2016.06.07 Tue

USENが音楽“も”売る総合サービス企業になった理由

株式会社USEN 代表取締役社長 田村 公正 氏

 店舗やオフィス、公共施設などで流れるBGMは、空間を演出するのに欠かせない音楽である。BGMを配信する事業において、日本最大シェアを誇るのが、有線放送のリーディングカンパニーとして知られる株式会社USENだ。

 同社は「店舗で流すBGMのレコード交換」の煩わしさを解決するという発想で1961年に創業。その後、業界トップクラスのチャンネル数と楽曲編成力、BGMに最適な音圧調整(曲ごとの音圧差の抑制)等のクオリティで「BGMと言えばUSEN」と広く認知されるまでに成長し、今も音楽配信業界を牽引している。

 近年では音楽配信事業で培ったノウハウやネットワークを武器に、ICT、集客支援、業務用システムなど店舗支援を軸とした新たな事業も展開。この4月には、東京・渋谷に訪日外国人女性向けホテルも開業した。

 ビジネスの領域を広げながら“総合サービス企業”へと変革していく同社を率いるのが、代表取締役社長の田村公正である。

 

音楽好きの青年がセールスの仕事を目指した理由

 田村は1971年、兵庫県の川西市で生まれた。緑豊かな自然の中で少年時代を過ごし、小学校に入る頃になると柔道を習いはじめる。

「おそらくあまり言うことを聞かない、ヤンチャな子どもだったのでしょう。親が礼儀作法などを身につけさせたい一心で柔道を習わせたのだと思います(笑)。平日は学校が終わってから夜間、週末と練習漬けで、市を代表して県大会にも出場しました」

 中学に入ると、ギターを弾いていた兄の影響で、田村も洋楽を聴きはじめる。80年代は、ハードロックに魅了され、そのうちに幅広いジャンルの音楽にも耳を傾けるようになる。音楽への興味はこの頃からはじまっている。 高校卒業後は大学に進学し、経営学やマネジメント理論を学んだ。その裏には、幼いころから見続けてきた父の姿があった。

「父はずっと車のセールスの仕事をしていました。当時は訪問販売が主流の時代でしたから、殆ど家にいないことが多く、全国を飛び回って車を売っていたのです。そんな父の背中を見ていたからか、幼少のころから既に自分もなんとなく営業の仕事をしたいと考えるようになったのだと思います」

 大学時代は、運送会社でのアルバイトに明け暮れた。これには田村なりのこだわりがあった。トラックで単に荷物を運んだりするだけでなく、多くの接客を体験することで、社会へ出てからの対人スキルを身につけようとしたのである。また4年間ずっと同じアルバイト先で働いたことで、職場の人との信頼関係も築くことができた。

 ところが就職活動が近づくにつれ、周囲には穏やかでない雰囲気が立ち込めはじめた。… 続きを読む

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田村 公正(タムラ キミマサ)
1971年兵庫県生まれ。1994年上武大学経営情報学部を卒業し、株式会社大阪有線放送社(現株式会社USEN)に入社。2004年東東京支社長、2009年営業本部長を経て、その後常務執行役員、副社長執行役員などを歴任。2013年11月代表取締役社長に就任、現在に至る。

株式会社USENについて
■ 事業内容音楽配信事業、業務用システム事業、ICT事業、その他事業
■ 設立年月1964年9月7日(創業1961年6月)
■ 本社所在地東京都港区北青山三丁目1番2号
■ 資本金60億円(2015年8月31日現在)
■ 従業員数単体 2,527人、連結 3,124人(2015年8月31日現在)
■ 業種情報・通信業
■ ホームページ

http://www.usen.com/index.html

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