2015.04.14 Tue

エステー創業家の女社長が挑む、社内外の”空気”改革

エステー株式会社 取締役 兼 代表執行役社長(COO) 鈴木 貴子 氏

華やかな世界を渡り歩いたマーケッターはなぜ創業家に戻ったのか

 消臭芳香剤の「消臭力」をはじめ、衣類用防虫剤「ムシューダ」、除湿剤「ドライペット」など、“空気を変える”商品で知られるエステー。そんな同社の社長に2013年に就任し、大規模な改革を推進しているのが鈴木貴子だ。

 エステーを興した鈴木誠一(現・名誉会長)の三女として生まれ育った鈴木だが、特に家業を継ぐことは考えていなかった。大学を卒業した1984年に日産自動車に就職し、海外事業本部にあるセールス&マーケティング部門に所属する。ここで大学時代の専攻であるスペイン語の力をフルに生かし、中南米エリアのマーケティング業務を担当。メキシコをはじめ、中南米への出張を繰り返した。

「特に大切にしたのが現地スタッフとのコミュニケーションです。自分が担当する国の中からロールモデルとなる販売店をピックアップしてそこに赴いて、顧客満足度向上のためのアイデアをプレゼンしてもらったりしました」

 その後はプラダジャパンや外資系化粧品会社などを経て、2001年にルイ・ヴィトン・ジャパンに入社。いずれの企業でも、女性をターゲットとする商品やブランドのマーケティングに携わった。

 このように華やかな業界でグローバル・マーケティングのスキルとノウハウを長年磨き続けて来た鈴木に、当時の社長(現会長)でおじに当たる鈴木喬から、エステーの事業を応援するよう声がかかる。エステーにおける“デザイン革命”を掲げていた彼は、それまで同社にとって未開拓の資源だったデザインを深く掘り下げることで、他社との差別化を図ろうとしていたのだ。

 2009年、鈴木はデザイン・コンサルティングの会社を立ち上げ、エステーの“デザイン改革”を手がけたが、「やはり中に入ってもっと突っ込んだほうがいい」と判断し、2010年、エステーに入社。さまざまな部署で経験を積んだ。

 子どもの頃からよく知る会社ではあったが、いざ内部に入ってみて鈴木が感じたのは、社員がみな誠実で会社を愛している一方で、商品やパッケージのデザインがあまりに男性的であるということだった。

「当時はよく、自社商品のデザインについて『まるでスポーツ紙の見出しみたいだ』と表現していました(笑)。日本の日用品業界はまだまだ男性が中心なので、それがどうしてもデザインに反映されてしてしまうんですね。

 でも、世の中の半分は女性なのですから、商品の開発から製造、マーケティングまで、女性がもっと関わるようにすれば、ユーザーによりフィットした商品を考えられるのではと思いました」

 デザイン改革を推し進めていた鈴木は2013年4月、取締役 兼 代表執行役社長(COO)に就任。リーダーの立場から改革を進めることになる。

 

新社屋のデザインに込めた思いとは… 続きを読む

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鈴木 貴子(スズキ タカコ)

1962年東京都生まれ。1984年上智大学外国語学部を卒業後、日産自動車株式会社に入社。その後LVJグループ株式会社などを経て、2010年1月にエステー株式会社入社。同年4月より執行役に就任するとともにフレグランス・デザイン担当として商品のデザイン改革を進める。2013年4月より取締役兼代表執行役社長に就任、現在に至る。

エステー株式会社について
■ 事業内容エアケア(消臭芳香剤・脱臭剤)、衣類ケア(防虫剤)、湿気ケア(除湿剤)、ハンドケア(手袋)、サーモケア(使いすてカイロ)、ホームケア(クリーナー・その他)等日用品の製造・販売
■ 設立年月1948年8月31日
■ 本社所在地東京都新宿区下落合1-4-10
■ 資本金70億6,550万円
■ 従業員数連結 760名 / 単体 402名 (パートタイマー・嘱託を除く)※2014年3月31日現在
■ ホームページ

http://www.st-c.co.jp/company/index.html

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