ICT活用に関するアンケート調査(第2回)

コンタクトセンターにAI、25%が“準備を進めている”

2017.05.10 Wed連載バックナンバー

 企業において、顧客対応を専門に行う部門がコンタクトセンターです。顧客からの問い合わせや苦情の集約や、顧客からの注文を受け付けるなど、ビジネスにおける重要な役割を担っています。

 元々は電話応対が主流でしたが、メールやチャット、FAXやSNSなど、さまざまな手段で顧客と接するケースが増えています。最近では、AI(人工知能)も活用され始めており、自動音声による顧客対応や、相手の感情を分析するなど、人間と同等、あるいはそれ以上の対応を実現する技術の導入も大いに期待されています。

 しかしながら、Bizコンパスが行ったコンタクトセンターに関するアンケート調査では、コンタクトセンターにAIを用いることに対し、関心がある層とない層の“2極化”が進んでいるという傾向が見て取れました。

 本記事はこのアンケート調査の結果を元に、ビジネスパーソンがコンタクトセンターに現在抱いているイメージを分析します。(2017年2月16日~2017年3月3日、回答者数1,002人)

 

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コンタクトセンターの主流は「小規模」「電話・メール対応が中心」

 今回のアンケートの対象となったビジネスパーソンのうち、最も多かった職種が「情報システム構築運用」(26.3%)でした。以下「営業」(15.9%)、「総務・人事」(15.3%)の順となっています。また、調査対象はいずれも、コンタクトセンターにおけるICTの導入に関して、「決定権がある」(35.0%)、「検討する立場である」(32.8%)、「アドバイスや意見を行う立場である」(17.4%)、「導入の状況を知っている」(14.6%)と回答しており、ほぼ全員が、コンタクトセンターに関する知見がある人物となります。

 まず、自社のコンタクトセンターの業務内容について当てはまるものに関しては、「ヘルプデスク/カスタマーサポート」が65.1%と最も高い割合を示しており、「注文受付」(36.8%)、「アウトバウンド営業」(19.2%)、「督促」(9.4%)と続きます。

 次に、「自社のコンタクトセンターで、電話以外に行っているコミュニケーション手段」に関する問いについては、「電子メール」が87.9%と最も高い数値となりました。以下、「FAX」(43.0%)、「ソーシャルメディア」(20.8%)と続きます。なお、「チャット」をコミュニケーション手段としている人の割合は8.1%と少ない結果になりました。チャットによるヘルプデスクサービスは、まだ一般的ではないといえそうです。

 自社のコンタクトセンターに設置されているブースの数については、「1~20席」(51.7%)が最も割合が高く、「21~50席」(17.6%)、「51~100席」(14.6%)と続きます。席数が増えるほど、割合は低くなりますが、中にはブース数が「1,001席以上」という、大規模なコンタクトセンターを設けているという回答もありました。

 ここまでの結果をまとめると、企業の多くのコンタクトセンターでは、ヘルプデスクやカスタマーサポートの窓口として、比較的小規模で、電話やメールを用いて顧客に対応しているケースが多いということがいえそうです。

顧客から届いた意見がビジネスにうまく活用できない理由とは

 顧客からさまざまな意見が寄せられるコンタクトセンターですが、その意見をうまくビジネスに活用しているケースもあるようです。「コンタクトセンターに蓄積された顧客の声について、どのように活用しているか?」という質問では、「コンタクトセンターのお客様対応の改善に活用している」が(36.7%)、「自社全体のサービス品質の改善に活用している」が(36.1%)が30%を超えました。

 このほか、「マーケティングに活用している」(23.7%)、「お客様対応の自動化に活用している」(23.5%)という意見が続きます。その一方で、「活用していない」(19.6%)という意見もありました。

 続く「顧客の声を分析するに当たり、どのような課題があるか?」という問いでは、「データ量が増えて分類・分析が追いつかない」(29.5%)が最も多い結果に。さらに「データを分類・分析する人材が不足している」(26.7%)という意見もあるなど、人材不足を指摘する意見が多く見られました。

 実は「自社のコンタクトセンターにおける課題は何か」という設問でも、最も多かったのが「人材の維持/確保」(47.3%)でした。2位も「人材の育成/モチベーションの維持・向上」(40.6%)と人材に関する回答となっており、コンタクトセンター業界にも、人手不足の波が押し寄せているようです。

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AIを自動応対に「既に活用/準備中」で34%、 どんな活用?

