2014.09.02 Tue

なぜ専業主婦が老舗テーラーを再建できたのか

株式会社 銀座テーラーグループ 代表取締役社長 鰐渕 美恵子 氏

バブル崩壊による経営難、多額の負債……厳しい中でのスタート

 スーツに強いこだわりを持つビジネスパーソンであれば、「銀座テーラー」という名前を聞いたことがあるのではないだろうか。銀座テーラーは1935年に創業したテーラーメイドスーツ(オーダースーツ)の老舗企業で、今年創業80周年を迎えた伝統と実績のある企業だ。
 オーダーメイドで作るスーツと聞くと、“高価”、“古臭い”、“敷居が高い”といった印象を持つ人が多いかもしれない。しかし、そういったイメージから脱却すべく、老舗のテーラーならではの品質を、時代のニーズに合わせて世の中に提案しているのが、銀座テーラーを率いる鰐渕美恵子だ。

 女社長が老舗紳士服店のトップを務めているのには理由がある。先代社長の鰐渕正夫氏の妻であった鰐渕が銀座テーラーのビジネスに関わるようになったころ、時代はちょうどバブル経済が崩壊した直後で、銀座テーラーの経営環境も大変厳しいものだった。当時同社のトップセールスマンだった社員は「もう服が売れなくなった」と同社を退職。その社員の「私の代わりに奥さん(鰐渕)を入社させてはどうか」という進言で、鰐渕は専業主婦から銀座テーラーに営業担当として入社した。

「銀座テーラーだけでなく、日本中のあらゆる企業の経済が苦しい状況でした。昨日あった売上が突然なくなってしまうようなもの。銀座からも人が消え、百貨店に行っても接客するスタッフのほうが多いような状況だったのです」と鰐渕は当時を振り返る。「リーマンショックのときも、東日本大震災のときもそう。銀座に来る人の数は日本経済全体の浮き沈みを測るものさしのようなものです」

 その後、鰐渕正夫氏の病をきっかけに、これまで夫に銀座テーラーを経営難から立て直すための経営改革を進言していた鰐渕が、2000年に銀座テーラーの三代目社長に就任。厳しい経営環境を立て直すことが急務という状況での船出となった。企業経営の経験がほとんどない状況での社長就任となったが、「洋服屋の常識、経営者の常識に囚われず、顧客の目線でどのような洋服が欲しいかを徹底的に考えた」と、改革へのロードマップをすでに描いていた。… 続きを読む

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鰐渕 美恵子(ワニブチ ミエコ)

1948年大阪府出身。甲南大学卒業後、大阪万博VIPコンパニオンとなる。その後銀座テーラーグループの後継者であった鰐渕正夫氏と結婚、1995年に自身も株式会社銀座テーラーに入社。2000年、同社の3代目代表取締役社長に就任する。2008年には社団法人日本PR協会「第10回日本PR大賞優秀賞」を受賞。2010年より若手経営者の育成を目的とした『平成サムライ塾』を開講。現在の所属団体に一般社団法人 日本経済団体連合会、(公社)経済同友会 幹事、東京商工会議所 議員など。

株式会社 銀座テーラーグループについて
■ 事業内容オーダーメイド紳士服の製造および販売、不動産事業、海外ビジネス支援事業
■ 設立年月1935年
■ 本社所在地東京都中央区銀座5-5-16
■ 資本金5,000万円
■ 従業員数25名
■ 業種小売
■ ホームページ

http://www.gintei.com/

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