2017.11.28 Tue

ビッグデータやAIよりも「ユーザー第一主義」が大事

株式会社ユーザーローカル 代表取締役 伊藤 将雄 氏

 ここ数年、「AI」や「ビッグデータ」というキーワードが注目されているが、まさにビッグデータ解析やAIチャットボット(テキスト会話ロボット)をビジネスの軸とし、2017年3月には東証マザーズ上場を果たしたのが、ユーザーローカルだ。

 同社のサービスには、WEBサイトのユーザー行動をヒートマップで可視化する解析ツール「User Insight」、SNSなどソーシャルメディアの分析ツール「Social Insight」などがあるが、これらのサービスにもビッグデータの解析やAIが導入されている。

 同社創業者であり、代表取締役を務める伊藤将雄は、就活・新卒採用の口コミサイト「みんなの就職活動日記」の生みの親でもある。「みん就(みんしゅう)」の名で親しまれるこのサイトは、1996年に、当時早稲田大学の4年生だった伊藤がプライベートで開発したものだ。一人の大学生が生み出したこのサービスは、今や登録者数は55万人、掲載企業数は29,000社にも上る。

 口コミサイトの創業者が、なぜビッグデータやAIの分野に足を踏み入れたのか。その裏には「ユーザー第一主義」という信念があった。

 

軽いノリで始めた掲示板が大人気

 1973年生まれの伊藤は、小学生の頃からコンピューターに夢中だった。小学5年生になると初めて自分のパソコンを買ってもらい、初心者向けのプログラミング言語であるBASICでゲームを作った。当時はまだクラスに1人、2人しか持っていなかったパソコン仲間と、お互いがつくったゲームで一緒に遊んだりもした。

 高校に進学すると無線部に入り、アマチュア無線の免許を取得。無線の大会の前には学校に泊まり込むほどのめり込んだ。この頃になると高校の授業でもPCを扱うようになったが、既に慣れ親しんでいる伊藤は授業中にゲームを自作していた。

 早稲田大学政治経済学部に進学すると、理工学部にあるワークステーションに触れるなど、本格的にインターネットの世界に入っていく。そんな中、就職活動中の1996年に、みん就を立ち上げる。

 伊藤がみん就を作った理由は、自身も「軽いノリで始めた」と振り返るとおり、就職活動をするなかで、情報を交換できる口コミ掲示板をつくったら面白いのでは、というシンプルなものだった。結果的に就活生に歓迎され、利用者は増え続けた。伊藤は学生時代の後半を、みん就のシステムのメンテナンスや改善に追われながら過ごすこととなる。

 「みん就」が人気を集めた背景として、伊藤は「始めたタイミングがよかったこと」と、「サービスを小さく始め、利用者の増加に伴い規模や機能を少しずつ拡大していったこと」を挙げた。

「機能改善などの要望の声が怒涛のごとく寄せられるなかで、こうやったらユーザーにもっと喜んでもらえるのではと試行錯誤を繰り返しました。感謝のメールも年間数百通にも上って、それを見るのが嬉しかったですね」

 一人ひとりのユーザーの声に耳を傾けたこのときの経験は、後に伊藤の信念にも大きな影響を与えることになる。

 

三木谷氏「これからはあらゆる商品がネットで売れるようになる」

 みん就で多くの学生の就活を支える中、伊藤自身も大学卒業後は企業に就職。日経BPの記者として、企業のIT施策を取材し、雑誌に掲載するための記事を執筆した。

「これまでのメディアは出したら終わりで、そこからコンテンツが良くなることはありません。しかしネットの場合は、コンテンツにコメントが寄せられて、そこからさらに改善が可能です。(紙媒体を経験することで)あらためてこの事実を改めて実感しました」

 1999年、会社の同期との沖縄旅行が、伊藤を再びネット企業の世界へと導いた。旅先で訪ねた小さな酒屋で、そこの高齢の主人が「最近は楽天市場を使って泡盛を売っている」と語ったのだ。

「“まさか”という思いでした。記者としてITの最前線に触れているつもりでしたが、その頃の私は日本ではセキュリティ面などから“ECは普及しない”と考えていましたし、世間もそうした見解が主流でした。自分が常識として考えていることと現実には乖離があるのだと気づきました」

 ECに強い興味を抱いた伊藤は、知り合いが勤める楽天に遊びに行くと、そこにはちょうど楽天創始者である三木谷浩史氏がいた。… 続きを読む

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伊藤 将雄(いとう まさお)
1973年、千葉県に生まれる。早稲田大学を卒業後、新卒でビジネス誌出版社に入社。その後、楽天株式会社へ転職し、エンジニア・プロデューサーとして楽天市場の携帯版サイトやコミュニティサイトの立ち上げ期の開発・設計を担当。退職後、早稲田大学大学院国際情報通信研究科に入学。Web上のユーザー行動解析や大規模データの分析、レコメンデーションエンジンを研究。これらの研究成果を、早稲田大学内の産学インキュベーションセンター内でサービス化。株式会社ユーザーローカルを設立し、同サービスの提供を開始した。

株式会社ユーザーローカルについて
■ 事業内容ビッグデータ分析システムの研究開発/人工知能を活用したシステム開発
■ 設立年月2005年9月設立、2007年8月株式会社化
■ 本社所在地東京都港区芝5-20-6
■ 資本金5億2,950万7,000円
■ 従業員数37名
■ 業種情報・通信業
■ ホームページhttps://www.userlocal.jp/

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