2016.04.12 Tue

患者を治療するのではなく“診断”する薬の力とは

ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(Roche Diagnostics K.K.) 代表取締役社長 兼 CEO 小笠原 信 氏

 刻一刻と進化を遂げる生命科学の技術は、医療の世界に大きな変革をもたらしている。中でも「医薬品」と「診断薬」の分野には、大きな期待が寄せられている。

 どちらも薬ではあるが、用途は異なる。医薬品は患者を治療するための薬だが、診断薬は体から採取された血液などのサンプルから体・臓器の状態を掴み、更には病気の予兆を掴んで発病を未然に防いだり、患者のタイプを診断して個別の治療につなげる薬である。

 こうした診断薬のジャンルを牽引しているのが、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社だ。1896年にスイスで創業されたロシュグループは、世界150ヵ国以上に展開するヘルスケアのグローバル・カンパニーだが、ロシュ・ダイアグノスティックスは、ロシュグループ診断薬事業部門の日本法人である。

 代表取締役社長 兼 CEOを務める小笠原信は、診断薬の価値をこう語る。

「たとえば、抗がん剤の場合、同じがんの患者でも、効果の期待できる人とそうでない人がいます。診断薬を用いることで、医薬品の効果が見込める人にだけ的確に投薬し、副作用や経済的な負担を避けることができるのです」

 

“自分は認めてもらえなくて、きっと飛ばされたんだ”

 1965年生まれの小笠原は、小学校の3年まで神奈川県の茅ヶ崎で暮らしていた。その後、父親の仕事の都合でイギリスに渡るが、英語が全く話せない状態で、地元ロンドンの公立学校に通うことになる。最初の3ヶ月はコミュニケーションがほとんどできず、もっぱらの楽しみは、言葉が通じなくてもこなせる算数と体育の時間だけだった。

 2年後、父親の赴任先が横浜になり日本に帰国。中学ではテニス、高校では軟式野球で心身を鍛え、一浪して上智大学に入学。理工学部電気電子工学科に入った。

「エンジニアだった父の影響で、大学は理系しか頭にありませんでした。将来はエンジニアとして、海外とつながりが持てる仕事に就ければいいなと思っていました」

 海外志向の強い小笠原は、卒業後の就職先として、「輸出入がメインの会社であり、自分の専門に近い機器を扱う部署に行けるのでは」という思いから、総合商社の日商岩井(現・双日株式会社)を選んだ。当時はバブル全盛期で、理系の人間が銀行や商社に就職する「理系の文系就職」が流行していたこともあり、トントン拍子で内定を得た。

 しかし、配属されたのは人事部の採用担当だった。… 続きを読む

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小笠原 信(オガサワラ マコト)
1965年、神奈川県生まれ。上智大学卒業後、日商岩井株式会社(現、双日株式会社)に入社。5年間の米国での勤務後、2003年ジーンフロンティア株式会社代表取締役社長に就任。同社の事業の一部譲渡により、2008年ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社に入社。AS事業部事業部長を経て、2012年1月より現職

ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(Roche Diagnostics K.K.)について
■ 事業内容体外診断薬・機器、研究用試薬・機器、診断薬・医薬品原料の輸入、製造および販売
■ 設立年月1998年8月1日
■ 本社所在地東京都港区芝2丁目6番1号
■ 資本金25億円
■ 従業員数844人(2016年4月1日現在)
■ 業種医薬品製造業
■ ホームページ

http://www.roche-diagnostics.jp/

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