2013.11.05 Tue

筆記具で目指す「世界一」の本当の意味

三菱鉛筆株式会社 代表取締役社長 数原 英一郎 氏

三菱鉛筆株式会社、代表取締役社長、数原 英一郎

「ユニ」から継がれる「良いもの」への思い

「アイデアだけで作っていても、なかなか続かないですよね。政治の世界だって、浮動票を集めて選挙に勝ったところで、次も勝つのはなかなか難しい。本質的な良さや強み、ブランド力、ユーザーからの信頼、それに基づいたユニークさがないと、勝負していけません」

 1887年に創業し、120年以上にわたって日本の筆記具メーカーのトップグループを走り続けている三菱鉛筆の五代目社長、数原英一郎は、消費者に長く支持される商品を作り続ける難しさについて、こう語った。

 同社の転機となった鉛筆のヒット商品であり、世界市場における同社の代名詞ともなっている「ユニ(uni)」というブランドには、品質にこだわることで、日本だけでなく世界のライバルと渡り合っていこうとする同社のDNAが詰まっているという。

 ユニの発売は、1958年10月1日。当時の会社員の初任給が約1万5,000円という時代に、1本50円の鉛筆で勝負に出た。現在の価値に換算すると、実に1本800円に相当する。

三菱鉛筆株式会社、代表取締役社長、数原 英一郎「先輩たちは、相当にチャレンジャーでしたね。貿易の自由化が進み始めていた時代でもあり、われわれも海外から入ってくる商品と、正面切って戦わなければいけなかった。その中で、このような高級な商品で勝負しようと決めたわけです。営業部門や製造部門にも緊張感があったでしょうし、開発にだって、世界トップレベルのいい材料を使い、品質としてベストのものを作っていこうという思いがありました。この思いは、今でも会社の中に残っています。チャレンジの中から良いもの、新しいものを作っていくという価値観は、代々、先輩から新しい社員にも伝わっているし、私自身も伝えていこうという思いがありますね。ユニは、おかげ様で今でも売れています。ただ、それに頼ってばかりいるのはあまりいい風潮ではありません。社員には、自分たちの世代で、将来に向けて新しい柱を作っていこうと、いつも話しているんです」

 ブランド力の高い「定番」と呼べる商品を大切にしながら、新しい物を生みだしていこうという取り組みは、決して思いつきのアイデアだけで、短期間に実現するものではない。書く度に芯が回転して、常に同じ書き味で書き続けられるシャープペンシル「クルトガ」や、新開発のインクによって従来よりも低い筆記抵抗で濃い描線を出すことに成功した油性ボールペン「ジェットストリーム」といった近年のヒット商品も、当初の構想から商品化までには、長い期間が必要だったという。… 続きを読む

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数原 英一郎(スハラ エイイチロウ)
1948年東京生まれ。1971年に慶應義塾大学工学部管理工学科を卒業。1974年、スタンフォード大学工学部大学院修士課程卒業の後、三菱鉛筆株式会社に入社。取締役、常務取締役、取締役副社長を経て、1987年に同社5代目の代表取締役社長に就任。現在に至る。

三菱鉛筆株式会社について
■ 事業内容鉛筆、シャープペンシル、ボールペンなどの筆記具開発製造
■ 設立年月1925年(1887年創業)
■ 本社所在地東京都品川区東大井5丁目23番37号
■ 資本金44億9,700万円
■ 従業員数単体541名(連結2,710名)
■ 業種製造
■ ホームページ

http://www.mpuni.co.jp/

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