応対品質の向上につなげる営みは欠かせません。それを実現する上で、高精度な音声認識技術とコンタクトセンターに特化した有用な機能を多数持つForeSight Voice Miningは、注目すべきソリューションの1つではないでしょうか。

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

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Bizコンパス編集部

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