2016.03.29 Tue

会議の時間を研究に、世界を目指す農工大学長の改革

国立大学法人 東京農工大学 学長 松永 是 氏

 日本には国立大学が全86校存在するが(2015年4月現在、以下同じ)、東京農工大学はその中でも独特な大学だ。

 特徴のひとつに、生徒に対する教員の多さが挙げられる。同大学は農学部と工学部の2つの学部を合わせて3,849人の学部生を抱えているが、教員も400人以上在籍している。教員1人に対する学生数は平均9.4人、研究室で見れば平均2~3人と、教員と学生の距離が近い少人数教育を実施している。

 また、理系の大学ではあるものの、女子生徒の割合が比較的高い。2014年度における、工学部の女子学生比率は、他の国立大学全体の平均である11%よりも10ポイント高い21%。さらに農学部では、新入学生の6割が女子と、男子学生数を上回っている。

 近年では、これからのグローバル時代を見据えて、「世界が認知する研究大学へ」という中期目標を掲げており、食料・環境やエネルギー、ライフサイエンスなどを重点分野として「グローバルイノベーション研究院」の設置や外国人教授の招聘など、画期的な取り組みを次々に展開している。

 そんな同大学のリーダーを務めるのが、2011年4月に学長に就任した松永是(ただし)だ。

 

化学の実験セットが拓いた理系の道

 松永は1949年、千葉県市川市に生まれた。子どもの頃は体を動かすのが好きで、野球やサッカーなどのクラブチームに所属していたが、あることがきっかけで学問に目覚めたという。

「小学校のときに、親が化学の実験セットを買ってくれました。色々な薬品を混ぜて色が変わったり、臭いがしたりという実験が面白くて、理科が大好きになりました」

 中学・高校と都内の進学校に通った松永は、理系の大学を志望、東京工業大学へと進学した。最初は化学系の学科に進んだが、やがて生物に興味を持つようになり、4年生のときに同大学の資源化学研究所の生物資源部門に入った。

「研究室で実験して調べるのがとても面白く、勉強になりました。現在、私が大学を運営する側になって振り返ってみても、このときの体験はとても重要だったとつくづく思います。その後、大学院生になると、学会で自分の研究成果を発表したり、論文を書いたりする機会も増えましたが、苦になることもなく、楽しんでできました」

 博士課程終了は資源化学研究所の助手に就任し、さらに渡米してマイアミ大学の海洋研究所で研究活動を続ける。そんなある日、東京農工大学との接点が訪れた。… 続きを読む

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松永 是(マツナガ タダシ)
1949年、千葉県市川市生まれ。1979年、東京工業大学大学院総合理工学研究科博士課程修了。1980年に東京工業大学資源化学研究所助手に就任した後、米国マイアミ大学研究員を経て、1982年に東京農工大学工学部助教授に就任。1989年に教授へ就任後、2001年には工学部長、2007年 には理事(副学長 学術・研究担当)を経て、2011年4月に学長へ就任、現在に至る。マリンバイオテクノロジー分野の研究などで日本化学会学術賞、カーネギー財団カーネギーセンテナリー教授賞、日本生物工学会賞など多数受賞

国立大学法人 東京農工大学について
■ 設立年月1874年
■ 本社所在地(本部)東京都府中市晴見町3-8-1、(府中キャンパス)東京都府中市幸町3-5-8、(小金井キャンパス)東京都小金井市中町2-24-16
■ ホームページ

http://www.tuat.ac.jp/

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