2013.10.15 Tue

アイデアの価値は「かたち」にして初めてわかる

公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科 准教授 塚田 浩二 氏

公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科、准教授、塚田 浩二

ネットが爆発的な反響を生んだ「Speech Jammer」

 2012年、日本人の研究者が生みだしたひとつの「発明品」が世界から注目を集めた。その発明品の名は「Speech Jammer(スピーチジャマー)」。スピーチをやめさせたい人に向けてスイッチを入れることで、その人の発話を妨害する「発話阻害銃」だ。

 Speech Jammerには、人の声をわずかな時間だけ遅らせてその人の耳から聞こえるようにすると、うまく話すことができなくなるという「聴覚遅延フィードバック」の原理が応用されている。実際にしゃべっているときにSpeech Jammerを向けられると、話しているはずの自分の声が、少し遅れて突然頭の中に響くような違和感をおぼえ、普通に話し続けることができなくなってしまう。効果に個人差はあるそうだが、たしかに一方的なスピーチを妨害するのには効果的な、ユニークな発明だ。

 SpeechJammerは、2012年、米国の科学雑誌が主宰し「人々を笑わせ、考えさせる研究」に与えられる「イグノーベル賞」を受賞したことで世界的な注目を集めた。

公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科、准教授、塚田 浩二「Speech Jammerは2010年に最初のプロトタイプを作ったものです。当時は、研究発表の形で論文を書き、海外の学会などにも投稿していたのですが、評価はいまひとつでなかなか日の目を見ませんでした。効果を定量的な指標で明確に示すことが難しかったからなのですが、2012年初頭にはこの研究を継続するのは一旦やめようと決め、研究内容をすべてウェブ上で公開したんです。すると、ある海外の著名なブロガーがそれを取り上げてくれ、そこから一気に火が付きました。
 YouTubeに公開した紹介ビデオは1週間で50万回近く視聴され、BBCやCNN、NewYork Timesのような海外の著名メディアからも取材を受けました。そしてある日、『イグノーベル賞を受賞できますが、どうしますか』という連絡が入り、喜んで受賞させてもらうことにしたんです」

 そう話すのは、Speech Jammerの共同研究者の1人である塚田浩二である。塚田は現在、公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科の准教授であり、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業さきがけの研究者も兼任している。… 続きを読む

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塚田 浩二(ツカダ コウジ)
1977年生まれ。1996年、慶應義塾大学環境情報学部に入学。2005年、同大学院政策・メディア研究科博士課程修了後、2005年4月に独立行政法人産業技術総合研究所に入所。博士(政策・メディア)。2008年よりお茶の水女子大学お茶大アカデミックプロダクション特任助教などを務め、2013年4月に、公立はこだて未来大学システム情報科学部情報アーキテクチャ学科に准教授として赴任した。2010年10月以降は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業さきがけの研究員も務めており、2013年現在も兼任している。

公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科について
■ ホームページ

・塚田 浩二ホームページ:http://mobiquitous.com/
・公立はこだて未来大学 ホームページ: http://www.fun.ac.jp/
・JST さきがけ「情報環境と人」ホームページ: http://www.human.jst.go.jp/

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