2017.08.03 Thu

エビデンスを構築し、医療現場にもっと漢方薬を

株式会社ツムラ 執行役員 経営企画室 室長 安達 晋 氏

 近年、医療現場では漢方薬を処方する医師が増えている。科学的根拠が明らかになりつつあることで価値が見直されている医療用漢方薬について、ツムラの安達氏に伺った。

 

漢方医学は、日本で独自の発展を遂げた医学体系

―― 漢方医学について教えてください

 漢方医学は、中国を起源として日本独自に発展した伝統医学です。5~6世紀以降に、中国や朝鮮半島経由で伝来した医学が、1400年以上かけて日本で独自の発展を遂げました。中国起源の伝統医学は、中国では中医学、韓国では韓医学と呼ばれており、起源は同じながら漢方医学とは異なる医学体系を形成しています。

 西洋医学と漢方医学もさまざまな点で異なります。西洋医学が分析的な手法・見方により最終的に病巣を局所化するのに対し、漢方医学は心と体を総合的に捉え、身体のバランスを整えていく医学です。西洋医学で使用される薬は、基本的に合成品で成分は単一、漢方薬は、天然品である生薬を組み合わせて用いるため、成分は複数です。作用機序を解明しづらいといわれるのは、多成分で構成されていることが要因といえます。

―― いわゆる民間薬と漢方薬の違いは何ですか

 漢方薬と民間薬はさまざまな点で異なります。民間薬とは、たとえばドクダミやセンブリなど、古くから言い伝えられ、経験的に使われてきた薬草などを指します。民間薬は民間伝承や本草書に基づく経験に頼って使われるのに対し、漢方薬は、何百年、何千年とスクリーニングが繰り返され、病態や症状に適した生薬の組み合わせが理論的に体系づけられています。

―― 医療現場における漢方薬のシェアはどのくらいあるのですか

 医療用医薬品市場10兆円の1.4%、約1,500億円が医療用漢方製剤の市場規模だといわれています。数量的には、10年前と比べ倍になっており、市場全体の伸び率は高いといえます。また、業界団体(日本漢方生薬製剤協会)による調査によれば、医師全体の89%が医療用漢方製剤を処方したことがあるという結果もあります。

 

「育薬処方」と「Growing処方」の拡大に向けて

―― 御社には129種類の漢方薬があるそうですが、主要な漢方薬を教えてください

 主力は、「大建中湯(だいけんちゅうとう)」「六君子湯(りっくんしとう)」「抑肝散(よくかんさん)」「牛車腎気丸(ごじゃじんぎがん)」「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」で、弊社では育薬5処方と呼んでいます。“育薬”という言葉は、西洋薬の世界では医師や研究者、患者さんらが、それぞれの立場で薬の有効性や安全性を高めていく取り組みを指しますが、我々が使う“育薬”は、それとは異なります。

 医師が、漢方を処方しない最大の理由としてあげるのは… 続きを読む

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安達 晋(あだち すすむ)
1963年2月3日生まれ。1987年に株式会社津村順天堂(現:株式会社ツムラ)入社。医療用医薬品の営業として配属された後、経理課長、経営企画室グループ長を務め、2010年に中国子会社の上海津村製薬有限公司副総経理に就任。2013年に経営企画室長、2016年に執行役員に就任、現在に至る。
◎情報収集の手段
経営企画室に集まる情報の中から気になる内容があれば社員に直接聞く。あとは主に新聞。
◎スキルアップのために心掛けていること
社内外を問わず、どんなに忙しいときでも相手の話をさえぎることなくしっかり聞く。書籍やセミナーなどで学ぶ機会がなかなか確保できないので、会話の相手を“講師”にしている。

株式会社ツムラについて
■ 事業内容医薬品(漢方製剤、生薬製剤他)の製造販売
■ 設立年月1936年4月25日(創業1893年4月10日)
■ 本社所在地東京都港区赤坂二丁目17番11号
■ 資本金194億87百万円 (2017年3月31日現在)
■ 従業員数連結:3,331名 (2017年3月31日現在)
■ 業種医薬品
■ ホームページ

http://www.tsumura.co.jp/

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