2016.12.13 Tue

アサヒ飲料社長が語る「ブランド」の本当の価値とは

アサヒ飲料株式会社 代表取締役社長 岸上 克彦 氏

 国内有数の飲料メーカーであるアサヒ飲料株式会社は、明治時代から続く「三ツ矢サイダー」をはじめ、「ワンダ」「ウィルキンソン」「アサヒ 十六茶」「アサヒ おいしい水」など、長年にわたって数多くの飲料ブランドを展開している。2013年秋には、カルピス株式会社と国内飲料事業および営業部門を統合し、2016年1月には経営統合も果たした。そんなアサヒ飲料を率いるのが、2015年3月に代表取締役社長に就任した岸上克彦だ。

 

“飲料業界は環境の変化にも強く、安定している”

 岸上は1954年、京都で生まれた後に、程なくして東京都の北多摩郡(現在の東村山市)に移り住み、以後は同地で育った。幼い頃はとにかく元気で、よく武蔵野の雑木林で友だちと遊んでいたという。

「小学校の低学年の頃は野球少年で、よくキャッチボールをしていたのですが、5年生のときの先生がサッカー経験者で、その影響で私もサッカーが好きになり、中学と高校はずっとサッカー部にいました。ポジションは、体が大きかったため、守備の要であるセンターバックを任されました。立教大学に進んでからも、同好会に入ってサッカーはずっと続けていました。一応、今もサッカーのチームに入っているのですが、忙しくてほとんど参加できなくて、もっぱら試合を観戦することのほうが多いですね」

 その後、岸上が就職するにあたって目指したのは飲料業界だった。岸上が就職活動を行った1976年は、オイルショックによる不景気のため、“就職氷河期”と言われた時代であったが、飲料業界は「環境の変化にも強く安定している」と、学生の間でも人気の業種だった。

 岸上にもいくつかの飲料会社から内定が出たが、その中からカルピスを選んだ。

「なぜカルピス株式会社を選んだかといえば、カルピスという商品が好きだったからということに尽きます。昔からずっと続いてきたロングセラーのブランドであり、自分自身も日頃から慣れ親しんでいる商品ということで、興味を持って入社しました」

 カルピスはその頃から業界の中で老舗であり、歴史と伝統がある企業として存在感を放っていた。しかしながら、業績的にはオイルショック直後で伸び悩んでいた時期でもあった。営業に配属された岸上は、東京でデパート担当の営業をした後に、新潟や宇都宮など主に地方のデパートなど11年の地方生活を経て東京に戻ってきてからも営業現場にいた。

「当時はまだカルピスウォーターも発売しておらず、そのまま飲める『ストレート飲料』の売上は大きくなく、ギフトなどでお馴染みの『コンク飲料』(水で割って飲む濃縮飲料のこと)が売上のほとんどを占めていました。この頃の自分を振り返ると、タイプとしては馬力型の“モーレツ”営業マンだったと思います」

 

異動早々に大ヒット商品が生まれる

 入社以来、ずっと営業畑を歩んできた岸上だったが、1991年1月の辞令で、商品の販売戦略やPR戦略を考えるマーケティングの部署に異動となった。岸上にとっては初めての営業以外の部署だったが、配属早々ヒット商品に恵まれる。

「異動がたまたま1991年の春で、ストレート飲料の『カルピスウォーター』を発売する時期と重なっており、私が初代ブランドマネージャーに就任しました。カルピスウォーターは結果的に大ヒットとなったのですが、これは私にとってもかなりの幸運だったと思います。この業界にいて、商品が大ヒットする現場に立ち会えるというのは貴重な経験だし、ましてやその商品のブランドマネージャーという肩書きをいただけるのは、なかなかあることではないですからね」

 同社ではカルピスウォーター以前にも「カルピスソーダ」や「カルピコ」といったストレート飲料を発売していたが、「カルピスウォーター」はそれらの商品を大幅に上回る売れ行きを見せた。当時のカルピスの売上のほとんどはコンク飲料だったが、「カルピスウォーター」のヒットにより、次第にストレート飲料の売上も増していった。

 このマーケティング部での実績が評価され、岸上は2001年にコンク飲料の事業部長に就任する。その後もストレート飲料事業部、そして健康・機能性事業部などの部長を務めるなど、カルピスのさまざまな部署を率いることとなった。

 

子会社出身にも関わらず親会社のトップに就任

 こうした中、カルピスは大きな変革を迎える。… 続きを読む

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岸上 克彦(キシガミ カツヒコ)
1954年、京都府生まれ。1976年に立教大学経済学部を卒業し、カルピス株式会社に入社。1997年に同社東京支店次長、2001年にコンク飲料事業部長、2003年にストレート飲料事業部長、2005年に執行役員に就任。2013年3月にカルピス株式会社の取締役専務執行役員に就任後、同年9月にアサヒ飲料株式会社との営業統合にあたって、アサヒ飲料株式会社の常務取締役兼常務執行役員に就任。2015年3月に同社の代表取締役社長に就任。

アサヒ飲料株式会社について
■ 事業内容各種飲料水の製造、販売、自動販売機のオペレート、その他関連業務
■ 設立年月1982年3月
■ 本社所在地東京都墨田区吾妻橋1-23-1
■ 資本金110億8168万8000円
■ 業種食料品
■ ホームページ

http://www.asahiinryo.co.jp/

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