2017.01.31 Tue

東京モノレールが羽田への所要時間を1分縮めるまで

東京モノレール株式会社 代表取締役社長 細川 明良 氏

 東京における“空の玄関”を考えるとき、浜松町駅の光景を思い浮かべる人は少なくないだろう。1964年の開業以来、この羽田空港へのアクセスを浜松町駅から支え続けているのが、東京モノレール株式会社だ。

 同社では現在、2010年に国際線ターミナルが開業した同空港と歩調を合わせ、更なる国際化に注力している。たとえば開業50周年となる2014年に導入した新型車両10000形では、スーツケース置場を充実させ、「和」のおもてなしを演出するデザインを採用。海外からの顧客ニーズに応える工夫が凝らされている。さらに、航空会社の協力のもと、浜松町駅にフライトインフォメーションを表示したり、国内初とされる全車両・全駅でのフリーWi-Fiの整備も実施している。

 同社がこうした取り組みを進める背景には、代表取締役社長を務める細川明良が、東京オリンピックが開催される2020年に向け、ある“危機感”を抱いていることが大きい。

「拡大が続くインバウンド需要や国が計画する空域制限の緩和などもあり、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年頃には、羽田空港の国際線の発着便数は現在よりも大幅に増加する見込みです。

 しかし一方で、マイカーや他社鉄道路線による羽田空港へのアクセスも充実していき、競合する輸送機関との競争はますます激しくなることでしょう。お客さまに、より便利に移動していただくには、健全な競争は欠かせません。我々ができることは何かと常に考えながら、新たな試みを1つ1つ積み重ねているところです」

 

電車も好きだったが、それ以上に空へ飛びたかった

 東京モノレールは2002年よりJR東日本グループの一員となっているが、細川も国鉄からJR東日本というキャリアを経ているうえ、親子二世代に渡る生粋の鉄道マンである。

 1956年に香川県で生まれた細川は、国鉄で車輌メンテナンスを手がける父の転勤とともに、全国を渡り歩く少年時代を過ごす。その生い立ちから当然のように鉄道が大好きだったが、それ以上に航空機が好きで、“自らの力で空に飛びたい”という夢を抱いていた。

 東京大学に進学すると、細川はこの夢を叶えてしまった。自らの手で熱気球を作り上げ、大空へと羽ばたいたのだ。現在のように既成の熱気球は流通していない時代だったが、珠皮やバーナーの設計から、総延長約20kmのミシン掛けまで、すべて仲間とやり遂げ、実現させた。

「今では人気のあるバルーンフェスティバルが、国内でやっと始まったばかりの頃でした。何もかもが手探りでしたが、自分達でつくった気球で空を飛んだ達成感と爽快感は、何十年経っても鮮やかに思い出すことができます」

 

ブルートレインの運転士から新幹線の責任者まで

 1980年に同大学工学部機械工学科を卒業すると、周りの学生の多くが製造メーカーに進むなか、国鉄へと入社する。結果的に父と同じ道を進むことになったが、「鉄道であれば、メーカーよりもいろいろな経験ができるのではないか」というのが一番の理由だ。

 細川の思惑通り国鉄入社後は、機関士から始まり、電気機関車の運転士、予算の担当やデジタルATC(信号装置)開発など、まさになんでも屋としてさまざまな仕事を手掛けた。なかでも印象に残っているのは、運転士の経験だったという。

「貨物列車を牽引することが多かったのですが、ブルートレイン(寝台列車)も運転しました。夜中、これから運転するために機関車のパンダグラフを上げて前照灯を点けてゆっくりと走り出すまでの流れは、鉄道マンとしての原風景となっています」

 1987年の国鉄民営化に伴いJR東日本に入社した細川は、その後、本社の企画部門を中心にキャリアを積み重ねていく。

 2011年に新幹線の責任者である新幹線運行本部長を務めていた時は、東日本大震災の対応に追われた。細川は新幹線の車内に残された… 続きを読む

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細川 明良(ホソカワ アキヨシ)
1956年、香川県生まれ。1980年、東京大学工学部機械工学科を卒業し、日本国有鉄道に入社。1987年、東日本旅客鉄道株式会社に入社し、2009年に執行役員 新幹線運行本部長に就任。2012年、同社の執行役員運輸車両部長に就任したのち、2014年、東京モノレール株式会社 代表取締役社長に就任した。

東京モノレール株式会社について
■ 事業内容鉄道事業、不動産事業、駐車場事業
■ 設立年月1959(昭和34)年8月7日
■ 本社所在地東京都港区浜松町2丁目4番12号
■ 資本金30億円
■ 従業員数353名(平成28年4月1日現在)
■ ホームページ

http://www.tokyo-monorail.co.jp/

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