2013.01.23 Wed

町工場の職人の技術が、世界を圧倒する

株式会社北嶋絞製作所 代表取締役社長 北嶋 實 氏

株式会社北嶋絞製作所 代表取締役社長 北嶋 實

 

「他社ができなくてもうちはやる」が口コミを生みだす

 日本の「ものづくりの現場」を全体で捉えると衰退が顕著だ。しかし、部分で見ると、世界トップクラスの技術を武器に安定経営を実現する町工場も少なくない。その中で今、注目されるのが金属部品加工の北嶋絞製作所だ。
 以前から、日本屈指の金属加工技術を持つ町工場として業界内に知られていたが、国産H2ロケットの部品づくりに参加したことで、一般的な知名度も高まった。なぜ北嶋絞製作所は、衰退の波にのまれず活躍し続けられるのかを社長の北嶋に聞いた。

株式会社北嶋絞製作所 代表取締役社長 北嶋 實 「一言でいえば、技術力の差ということになりますが、これは単に技術が高い低いというだけの話ではありません。お客様の対応も含めての技術力の差です。私たちは、一度来た依頼は他社ができなかった仕事でも断ることはありません。この姿勢は一貫して通しています。そして一度、受けた仕事は絶対に根をあげない。赤字になってでも納品します」

 赤字の仕事を容認することは、一見すると経営者にふさわしくないことのようにも思えるが、「赤字になった部分は授業料。難しい仕事に挑戦することで技術力が高まる」という。また、難易度の高い製品が口コミを促し、新規顧客の獲得につながることで利益は戻ってくるという深謀遠慮もある。実際に、営業マンが一人もいないにも関わらず、毎日のように新たな仕事の引き合いがある。主に自社のwebサイト経由で一日平均、数件の問い合わせがあるという。では、他社でできなかった仕事を実現する原動力は何か。これは、「手を動かし、頭を働かし、とにかく粘る」という徹底した企業スピリットにあるようだ。

 「どんなに困難な条件を前にしても、何が何でもやるという姿勢で望むことが大切です。不可能だと思ったら先に進むことはできません。そして、ある方法でうまくいかなかったら、別のアプローチで挑む。地味な手法ですが、これを繰り返すことで、一つずつ問題をクリアし、目標達成を実現するしかありません」

 金属加工の中でも、特に得意としているのはタングステンやチタンといった特殊金属の「ヘラ絞り」。これは、一枚の金属板を伸ばしながら、指定された図面通りに成形していく技術だ。大まかな型はコンピュータ制御のマシンでつくれるが、細部の仕上げは「ヘラ」と呼ばれる金属の棒を使い、体にしみこんだ「職人の勘」をたよりに微調整していく。
 大きく曲げたところも、そうでないところも、全体の厚みを均一にしなくてはならないため、高度な技術が要求される。許容される厚みの差はコンマ1ミリ単位の世界だ。

 設備面では、最大直径4メートルの金属板を回転させられる旋盤機械を導入。超大型の金属加工ができることで競合他社と差別化を図っている。

 

少量多品種生産と日々進化で新たな仕事をつくる

 逆境に負けない北嶋絞製作所の強みとして、もう一つあげられるのが「少量多品種生産」である。… 続きを読む

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北嶋 實(キタジマ ミノル)
中学卒業後、長兄が創業した北嶋絞製作所に入社。以来、一貫して金属部品加工の現場で働き続ける。その後、長兄から次兄へ引き継がれた同社の社長に2007年1月1日就任。社長職に就いても、職人として日々、現場に出ている。PUMAと丸若屋のコラボ企画「アルミ製三段重弁当箱」、新潟県燕市の職人と共同製作した「ビアタンブラー」など、金属加工の新たな可能性開拓にも挑戦。

株式会社北嶋絞製作所について
■ 事業内容各種金属加工全般
ヘラ絞り・プレス絞り、特殊形状絞り
上記に付随する加工一式
■ 設立年月昭和22年11月1日
■ 本社所在地東京都大田区京浜島2-3-10
■ 資本金1,600万円
■ 従業員数20名
■ 業種金属加工業
■ ホームページ

http://www.kitajimashibori.co.jp/

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