2017.01.17 Tue

「サイコロで給料」に込められたカヤックの経営理念

株式会社カヤック 代表取締役CEO 柳澤 大輔 氏

 自らを“面白法人”と称する「カヤック」という企業をご存知だろうか。ゲームやアプリ、広告などのインターネット上のコンテンツを制作する同社は、1998年の設立以来、ソーシャルゲーム事業を中心に成長し続け、2014年には東証マザーズ上場も果たしている企業である。

 同社がそれ以上に注目されているのは、社員全員が“面白く働く”ことに徹底的にこだわっている点にある。

 たとえば、人事制度もその1つ。全社員が人事部に所属し、「採用」「評価」「給与査定」に関わる「ぜんいん人事部」や、給料日前に全社員がサイコロを振り給料を決める「サイコロ給」、同じ職種同士の相互投票によってランキングが決まり月給に反映される「月給ランキング」など、他の企業から見れば冗談と思われるような人事制度が定着しているのである。

 このユニークな人事制度を持つカヤックの舵をとるのが、創業者の一人であり代表取締役CEOを務める柳澤大輔である。

 

麻雀をたしなみ競馬ソフトを開発した学生時代

 1974年、香港で生まれた柳澤は、小学校高学年まで同地で過ごした。クラスで何かをするとなれば率先してリーダーを努め、次々とアイデアを出すなど、仲間と何かを楽しむことに積極的な少年だった。

 高校は日本の慶應義塾高校に進学し、日本に1つしかないという体育会自動車部に所属。大磯ロングビーチで行われる車庫入れ競技では、高校生代表として参加も果たしている。またこの時期に麻雀を覚え、卓上にて後にカヤックの共同創業者となる貝畑政徳氏と出会う。

 大学はSFC(慶應義塾大学環境情報学部)に進学。専攻は現在のAIに当たる「ニューラルコンピューティング」で、この技術を元に、競走馬の運気を予想するプログラムを開発した。

「騎手のバイオリズムや馬の誕生日など、20項目ほどの情報を基とした競馬予想ソフトです。私としては大真面目で、ソフトがうまく当たったらこれで稼ごうと考えていたぐらいだったのですが、まったく話題にもなりませんでしたね(笑)」

 大学卒業後は、SME(ソニー・ミュージックエンタテインメント)に入社。SMEはソニーの音楽事業を担う企業だが、柳澤は同社の通販部に配属され、大阪のデパート店頭での販売や、アウトドア用品の企画、カタログ制作などを経験する。

「通販は、テキストと画像を駆使して行う点で、ある意味“心理戦”。後から振り返れば、ネットのコンテンツ制作と相通じるところがあったと思います」

 同社で2年間のサラリーマン生活を送ったが、やがて退社。そして1998年8月に、「学生の頃からいずれ一緒に起業しようと約束していた」という貝畑氏、久場智喜氏とともに、3人でカヤックを立ち上げた。

 

なぜ創業者3人の間に溝が生じないのか?

 「カヤック(KAYAC)」という社名は、共同創業者である貝畑氏(KAihata)、久場氏(Cuba)、そして柳澤(YAnasawa)の頭文字をとったものだ。同時に、どんなに過酷な環境下でも決して沈まないという、イヌイットが狩猟に用いる皮貼りの小船の名称にもなぞらえている。

 カヤックでは、この3人の創業者それぞれが代表取締役を務めるという特徴的なスタイルを採用している。周囲からは設立当初より「いつか揉める」と何度も言われていたが、意見のぶつけ合いはもちろんあるものの、溝が生じるようなことは今まで一度も起きていないという。

 柳澤はその理由を、… 続きを読む

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柳澤 大輔(ヤナサワ ダイスケ)
1974年、香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立。2014年12月東証マザーズ上場。鎌倉唯一の上場企業となる。2015年株式会社TOWの社外取締役、2016年に株式会社クックパッドの社外取締役就任。

株式会社カヤックについて
■ 事業内容日本的面白コンテンツ事業
■ 設立年月1998年8月3日
■ 本社所在地神奈川県鎌倉市小町2-14-7 かまくら春秋スクエア2階
■ 資本金489百万円(2015年12月末時点)
■ 従業員数正社員・契約社員 230人(2015年12月末時点)
■ ホームページ

https://www.kayac.com/

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