2014.10.07 Tue

森永卓郎がリーダーに告ぐ「経営者は経営をするな」

経済アナリスト 森永 卓郎 氏

 東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社(現、JT)、経済企画庁、三井情報企画総合研究所などでの職を歴任した、経済アナリスト・森永卓郎。バラエティ番組での出演も多く、ミニカーやフィギュアなどマニアックな趣味にこだわるコミカルなキャラクターでお茶の間の人気者となっている森永だが、元々は日本経済を動かす多くの政財関係者に、長年に渡って厳しい指南をしてきた、“経済界のご意見番”である。

 国の経済政策から市場経済の在り方まで幅広い知見を持つ森永は、企業に、そして経営者にどのような理想像を抱いているのだろうか。森永卓郎に「理想の経営者とは」をテーマに話を聞いた。

 

全てを仕切る経営者は会社をダメにする。理想は「具体的な指示をしないこと」

 日本の経済成長をリードしてきた数多くの経済人を知る森永の “最も尊敬する経営者”は、一番身近なところにいた。 森永が三和総合研究所(現、三菱UFJリサーチ&コンサルティング)の主任研究員を務めていた当時の社長である、松本和男という人物だ。松本氏について森永は「具体的な指示を一切しない経営者だった」と語る。

「松本和男さんは、三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)での頭取争いに敗れた後、三和総合研究所を立ち上げました。当時の松本さんは、銀行マンとして企業経営のノウハウはありますが、研究者としてのキャリアはゼロ。そこで、研究実務は集まった研究者に一任し、自分はまったく口出しをしなかったのです」

 松本氏が社員である研究員に対し、唯一示したのが「ヒューマニズムに立脚したロマンティシズムとリアリズムの両立」という経営理念だった。

 「後世に残る研究をするという夢(ロマン)を追い求めながら、企業の継続性を担保するための営利(リアル)を意識せよという指針でした」と、森永はその理念を説明する。社員が判断や行動をする際の道しるべを示す一方で、社員の持つ能力を信じ、具体的な指示をせずに社員を自由にすることで、自主性を促そうとする狙いがあった。

「『研究のことは自分にはわからないから、具体的な行動は全て社員に任せる。ケツは全て自分が拭く』と言える経営者はすごいと思いましたね。当時から社員に尊敬され、今でも愛され続けていますよ」

 企業経営者によくありがちなのは、企業活動のあらゆる行動の最終判断を行い、社員の活動に干渉しようとするケースだ。もちろん、社長は企業の最高責任者であるので、企業活動の全権を掌握するのは誤りだとは言い切れない。

 しかし、森永はこの点について… 続きを読む

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森永 卓郎(モリナガ タクロウ)

1957年、東京都生まれ。1980年東京大学経済学部経済学科卒業。日本専売公社、三井情報開発株式会社総合研究所、三和総合研究所、UFJ総合研究所などを経て、現在は獨協大学経済学部教授、経済アナリストとして活躍。「モリタク」の愛称でテレビなどでも親しまれている。

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