2017.03.28 Tue

わかめのリケンを越え、グローバルな価値創造企業へ

理研ビタミン株式会社 代表取締役社長 山木 一彦 氏

 「ふえるわかめちゃん(R)」や「ノンオイルドレッシング」など独創的な商品開発で市場を拓いてきた理研ビタミン。国内市場が縮小傾向の中、次なる成長戦略を山木社長に伺った。

 

たった一社の新規取引先に通い詰めた新人営業時代

 「柔道一直線」が流行れば柔道教室に通い、「巨人の星」が人気になると野球をはじめ、「赤き血のイレブン」に感化されてサッカーをはじめる、そんな好奇心旺盛な少年だった。「あれこれ手を出したけど、結局サッカーが一番合っていたので小中高はサッカー一筋でした。やってみないとわからないから、自ら実践して一番良いものを選ぶというやり方は、現在のビジネス感に通じるかもしれませんね」と山木一彦は少年時代を振り返る。

 「大学は、数学があまり得意じゃなかったことと、海が好きだったので農学部の水産学科を選びました」と東北大学農学部へ進学した理由を話す。

 同期の半数が研究者を目指して大学院へ進む中、自分は研究者には向いていないと考え、民間企業への就職を希望。当時は比較的売り手市場で会社説明会に行くと、ちょっと多めの交通費がもらえる時代だった。小遣い稼ぎ感覚でいろいろな会社を受け、その中の一社が理研ビタミンだった。「『ふえるわかめちゃん(R)』をつくっているおもしろそうな会社という印象を持ちました。これは笑い話ですが、会社の資料をみると食品開発部門のトップが『美保さん』という方で、女性がトップなんて先進的な会社だなと思いました。『美保さん』が現会長の堺美保(ヨシヤス)で、男性だと知ったのは入社してからです(笑)」

 最初の配属は法人営業部。「顧客の引き継ぎはしない。自分で新規の取引先を開拓してこい」とはっぱをかけられ、靴をすり減らして営業を続けるが、なかなか結果がついてこなかった。問屋に紹介されて、ようやくつかんだ最初の顧客は、コンビニに惣菜や弁当を卸す食品会社。当時は、コンビニも全国統一商品流通の仕組みが確立されておらず、弁当や総菜は提案した会社が地区ごとに納入していた。

 取引先は、そこ一社しかないので山木は毎日通い続けた。開発や品質管理、購買などあらゆる部門に顔を出し、一日そこで過ごす。やがて『ここの席が空いているから座れば』と社員同然に扱われるようになり、社内の飲み会にも誘われるようになる。

「どんな取引先が出入りしていて、今どんな企画があり、誰と誰が付き合っているかまで知っていましたね。次第に各部署から『あれがほしいんだけど』と相談がくるようになりました。うちの商材は調味料とわかめと改良剤なのに、『コロッケがほしい』といわれても『わかりました』と返事して、先輩の取引先の冷食メーカーを紹介してもらったり、何でもやっているうちにどんどん商売が広がっていきましたね。当時は、コンビニの成長期だったのでひとつ商談が決まると、倍々ゲームで、調味料が1つ入ると、1回の発注で10トンとか20トンの注文をいただけたんです。この前まで課長さんだった人がすぐ部長になり、どんどん人脈も広がり、その人がいろいろ紹介してくれるので、営業成績も右肩上がりでした。あの新人時代に、人とのつながり、継続することの大切さを学んだことが、私の原点ですね」

 

他社の真似はしない。独自商品を生み出し続ける価値創造型企業へ

 その後も営業畑を歩き、1995年に中国へ進出した際、初代中国室長に就任して国内と中国の橋渡しをする事務局を担当、さらに国際事業本部を経て2003年には加工用食品営業本部の営業第4部長、2006年には執行役員、2010年に取締役業務用食品営業本部長、2014年に常務取締役、そして2016年6月、ついに代表取締役社長に就任した。

「社長就任に当たり、食品、改良剤、ヘルスケアという3つのコア事業に注力し、取引形態としてはBtoBとBtoCの両輪でいくという基本戦略を掲げました。それと同時に、理化学研究所にルーツを持つ企業として、他社の真似をして規模を拡大するのではなく、研究開発力を活かして独自商品を開発し、新市場を拓く価値創造型企業であり続けなければならないとの決意をあらたにしました」

 

“わかめのリケン”から“海藻のリケン”へ

 リケンといえば、「ふえるわかめちゃん(R)」や「わかめスープ」で有名だが、理研ビタミンは2016年8月に「ときめき海藻屋」という新たなブランドを立ち上げ、“わかめのリケン”というイメージからの脱却を図っている。その狙いを山木は以下のように話す。… 続きを読む

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山木 一彦(ヤマキ カズヒコ)
1959年生まれ。1983年、理研ビタミン入社。主に営業畑を歩み1995年の中国進出時に中国室長に就任。その後、国際事業本部、特販食品部、業務用広域営業を経て2006年7月に執行役員に就任。2010年に取締役 業務用食品営業本部長、2014年に常務取締役執行役員となり、2016年6月より代表取締役社長 執行役員。

理研ビタミン株式会社について
■ 事業内容家庭用食品、業務用食品、加工食品用原料、食品用改良剤、化成品用改良剤、ビタミン類などの製造・販売
■ 設立年月1949年 (昭和24年) 8月
■ 本社所在地東京都千代田区三崎町2-9-18 TDCビル
■ 資本金25億3,700万円
■ ホームページ

http://www.rikenvitamin.jp/

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