2014.03.25 Tue

国を動かした、高齢化社会の新たなビジネスモデル

株式会社学研ココファン 代表取締役社長 小早川 仁 氏

普通の年金世帯の高齢者が安心して暮らせる住宅を

 2011年4月、高齢者が安心して生活するための「高齢者の居住の安定確保に関する法律(略称・高齢者住まい法)」が改正された。この法改正のきっかけとなったのが、2004年7月に設立されたばかりの学研ココファンが編み出したビジネスモデルだ。これまで介護が必要な高齢者の住まいといえば、入居一時金が数千万円で月額利用料も20万円以上と高額な有料老人ホームか、入居一時金は必要ないものの入所待ちが多く、いつまで待っても利用できない特別養護老人ホームのほぼ二択しかなかった。同社はそこに、入居一時金不要で月額利用料12万円前後の、サービスを付帯させた高齢者専用の賃貸住宅という新たな選択肢を提示したのである。

 一般的なサラリーマン夫婦が退職後の年金で余裕を持って暮らし続けることのできる同社の高齢者向け住宅は話題を呼び、介護サービスを所管する厚生労働省と高齢者の住まいを所管する国土交通省も注目した。そして、同社の物件をモデルとする「サービス付き高齢者向け住宅」が国の政策として法制化されるに至ったのである。

 学研ココファンの設立にかけた思いを小早川はこう語る。「かつての高齢者向け住宅市場は、交通機関に例えるならば、安いバスや電車などの交通機関は混雑し過ぎていて利用できず、かといって自家用車を買おうにもお店に置いてあるのは高級外車ばかりといった状況でした。そこに最もニーズの大きい“大衆車”を投入し、高齢者が安心・安全に老後を暮らせる住まいと環境をつくりあげようと会社を立ち上げたのです」

 小早川は、1990年に親会社である出版社の学習研究社(現・学研ホールディングス)に入社。地方勤務などを経験した後に、“学研のおばちゃん”として知られる全国に約10万人いる女性販売スタッフの接客指導を担当する。そこでは、いかに販売効率を上げるかを徹底的に追求したという。

「どの時間帯に呼び鈴を鳴らせば玄関を開けてもらえるのか、どういう話し方をすればパンフレットを受け取ってもらえるのか、そういったことばかり考えてましたね」

 ところが、やがていくらロジックを考えても思うように売上が伸びなくなっていった。訪問してもお年寄りが出てくることが多く、子どもはいないという家も少なくないというのだ。これでは子供向けの教育出版物が売れにくくなるのも無理はない。急速に進む超少子高齢化社会の現実を突きつけられた小早川だが、ちょうどその頃、当時の社長から「これから当社がやるべき新しいビジネスを考えてみないか」と話を持ちかけられる。… 続きを読む

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小早川 仁(コバヤカワ ヒトシ)
1967年、広島県生まれ。明治学院大学卒業後、1990年に学習研究社入社。2004年社内ベンチャーで学研ココファンを設立、08年7月学研ココファンホールディングス代表取締役社長に就任、現在に至る。一般財団法人サービス付き高齢者向け住宅協会理事、財団法人日本賃貸住宅管理協会の副研究会長も務める。

株式会社学研ココファンについて
■ 事業内容サービス付き高齢者向け住宅の企画・開発・運営、指定居宅サービス事業、指定居宅介護支援事業、フランチャイズ事業、不動産賃貸に関する事業、その他付帯する一切の事業
■ 設立年月2004年7月20日
■ 本社所在地東京都品川区西五反田2-11-8 学研ビル7階
■ 資本金9,000万円
■ 従業員数354名(グループ全体847名)
■ 業種高齢者福祉事業
■ ホームページ

http://www.cocofump.co.jp/

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