徹底解説!基幹系システムのクラウド移行(第14回)

【まとめ】クラウドERPの市場動向・メリット・事例

2017.04.07 Fri連載バックナンバー

 1990年代後半から、多くの日本企業が相次いで導入したERP。近年は、オフコン利用環境のクラウド化や、クラウドERPパッケージの採用など、選択肢が増えています。

 本記事では、基幹システムのプラットフォームとして日本国内で多く利用されているAS400(iSeries/System i/Power Systems)やオラクルデータベース、代表的なERPパッケージであるSAP ERPとMicrosoft Dynamics AXを中心に、クラウドERPの市場動向、メリット、プロジェクトを成功へ導くポイントや企業の事例などを解説します。

 

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日本におけるクラウドERPの流れが加速

 2017年2月、ガートナーは日本国内におけるクラウドERPの利用動向に関する調査結果を発表しました。その中で以下のように予測しています。

  • クラウドERPの利用について、現在および5年後、10年後の状況を尋ねたところ、「ERPはクラウドでは利用しない」とした企業が現在は73.8%に上りましたが、5年後には24.8%、10年後には15.6%と急減する見込みが示されました(※)
  • 後述する懸念要素もあるため、実際にこのスピード感でクラウドへのシフトが進むとは限りませんが、「自社運用型ERPのほとんどをクラウドERPに置き換える」とした企業が現在の4.3%から10年後には28.0%へと増加する傾向にあることも分かりました(※)

クラウドERPは急成長へ

※:ガートナー プレスリリース「ガートナー、クラウドERPの利用動向に関する調査結果を発表」2017年2月6日発表

調査手法
 本調査(ガートナーITデマンド・リサーチ)は、IT部門のマネージャー向けのアンケートを通して、日本企業のさまざまなITのニーズや課題を定点観測によって分析することを目的に実施しています。アンケートは、日本全国の従業員数20人以上のITユーザー企業約2,800社へ送付し、回答を得ています。

多くの企業がERPのクラウド化に踏み切る背景

 ではなぜ企業は、自社IT部門による基幹系システムの運用をやめて、クラウドへ舵を切ろうとしているでしょうか。その背景には、以下のような理由が考えられます。

ハードウェアの更改やDR(ディザスタリカバリ)への対応

“ IBM iのクラウド化を実現した西華産業の挑戦 ”【AS/400】
IBM i(旧AS/400)サーバーのハードウェア老朽化と一部OSのサポート終了にともない、更新時期を迎えたシステムから順次クラウド基盤へ移行

フォスター電機が舵を切ったクラウド移行の理由とは ”【SAP ERP】
サーバーの更新時期やBCP強化を背景に国内のSAPをはじめとする基幹システムをクラウドへ移行。グローバル統合基盤として、将来的な拡張性を見据えている

システム統合やITガバナンス強化

コニカミノルタが求めたグローバルIT環境の最適解 ”【SAP ERP】
グローバルでのIT環境の全体最適を目指してSAP環境をクラウド化。グローバルでERPを統合し、ビジネスス環境の変化へ柔軟に対応するとともに、コスト削減やガバナンスの強化を図った

クラウド化の障壁をなくすサービスが登場している

 このようなトレンドにある理由のひとつとして、ERPのクラウド化に関するベストプラクティスが増えていきていることが挙げられます。また、IaaS上でERPを構築する形だけでなく、SaaS形態でサービスとして提供される形も増えています。

オフコン利用環境をクラウド化できるサービス

AS/400クラウド対応を成功させるポイントとは
IBMのオフコンをクラウド化できる。関連IAサーバー群とのスムーズに連携でき、ユーザー自身による柔軟な運用を可能にするLANコンソール、EDI利用にあたっては外部インターフェイスもある

オラクルデータベース(Oracle Database)をクラウド化できるサービス

JFE環境が基幹系基盤にクラウドを選択した理由
クラウド上でオラクル社のデータベースが利用できることが決め手に。5年間を目途に導入・運用にかかる費用を試算し、クラウド利用の方が費用を抑えられると判断

「Oracle」活用可能でクラウド導入が必至に! ”
物理サーバーのCPUコア数などを気にせずクラウドで使えるうえ、Enterprise Editionにも対応。RACのサポート、ストレージの性能、ライセンスの持ち込み可否や利用料金などに注意

クラウドERPのメリットとは?

 さらに、クラウド利用が当たり前になり、企業のIT部門は、クラウドのメリットを十分理解し“こなれて”きたことから、基幹系システムにおいても同様のメリットを求める傾向にあります。特に基幹系システムにおいては、「市場の変化へのスピーディな対応」「サイジングの簡略化」「ガバナンス強化」「品質向上」「TCO削減」「海外展開が容易」といったクラウドERPのメリットが、経営課題の解決に役立ちます。

わずか3か月でERPクラウド化を完了した事例もある!

ERPクラウド化を成功させたサッポログループの選択 ”【AS/400】
キックオフからわずか3ヶ月余りというタイトなスケジュールの中、トラブルもなく期限内に移行が完了。安定稼働しているだけでなく、処理速度の向上や運用面でのメリットも生じている

コストや開発期間を約5割削減したDNPのIT戦略 ”【Microsoft Dynamics AX】
Microsoft Dynamics AXがクラウド基盤と一体提供されるサービスを採用。3ヶ月半で構築を完了し、投資費用を約50%削減

クラウドERPパッケージの魅力

クラウドERPの導入に踏み切ったオリバーの選択とは ”【Microsoft Dynamics AX】
オフコンで稼働するレガシーな基幹系システムをからクラウド上のERPパッケージへ移行。操作感を重視し、複数のERPをデモンストレーションなどで比較検討し、スムーズに導入できそうだと判断した

ERPのクラウド化を成功に導くポイントとは

 では、ERPのクラウド化を進めるためには、どのようなステップで、具体的に何を検討していけばいいのでしょうか。以下の記事を参考にしてみてください。

グローバル対応

製造業のグローバルIT整備を成功に導く「6カ条」
グローバル製造業で多くのプロジェクトを手掛けてきたコンサルタントが解説。統治形態に合わせたIT環境の統合を考え、その中で基幹業務システムを位置づける。検討の必須条件や基本ステップなど

サービス選定/システム構成

徹底比較!SAP ERP対応のクラウドサービス
日系ITベンダー4社のクラウドサービスを徹底比較。SAP ERPに対応した各社クラウドサービスの特徴をまとめた「比較資料」をダウンロードできる

いま一度考えたい! ERP環境の最適化
ERPのクラウド利用における“2つの形態”、他システムとの連携、クラウドでのERP運用の最適なカタチなど。「ERPパッケージ システム構成検討のポイント(PDF)」をダウンロードできる

※掲載されている内容は公開日時点のものです。
※掲載されているサービスの名称、内容及び条件は、改善などのために予告なく変更することがあります。

Bizコンパス編集部

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