2016.12.22 Thu

交通ビッグデータで移動を快適に

株式会社ナビタイムジャパン 交通コンサルティング事業部 マネージャー 野津 直樹 氏

 ナビタイムで蓄積した交通ビッグデータを活用し、訪日観光客の動向や渋滞予測などの分析を行うB to Bビジネスを展開する同社の戦略を野津直樹氏に伺った。

 

経路検索条件データをベースにした交通ビッグデータの活用

―― 交通コンサルティング事業部では、どのようなビジネスを展開しているのですか

 「NAVITIME」アプリなどコンシューマー向けサービスで収集した、さまざまな交通ビッグデータを活用してB to Bビジネスを展開しています。ナビタイムジャパンのサービスは、月間ユニークユーザー数が約3,500万人おり、有料会員だけでも約450万人にご利用いただいております(2016年9月時点)。ここに許諾を得たユーザーから日々蓄積される膨大なデータを社会に役立つ形で活用することが、交通コンサルティング事業部のミッションです。

―― どのようなデータを活用しているのですか

 我々が交通ビッグデータと呼んでいるものは、大きく3つに分けられます。1つ目は、ナビタイムのユーザーが行った検索履歴をもとに導き出す移動需要データ。2つ目は、「カーナビタイム」などカーナビアプリのユーザーが目的地までどのルートで走行したのかを示す移動実績データ。3つ目は、訪日観光客向けに提供しているナビゲーションアプリ「NAVITIME for Japan Travel」のGPSデータです。

―― 単なる位置情報ではなく、経路検索のログからユーザーの移動ニーズを把握できるところが御社の強みなのでしょうね

 おっしゃる通り、我々のコアはユーザーの発着地と、どのような経路を検索したのかを把握できることにあります。経路検索のデータには、人が動く前の意志が反映されますから、それを可視化できることは強みだと思います。

 スマホのGPSから位置情報を取得してサービスを提供する会社は珍しくありませんが、年間約18億件の経路検索条件データを収集し、徒歩、電車、車、バス、飛行機、自転車などマルチモーダルな人々の移動需要を把握している会社はあまりないと思います。

 

訪日観光客の動向を可視化

―― ナビタイムで訪日観光客のデータも収集できるのですか

 2013年に、訪日観光客向けの「NAVITIME for Japan Travel」をリリースしました。これは英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語に対応しており、乗換案内や無料Wi-Fiスポットの検索・案内など、訪日観光客が求める機能を無料で提供するアプリです。リリースから多くの訪日観光客にダウンロードされており、さまざまな国や地域の方にご利用いただいているので、そこからデータを収集しています。

―― 国籍や年齢などの属性もわかるのですか

 最初に、性別や国籍、訪日回数、訪日目的などの項目に回答いただいているので、ある程度の属性は把握できています。なぜ訪問回数を伺うかというと、初来日の人と複数回訪日している人では、滞在時の動向が明らかに違うからです。また、訪日目的を伺うのは、マーケティングでデータを活用する際、日本食が食べたいとか、日本の風景が好きとか、歴史に興味があるなどの興味関心がわかると、ターゲットを明確化しやすいからです。

―― 経路検索ログから、訪日観光客の目的地や移動手段、経路までわかるのですね

 それに加えて、「NAVITIME for Japan Travel」には2分間隔で位置情報を測位する機能がついているので、個人を特定しない形に加工した上で、行動や滞在を分析できます。こうしたデータ分析は、アプリを最初に起動する段階で、ユーザーの許可を得て実施しています。

―― 訪日観光客のデータは、どのような用途で利用されているのですか

 当初は行政での利用が多かったですね。たとえば、訪日観光客の動態調査を行った観光庁さま、関西圏の訪日観光客急増の詳細を調査した国土交通省近畿地方整備局さま、地方創生のためのビッグデータシステム「地域経済分析システム(RESAS)」を運営する経済産業省さまなどです。

 最近は民間企業さまの利用も増えていて、訪日観光客の利用が増えている鉄道会社さま、訪日観光客が集まる穴場スポットを分析し、費用対効果の高い広告出稿を実現された企業さまなどの例があります。他にも、さまざまな用途で我々のデータをご利用いただいています。

 

近未来の人々の移動を予測

―― 経路検索条件データはリアルタイムで提供されるのですか。提供しているとしたら、どのような用途で使われていますか

 リアルタイムデータのニーズは高まっていると感じます。その用途はいろいろありますが、我々自身が経験したおもしろい事例があるので、まずそれをご紹介します。

 我々はナビタイムジャパンのサービスに入力される発着地のデータをリアルタイムで集計するシステムを構築しています。そこから件数に応じて色分け表示するヒートマップを作成し、検索件数が多いほど赤く表示すると、都内では新宿駅や東京駅、渋谷駅、池袋駅あたりが常に赤くなっています。

 ところが、2013年4月13日の16時頃、郊外のある地点が突然真っ赤に染まったのです。… 続きを読む

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野津 直樹(のづ なおき)
株式会社ナビタイムジャパンにて、交通コンサルティング事業部に所属。ナビゲーションサービスを通じて培ってきたデータ・技術・ユーザー基盤を活かし、全国の交通最適化や地域活性化に貢献すべく、交通・観光ビッグデータの分析業務に従事している。

株式会社ナビタイムジャパンについて
■ 事業内容ナビゲーションサイト・アプリの運営・開発/経路探索エンジンのライセンス事業/経路付地図配信ASP事業/ビジネスナビタイム事業/法人向けソリューション事業/Webメディア事業/テレマティクス事業/交通コンサルティング事業/海外事業
■ 設立年月2000年3月1日
■ 本社所在地東京都港区南青山3-8-38 南青山東急ビル
■ 資本金9,000万円
■ 従業員数360名
■ 業種情報
■ ホームページ

http://www.navitime.co.jp

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