2015.05.19 Tue

“しあわせをつくるお菓子”を追求する企業理念とは

石屋製菓株式会社 代表取締役社長 石水 創 氏

“社長になる夢”を胸にスキーで心身を鍛錬

 石屋製菓は北海道に本社を置くお菓子メーカーだ。社名に聞き覚えがなくても、北海道銘菓「白い恋人」を知らない人はいないのではないだろうか。いまや「白い恋人」は北海道を代表するお土産として、日本全国はおろか、アジア圏を中心とした世界中で愛されている。

 現在、同社の社長を務める石水創は、創業者を祖父に、二代目を父に持つ。まさに、お菓子づくりのDNAを受け継ぐ若き三代目社長だ。石水は「しあわせをつくるお菓子」を企業理念に掲げている。そこには、社員時代に乗り越えた大きな試練から学んだ、深い思いが込められているという。

 1982(昭和57)年、石水は札幌市に生まれる。石水家待望の長男として、周囲の喜びようは大変なものだったという。まわりから「将来はお菓子屋さんの社長だね」と言われ続け、物心つくころには自然に社長を夢見るようになっていく。当時、石屋製菓の社長だった父は、24時間仕事のことを考えているような仕事一筋の人で、よく石水少年を相手に会社や仕事の話をして聞かせていた。

「新作のお菓子を持ち帰って意見を求めてきたり、建設予定の施設の設計図面を拡げて説明してくれたり、とにかく子どもの前でも仕事の話が多かったですね。それをすごく楽しそうに話してくれるので、子ども心に仕事というのは楽しいものだと思い込みました」

 そんな父の背中を見て育つうちに、社長になる夢はより強固なものになっていく。また、家には常に甘いお菓子が常備されていたため、お菓子目当てに友人が遊びに来ることも多かったという。いろいろなお菓子に囲まれて育った石水は、製造し販売する立場になった今でもおいしいお菓子がとても好きだという。

 少年時代の石水を虜にしたのはお菓子だけではない。もうひとつ熱中したものがスキーのアルペン競技であった。腕前もかなりのものだったことから、高校、大学ともにスキー推薦を受けて進学。東洋大学に進んだ石水は、初めて北海道を離れ、埼玉で過酷な寮生活を体験することになる。

「4畳半、2人部屋、クーラーなし。早朝5時からの朝練が終わった後に、1年生が全員分の食事を作るという、“これぞ体育会系”という環境。今でも『専攻は文系でしたか。理系でしたか』と聞かれたら、『体育会系』と答えています(笑)。最初の半年は辞めたくてしょうがなかったのですが、それを乗り越えたことで、心身ともにタフになりました。いまだに、あのころのつらさに比べれば、何でも乗り越えられると思っています」

 社会人でアルペン競技を続ける選択肢もあったが、大学卒業後は迷うことなく石屋製菓に入社。体育会系のタフさを身に着け、ひとまわり大きくなった石水は、ずっと胸に抱いていた「社長になりたい」という夢の第一歩を踏み出す。しかし、その道のりは決して順風満帆ではなかった。

 

まさかの不祥事、その矢面に立たされて

 2004(平成16)年、石屋製菓に入社した石水は1年間の海外留学へと旅立つ。ちなみに石屋製菓の本社建物は、すべてイギリスから移築している。家具もすべてイギリスから石水の父が買い付けてきたものだ。その際に英語で苦労した父の強い勧めがあっての留学だった。イギリスで9カ月の語学留学を経て、スイスのチョコレート工場で3カ月にわたり菓子づくりを学んだ。

 帰国後、製造部門に配属された石水は、日中は菓子づくりを行い、夜は調理製菓の専門学校で菓子づくりを勉強。ずっとお菓子のことだけを考えていられる幸せな時期だったという。

「販売や配送なども経験しましたが、やはり製造でお菓子をつくるのがいちばん楽しく、自分に合っていると思います。たまにプライベートでもお菓子をつくりたいと思うのですが、キッチンが汚れるという理由から妻の許可が下りません(笑)」

 しかし、穏やかな時間に終止符を打つ出来事が起きる。… 続きを読む

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石水 創(イシミズ ハジメ)
1982年札幌市出身。東洋大学法学部経営法学科卒、小樽商科大学大学院修了。2004年石屋製菓入社。2006年取締役、2008年常務、2009年専務、2010年代表取締役副社長を経て、2013年7月に代表取締役社長に就任。

石屋製菓株式会社について
■ 事業内容菓子製造業
■ 設立年月1959(昭和34)年
■ 本社所在地北海道札幌市西区宮の沢2条2丁目11番36号
■ 資本金3,100万円
■ 従業員数390名・グループ合計627名(2014年4月現在)
■ 業種製造業
■ ホームページ

http://www.ishiya.co.jp/

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