2015.09.29 Tue

国際物流企業のリーダーを今も支える、辛く楽しい経験

株式会社近鉄エクスプレス 代表取締役社長 石崎 哲 氏

 近畿日本鉄道を母体として1970年に航空貨物専業として発足した近鉄エクスプレス。現在は、国際航空貨物輸送、国際海上貨物輸送、ロジスティクスサービスの3つの事業を柱にビジネスを展開している。

 今年に入ってシンガポールに本社を置くAPLロジスティクスを買収し、国内トップクラスの規模を誇る物流企業へと成長を遂げ、45カ国約700拠点とグローバルな物流網を構築している。そんな同社を率いるのが、代表取締役社長の石崎哲だ。

 

「この業界はこの先伸びていく」

 1950年、宇都宮市で生まれた石崎は、公務員の父親の仕事の関係から、福井市、水戸市、千葉県市川市と高校生までの間に転居を繰り返した。

 子供の頃は虫捕りが大好きで、外でセミが鳴き出すとすかさず網を手に取って家の外に飛び出すほどであった。20匹以上もセミを捕まえて網戸に並べ、あまりの喧騒に父親に叱られたこともある。昆虫好きなだけにセミが一週間しか地上で生きられないことをよく理解しており、捕まえても夕方には外に逃していた。

「基本的に外で遊ぶのが好きでした。早朝に起きてカブトムシやクワガタを捕まえに行ったり。虫捕り以外に三角ベースの野球もよくやったりしましたね」

 そんな石崎が物流の道に進み始めたのは大学の時。できたばかりの「交通論」のゼミに入ったことがきっかけだった。石崎は一期生で同期は11人しかいなかったが、海運をはじめ、鉄道の交通経済論、旅行などについて学んだ。卒業論文のテーマとして選んだのは「航空貨物」だったが、同テーマを研究題材としたのはゼミ内でも石崎一人だけだった。

 卒業後の進路も、航空貨物に関する企業を志望する。卒論の作成過程などで、航空貨物に関係する論文や業界紙を読み漁り、この業界がこの先伸びていくという可能性を強く感じていた。また物流業界であれば、以前から夢であった海外勤務もできるかもしれない。

 そして、早い時期から海外展開を進めていた近鉄航空貨物(現・近鉄エクスプレス)を志望し、1973年に入社する。同期を見渡すと、大学で航空貨物を勉強していたのは石崎以外にはいなかった。

 

念願の海外赴任へ

 海外志向の強かった石崎だが、入社後は輸入貨物の営業部門で2年半働き、続いて新しく設置された国内貨物の部門で8年近く働いた。その後、待望の海外勤務となり香港に約7年間赴任することになる。当時の近鉄エクスプレスでは、国内部門か海外部門のどちらかに一度配属されるとその部門内でキャリアパスを歩むのが基本だったため、部門を隔てた異動は珍しいケースだった。

「たまたま国内部門にいた頃の上司が香港に駐在していて、彼が本社に戻る際に後任として私の名前を挙げてくれたんです。いよいよ海外で仕事ができるぞと期待に胸を膨らませました」

 香港法人は1969年に設置され、同社の海外法人としては最も歴史が古い。しかし実際に香港へと赴いてみると、肩透かしを食らった。なぜならその頃の香港法人は… 続きを読む

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石崎 哲(イシザキ サトシ)
1950年、宇都宮市生まれ。1973年に慶応義塾大学商学部を卒業、近鉄航空貨物(現・近鉄エクスプレス)に入社。複合輸送営業部産直課長、新宿国際支店長、輸入営業部長などを経て、2003年6月に取締役(ロジスティクス営業部長)へ就任。その後、2007年6月に専務取締役(ロジスティクス営業部長、米州本部分担)に就任、2009年6月に代表取締役社長に就任し、現在に至る。

株式会社近鉄エクスプレスについて
■ 事業内容国際航空貨物輸送、国際海上貨物輸送、ロジスティクス、通関業等総合物流サービス
■ 設立年月1970年(創業:1948年)
■ 本社所在地東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟24階
■ 資本金72億16百万円
■ 従業員数1,103名(単体) 約17,000名(連結)
■ ホームページ

https://www.kwe.co.jp/

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