徹底解説!基幹系システムのクラウド移行(第16回)

日本コカ・コーラシステムに見るクラウド活用の真髄

2017.12.06 Wed連載バックナンバー

 日本のコカ・コーラシステムでは、ITシステムの関連業務をコカ・コーラアイ・ビー・エスに集約しています。今回、同社の代表取締役社長であるサミ・ベンジャマ氏に、クラウド活用におけるポイントについてお話を伺いました。

 

気になる見出しをクリック

日本のコカ・コーラシステムにおけるITシステム刷新を主導

 世界中で親しまれているコカ・コーラのほか、缶コーヒーの「ジョージア」、あるいは無糖茶の定番として幅広い層に愛飲されている「綾鷹」「爽健美茶」など、さまざまな清涼飲料水を開発しているのが日本コカ・コーラです。同社の主な役割は原液の供給と製品の企画開発、マーケティング活動などで、それに加えて製品の製造と販売を担うボトラー各社、そしてシステム機能会社で日本のコカ・コーラシステムは構成されています。

 その関連会社の1つにコカ・コーラアイ・ビー・エス株式会社があり、日本のコカ・コーラシステムにおけるITシステム関連業務を担っています。同社の代表取締役社長であるサミ・ベンジャマ氏は2013年に主要ボトラーであるコカ・コライーストジャパン(CCEJ)に入社した際、コカ・コーラシステムで使われていたシステムの数は膨大で、多種多様なプロダクトが使われていたと振り返ります。

 「SAPシステムだけでも複数存在していたほか、バージョンもさまざまであり、さまざまなプロダクトがありました」

 このような複雑な状況から抜け出し、経営統合によるシナジーを生み出すことを目的に、コカ・コーライーストジャパン(CCEJ)では、当時CCEJのCIOであったサミ・ベンジャマ氏は、システム統合を率いていました。その際にまず検討されたのがマスターアーキテクチャの設計でした。サミ・ベンジャマ氏は次のように語りました。

 「第一に取りかかるべきなのはマスターアーキテクチャの設計です。その中心にあるのはデータであり、マスタデータがどこにあるのか、必要なデータをどこに作るのかを最初に検討します。続けて、そのほかの周辺システムのどれを残すか、何を統合するかを考えます。SAP ERPやマーケティングツール、プライシングツールなどがあります。これが2番目となります」

クラウドへの移行でポイントとなる「最適化」

 この中でクラウドの活用も当然視野に入れられました。その中でサミ・ベンジャマ氏が話したのは、オンプレミスのそのままクラウドに持っていくのではなく、クラウドに最適化すべきだということです。

 「我々の場合、Active Directoryだけでも数多くのサーバーがありました。これをそのままクラウドに移行しても、クラウドのメリットを十分に行かせません。オンプレミスのサーバーを単にクラウドに置き換えるだけでは、コストは当然高くなりますし、リスクもあります」

 さらにサミ・ベンジャマ氏は、Hadoopを使ったデータ分析基盤をパブリッククラウド上に構築し、最終的にプライベートクラウドに移行した件について解説します。

 「当初、PoCとしてHadoopプロジェクトを実施しましたが、ビジネスサイドからの要望が大きかったことから本番に移行することにしました。ただ、その後データが大幅に増加したほか、セキュリティ上の問題や別システムとの接続などテクニカルな問題が発生し、パブリッククラウドからプライベートクラウドに移行したのです。現在はDell BoomiというESB(Enterprise Service Bus)を使ってSAPシステムと接続し、1つのアーキテクチャにしています」

ご覧いただくにはログインが必要です。

新規会員登録(無料)はこちら

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

クラウドであればパフォーマンステストは不要

 またクラウドを利用する際、パフォーマンステストは不要だとサミ・ベンジャマ氏は話しました。

 「たとえパフォーマンステストを実施しても、数カ月経てば性能面で問題が生じることは珍しくありません。しかしクラウドであれば、簡単にサーバーのサイズを変えられるでしょう。このようにフレキシブルに対応すれば、プロジェクトの時間を短縮することが可能です。もちろん移行テストなど必要なテストはありますが、このようにリソースを柔軟に調整できるメリットを活かしてパフォーマンステストをなくし、時間を短縮することもクラウドのメリットではないでしょうか」

 すでにクラウドはさまざまな領域で使われており、昨今ではERPをはじめとする基幹システムのインフラにクラウドを採用する企業も珍しくなくなりました。最近では、基幹系システムでの利用に特化したクラウドサービスも登場しており、たとえばNTTコミュニケーションズではミッションクリティカルな環境に対応する共有型クラウド技術を持つVirtustreamとストレージベンダーであるDell EMCと連携し、「Enterprise Cloud for SAPソリューション」をリリースしています。

 しかしクラウドにはオンプレミスのインフラとは異なる特性があり、それに合わせてシステムの構築や移行を考えるべきでしょう。その際、コカ・コーラシステムの膨大なシステムのマスターアーキテクチャの設計を主導したサミ・ベンジャマ 氏のアドバイスは大いに参考になるのではないでしょうか。

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

このテーマについてもっと詳しく知りたい

関連キーワード

Bizコンパス編集部

Bizコンパス編集部

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter