2017.03.21 Tue

“次世代の緑の革命”に挑む稀代の革命家

ベジタリア株式会社 代表取締役社長 小池 聡 氏

 現代農業は危機に瀕している。日本の農家の平均年齢は66歳を超え、農業就業人口は毎年10万人も減少し続けている。穀物生産は、半世紀前に確立された「緑の革命」と呼ばれる高収量品種の導入、化学肥料や農薬の投入、灌漑施設の整備で大量生産が可能になったが、すでに限界を露呈している。化学肥料・農薬の購入による農家の経済負担は大きく、耕作放棄地が増えて収量が低下する悪循環が発生。環境破壊も深刻だ。ベジタリア株式会社の小池聡は「農業が抱える課題を抜本から変えるために“次世代の緑の革命”を起こしたい。これを実現すれば、日本が世界の農業や食糧問題の解決を主導し、農業は先端産業になるはず」と話す。

 

インターネット黎明期を先導した伝説的なイノベーター

 1990年初頭にiSi電通アメリカ(米国GE社と電通の合弁会社の米国現地法人)のマネジメントとして米国に駐在員として赴任した小池は、GEを経由して軍事・研究目的で利用制限されていたインターネットが商用化される情報をいち早く掴んでいた。このビジネスチャンスを見逃す手はないと考えた小池は、1993年に現地法人にインターネット事業部をつくりインターネット黎明期から本場米国でインターネットの事業開発を行っていた。その後インターネット事業部を独立させる形でインターネットビジネスとインキュベーションを展開する子会社ネットイヤーグループ.incを立ち上げた。

 しかし、1998年秋、親会社が上場準備をすることになり、その影響による事業の見直しで事業撤退の憂き目に遭う。インターネットの可能性を信じていた小池は、これに対し「自分でやるから会社を売ってほしい」と直談判。すると、「小池がそこまで言うなら」とMBO(経営者による企業買収)の許可が下りた。貯金も退職金も全額注ぎ込み、借りられるだけの借金をし、それでも足りずベンチャーキャピタルを片っ端から回ってなんとか資金を調達。ネットイヤーグループ株式会社を設立し、代表取締役CEOに就任した。

 その後、東京渋谷で“ビットバレー構想”を提唱し、日本のネットベンチャーブームを牽引。ネット界の旗手として国内外から注目を集め、経済産業省プライベートエクイティーファイナンス基盤整備研究会委員、内閣府経済財政諮問会議(IT市場担当)委員、総務省次世代通信網ビジネスモデル研究会委員などを歴任、さらに日中韓若手経済人サミット日本代表団団長やベトナム協会の理事を務めるなど、国内外でさまざまな活動を主導した。

 2008年、ネットビジネスの最前線を走り続けてきた小池が突然舞台を降りる。「以前から、人生の後半戦は社会的に意義のある、地に足の着いたことをしたいと思っていました。ただ、何をやったらいいのかアイディアがなかったんですね。そのとき東京大学がEMP(エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)という社会人向けビジネススクールを開講することを知り、何かが見つかるかもしれないと思い入学しました」

 東大EMPでは、東大および他大学の教授・准教授と経営コンサルタントや弁護士などのプロフェッショナルがマネジメントのみならず物理学から哲学、天文学、農業、宗教までさまざまな講義を実施する。その狙いは、『課題先進国』の日本をモデルケースとして、その解決策を見出し、世界を牽引するリーダーを育成することにある。このEMPでさまざまな学びを吸収する中で、小池のアンテナにヒットしたのが健康・食・環境、そして農業だった。

「石油などのエネルギー問題も大切ですが、人間のエネルギー源である食料をつくる産業の方がもっと大事じゃないか。『食べる』ことは世界共通だし、農業の課題解決が食糧問題の解決につながると考え、これを次なる人生のテーマにしようと決めました」

 

農業は病気、虫、雑草、天候との戦い

 EMPを卒業後、まず生産者としてスタートを切る。「大好きなイタリア野菜を無農薬・有機でつくってみました。ところが現実は厳しく、最初に生産した野菜は、病虫害でほぼ全滅。農業とは病気、虫、雑草、天候との戦いだということを思い知らされました」

 東大EMP時代の担当教官だった植物病理学の第一人者難波成任教授に相談を持ちかけると、教授は、植物がかかる病気の種類や病原菌はほとんど特定され、発病のメカニズムも科学的に解明されてきていると言う。これを聞いた小池は、… 続きを読む

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小池 聡(コイケ サトシ)
1959年生まれ。iSi 電通アメリカ取締役副社長兼COOなどを経て、1998年にネットイヤーグループをMBOし独立。シリコンバレーを中心にベンチャーキャピタリストとして活動。2006年にネットエイジグループを株式公開(公開後ngigroupに社名変更。現ユナイテッド)し、2009年まで代表執行役CEOを務める。2010年ベジタリアを設立し、代表取締役社長に就任

ベジタリア株式会社について
■ 事業内容IoTセンサー事業、クラウドデータ基盤事業、アプリケーション開発事業、植物病院事業、農業生産事業、オーガニックを中心とした流通販売事業
■ 設立年月2010年10月22日
■ 本社所在地東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー15F
■ 資本金1,016百万円(2016年12月末現在)
■ ホームページ

http://www.vegetalia.co.jp/

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