 こうした人的リソースの不足を解決する手段として注目されているのが、AIを用いたコンタクトセンターの自動応答です。たとえば、従来は人が応対せざるを得なかったさまざまな問い合わせ業務をAIで自動化し、AIでは判断できないような問い合わせだけは人にエスカレーションすることで、従業員の業務の負担は軽減できます。

 そこで「人工知能を用いた自動応対を活用しているか?」という問いを行ったところ、最も高いのが「関心がない」(28.2%)という結果となりました。以下、「活用に向けて準備している」(24.9%)、「情報収集中である」(19.7%)、「検討中である」(17.7%)と続きます。

 「人工知能を用いた自動応対について、現在の取り組み状況はどのようになっているか?」という設問では、「わからない」(37.3%)が最も高い結果となりました。その一方で、「自動応対へ活用するために、データを蓄積している」(26.6%)、「自動応対に活用するために、教師データ(AIを訓練するためのデータ)を作成している」(24.0%)と、前向きな取り組みを行っているケースもあるようです。

 さらに、「チャットによる自動応対を実現している」「音声による自動応対を実現している」(いずれも10.6%)という、すでにAIを活用している意見も、少数派ですが見られました。

 今後、AIをベースとしたテクノロジーに期待することに関する問いでは、「音声による自動応対の精度向上」(29.6%)、「音声認識の精度向上」(25.8%)、「電子メール/ソーシャルメディア/チャットなどでの自動応対の精度向上」(25.1%)、「感情を含めた通話・応対内容の分析の高度化」(24.0%)と、多岐に渡る意見が多く見られました

 一方で、「当てはまるものがない」(26.7%)という意見も、高い割合を示しています。

 AIに無関心な意見が多い一方で、導入のための準備を進め、すでにAIを導入しているケースもあるなど、関心がある層とない層の“二極化”が進んでいるようにも読み取れます。

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AIをコンタクトセンターに取り込むための秘訣とは!

 前述のとおり、AIを用いた自動応対機能をすでに導入し活用している例は、全体の10%程度です。コンタクトセンターにおける人工知能の活用は、まだまだ始まったばかりのため、「AIに関心がない」、「わからない」と答えた人の割合が比較的高めなのも、仕方がないことかもしれません。

 しかしその一方で、AIへの関心が高く、AIを学習させるためのデータを作成しているなど、AIをコンタクトセンターに取り込むために、準備を重ねている企業も多く見られました。

 現段階で、AIをコンタクトセンターに組み込んだサービスを展開しているベンダーは決して多くありませんが、中にはAIの知見を持ち、将来的なサービス展開を見据えているベンダーもあります。コンタクトセンターに蓄積された顧客の声を活用し、ビジネスの成功に結びつけるためには、そうしたベンダーを選択することが重要になるかもしれません。

 もしAIの導入を検討している場合は、Bizコンパスで過去に掲載した下記の2つの記事が、参考になることでしょう。ぜひご覧ください。

AI活用で見えてきたカスタマサポートの近未来

 コンタクトセンターの現場では、AIが顧客の自己解決率の向上と問い合わせ対応の負担軽減に貢献するとして、大きな期待がよせられています。最近では、チャットによるサポートにAIを組み合わせる事例も増えています。記事ではAIを使ったチャットボットの開発担当者に、AIチャットボットの導入の背景や、具体的な効果などをインタビューしています。

徹底比較!クラウド型コンタクトセンターサービス

 企業で利用されるシステムに「クラウド」の波が押し寄せていますが、コンタクトセンターも例外ではありません。PBXやCTIといった機器の新規導入やリプレースを機にクラウドへ移行し、運用負荷を軽減し、コストを削減している企業もあります。本記事では、クラウド型コンタクトセンターサービスの選定ポイントや、各社のサービスの特長を解説します。

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Bizコンパス編集部

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