2013.12.24 Tue

顧客の喜びを追及し続ける信念はどう形作られたか

株式会社 喜代村 代表取締役社長 木村 清 氏

新しい形の寿司屋を展開し、築地の活性化を導く

 世界最大規模の卸売場である築地。新鮮な魚を求めて毎年1,000万人近い人たちが各地から集まってくる。しかし、12年前は年間の来場者が150万人を切るなど、買い物客が減少し勢いが衰えていた。そうした中、30年以上水産業界に関わっていた木村清は、2001年に「すしざんまい」をオープン。現在では、築地を中心に全国で50店舗以上を展開。売上高200億円を超えるお寿司チェーン店を経営し、築地の活気を取り戻した。

 すしざんまいオープンに際して、どうしたら築地に人を集めることができるかを考えた結果、木村は3つのコンセプトを掲げた。それは「入りやすさ」「食べやすさ」「高い質の接客」だ。24時間、いつでも新鮮なネタが食べられ、明朗会計で誰にでも親しまれる店舗を目指したという。

 「これまで、お寿司屋には、臨時休業という名の不定期な休日や時価という値段の不明瞭さなどの問題があり、また、外から見ても店の中がどうなっているか分からないから不安との声を聞いていました。そこで、これらを解消するために、値段をすべて明確にし、お店もガラス張りのオープンな作りにしました。また、24時間営業を掲げ、好きな時に好きなネタが食べられるように、一日に4回ネタを仕入れ、150種類以上ものメニューがいつでも新鮮な状態で食べられるようにしました。そして、職人の名札に名前や出身地を書いて声をかけやすいようにし、しっかりとした接客サービスを提供しているのも、すしざんまいの大きな特徴です」

 

どうしたらお客さまが喜ぶかを日夜考えることが、イノベーションの原点

 それまでの既成概念にとらわれない新しい形を提案し続ける木村だが、ここに至るまでには紆余曲折があった。4才で父親を亡くし、小さいながら母や姉の手伝いをして生活を支えた。うさぎを飼い育てて大学に売ったり、稲刈りシーズンにはイナゴを取って販売したりするなど、幼少期から商売のいろはを実践した経験は、今にも活きているという。

 中学卒業後、パイロットになりたいという思いから15歳で航空自衛隊に入隊。しかし、事故で目を悪くして操縦手の道を閉ざされてしまう。そこで、今度は司法試験合格を目指そうと、中央大学法学部通信教育課程に進んだ。

 木村は当時をこう回想する、「お先真っ暗だと思った時、悔しい思いが次の挑戦のエネルギーとなりました」。失敗やピンチの時こそ諦めずに次へと進もうと一歩を踏み出す力が、新しい活力になると木村氏は語る。猛勉強の末2年間で司法試験もあと一歩で合格のところまできていたが、学費が続かずアルバイトに時間を割かざるを得なかった。そこで、百科事典の販売営業のアルバイトを経て、大学在学中に大洋漁業(現:マルハニチロホールディングス)の関連会社に入社し、学業と会社勤務を両立しながら生活をしていた。

 学費捻出のために働いた水産業という世界だが、木村にとって大きな転機となる。… 続きを読む

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木村 清(キムラ キヨシ)
1952年生まれ。15歳で航空自衛隊に入隊、在籍中に中央大学法学部(通信制)へ入学。航空自衛隊を退官後、大洋漁業(現マルハニチロHD)の子会社を経て、1979年に前身となる「木村商店」を創業し、1985年9月、株式会社喜代村を設立。数多くの事業を立ち上げた後、2001年に「すしざんまい」本店をオープン。寿司店以外に築地場外市場の鮮魚店を直営する他、魚介類をはじめとした食材の輸入・製造卸・販売等の水産食品事業を展開。

株式会社 喜代村について
■ 事業内容水産食品部門。弁当部門。すし部門。商品開発部門。
■ 設立年月1979年4月
■ 本社所在地東京都中央区築地4−7−5 築地KYビル6階
■ 資本金9,800万円
■ 従業員数1,300名
■ 業種レストラン・フード
■ ホームページ

http://www.kiyomura.co.jp/

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