2014.05.20 Tue

クラウドの先に広がる大きな市場を目指す

株式会社セールスフォース・ドットコム 取締役相談役、米国 salesforce.com Executive Vice President 宇陀 栄次 氏

最初社長就任を断った理由

 現在のITの潮流を大きく変えたクラウド・コンピューティング。その「クラウド」という言葉がまだ世の中に無かった時代から、ネットワーク経由で法人向けにサービスを提供するモデルをいち早く確立したのがセールスフォース・ドットコム。1999年に創業し、世界屈指のIT企業へと成長し、時価総額も3兆円を超え、現在もビジネスを拡大し続けている。

 今から10年前の2004年当時、同社は認知度も規模も小さかった。日本IBMで社長補佐や事業部長などを歴任し、その後、ソフトバンク・コマース社長も歴任した宇陀に、創業者であるマーク・ベニオフから日本法人の社長として声がかかったのはその頃だった。

 「マークと初めて会った時は、お誘いを丁寧に断った」と宇陀は明かす。宇陀が辞退した理由は会社の規模ではない。実は、宇陀自身も同様のビジネスモデルで会社を立ち上げようとしていたところだった。

「IBMの社長補佐をしていた1996年に、この先10年20年のITトレンドについてのタスクリーダーをやった時、業務ごとのアウトソーシングというモデルを考えました。まさに今でいうところのクラウドです。私自身が得意とするのは、消費者向けよりも法人向けビジネス。2002年頃からのブロードバンドの急速な普及で、温存していた構想を具体化して、企業向けサービスを提供する会社を立ち上げようとしていた矢先にマークから声がかかりました。ビジョンは同じだったことに共感しましたが、面接と言うよりも、協業しようという理由で面談したのです。」

 ところが、宇陀に断られた後も、ベニオフ氏からの説得は続いた。セールスフォース・ドットコムのかなり優れた設計思想と顧客志向のビジネスは魅力的だった。米国本社の上席副社長と日本法人社長を承諾したのである。

 

まずは成功事例をつくる

 宇陀が社長に就任した時、会社は赤字の状況だった。しかしその後に黒字転換し、さらに急成長を見せていった。

「ITビジネスはスケールメリットがすごく効きます。しかし、法人向けでは、同じサービスを10社に提供することは不可能です。必ず各社ごとに、あるいは部門ごとにカスタマイズが必要。それが簡単にできるので、現在世界で20万社に利用されています。クラウドの場合は、先行投資の損益分岐点を越えれば、お客さまが増えるに従って、品質も機能も向上させ、売上も利益も伸ばすことができます。」

 とはいえ、トントン拍子で顧客が増えていったわけではない。… 続きを読む

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宇陀 栄次(ウダ エイジ)

1956年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、日本IBMに入社し、営業部長、社長補佐、製品事業部長、理事情報サービス産業事業部長、IBM AP Directorなどを歴任。ソフトバンク・コマースの代表取締役社長を経て、2004年3月に米国セールスフォース・ドットコムの上級副社長に就任。同年4月よりセールスフォース・ドットコム日本法人の社長も兼務し、2014年4月より同社の取締役 相談役に就任。米国 salesforce.com Executive Vice President。

株式会社セールスフォース・ドットコムについて
■ 事業内容企業向けクラウドアプリケーション 及び プラットフォームの提供
■ 設立年月2000年4月
■ 本社所在地東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー12階
■ 資本金4億円
■ 業種IT
■ ホームページ

http://www.salesforce.com/jp/

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