2016.05.17 Tue

世界でただ1つ“宇宙ゴミ除去”専門企業を率いる女社長

株式会社アストロスケール 代表取締役社長 伊藤 美樹 氏

世界でただ1つの宇宙ゴミ除去の専門企業

 地球を取り囲む宇宙空間には、「スペース・デブリ」と呼ばれる無数の“ゴミ”が存在している。スペース・デブリは、活動を終えた人工衛星や、打ち上げに使ったロケットの残骸などであり、小さなものを含めるとその数は億単位で存在すると言われている。高速で地球の周りを回っているため、わずか10cmほどの大きさであっても、国際宇宙ステーションや大規模な人工衛星をも容易に破壊するほどの威力を持つ。

 宇宙ビジネスへの注目度が高まり続けるなか、人工衛星の安全な運用を脅かすこのスペース・デブリの除去を事業目的とする世界で唯一の企業、それがアストロスケールだ。

 同社は、国主導のアプローチではスペース・デブリ問題を解決できないという危機感を抱いた起業家の岡田光信氏が、2013年5月にシンガポール本社を設立。打ち上げた衛星から「マザーシップ」と呼ばれる衛星をスペース・デブリに接近させ、その後「BOY」と呼ばれる特殊な捕獲装置を取り付けた超小型衛星を発射して目標物に接着するというアイデアを考案した。接着した「BOY」は、スペース・デブリを押して大気圏へと突入させ、最後は空気との摩擦熱で燃え尽きてしまうのである。

 日本法人は、スペース・デブリを除去する人工衛星の研究開発拠点として、2015年2月に設立された。その社長を務める伊藤美樹は、国内における超小型人工衛星研究に貢献してきた人物である。

 

芸術肌の少女、宇宙を目指す

 宇宙ビジネスという極めて理系色の強い世界でリーダーシップを発揮する伊藤だが、意外にも子どもの頃は理科が苦手で、絵や音楽が得意な典型的な文系少女だったという。

「絵を描くのが大好きで、毎晩ノートに綺麗な洋服を着ている女の子を描いていました。将来はイラストレーターかデザイナーになりたいと思っていました」

 そんな伊藤が宇宙に興味を抱いたきっかけは、中学生時代に観た映画「インディペンデンス・デイ」に登場する宇宙船に惹かれたことだった。主人公たちが最後に母艦に乗り込むシーンで、その大きさに圧倒されるとともに、あまりの美しさに見とれてしまったのだった。

 高校で進路を決めねばならなくなった際、映画から心に植え付けられている宇宙のイメージを思い出し、その道の専門家となることを決意する。

「周りに宇宙について勉強したいという友達もいませんでしたから、ならば自分がやってみようという気持ちもありました。天体への興味からではなく、イメージから宇宙の世界に入ってきた人間というのは、今思えばかなり変わっているかもしれませんね」

 

人工衛星の自由度は意外と高い

 大学では宇宙工学を専攻し、2011年3月には日本大学大学院航空宇宙工学修士課程(博士前期課程)を修了。大学院卒業後は次世代宇宙システム技術研究組合で超小型衛星「ほどよし」の開発に従事する。専門領域は人工衛星の構造力学(熱構造系)で、衛星内部の温度管理などを専門に日々研究に明け暮れた。

 伊藤は人工衛星の魅力のひとつとして、 “自由度”を挙げた。… 続きを読む

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伊藤 美樹(イトウ ミキ)
日本大学大学院航空宇宙工学修士課程修了。次世代宇宙システム技術研究組合にて内閣府最先端研究開発支援プログラムである超小型衛星「ほどよし」の開発プロジェクトに携わり、ほどよし3号機、ほどよし4号機の開発に従事する。2015年4月よりアストロスケールに所属し、日本法人の代表取締役社長に就任

株式会社アストロスケールについて
■ 事業内容小型衛星の開発・製造、宇宙環境テスト
■ 設立年月2015年2月
■ 本社所在地東京都墨田区錦糸1-17-2
■ 業種航空宇宙
■ ホームページ

http://astroscale.com/

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